2021年04月17日 06:00 掲載

交通安全・防災 利用が増える自転車。安全運転とともに製品事故にも要注意

コロナ禍の影響で利用が増えている自転車。安心して乗るには、安全運転とともに点検や整備も欠かせない。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)によると、製品不良による事故も多発しており、リコール対象製品のチェックや、普段の点検整備の重要性を呼びかけている。

くるくら編集部 会田 香菜子

緊急事態宣言解除の影響で、自転車の事故が増えるおそれがあるとして、NITEが注意を呼びかけている。

© yamasan - stock.adobe.com

過去6年間の自転車製品事故で重傷を負ったケースは6

2015年~2020年に報告があった自転車の製品事故は647件、うち重傷を負ったケースは393件で6割だった。

出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構

 昨年から続くコロナ禍の影響により、三密を避けて移動する手段として自転車の需要が高まっている。製品事故に関する情報を調査・分析し、再発防止やリスク低減の情報発信をする独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2015年~2020年に報告があった自転車の製品事故は647件、うち重傷を負ったケースは393件で6割であった。

 製品事故とは、製品不良や整備不良などにより発生する自損事故のことで、利用者本人の命や身体に対する危害が生じたものをいう。例えば、自転車のブレーキの効きの悪さや、フレームのゆがみなどが原因で発生した自損事故のことだ。自転車の安全というと、まずは交通事故を起こさないための安全運転が頭に浮かぶと思うが、製品事故でも命にかかわる事故を引き起こす可能性があることを意識しておく必要がある。

2020年の月別の事故件数では、緊急事態宣言明けの6月に増加していたことが明らかになった。

出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構

 製品事故について月別の件数を見てみると、例年5月に最も多く発生していたのに対し、2020年においては、緊急事態宣言明けの6月に増加していることが明らかとなっている。

 NITEでは、今回の緊急事態宣言後も、同様に自転車事故が増加する可能性を懸念し、特に製品事故防止として乗車前の点検やリコール対象製品の情報確認の必要性を呼びかけている。

リコール対象製品による事故は4割以上

事故発生状況別(2015年~2020年)では、647件の自転車事故のうち、最も多いのは「ハンドルがロックされる」ケースで2割を占めていた。

自転車製品事故の事故発生状況 出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構

 発生状況別に見てみると、2015年~2020年の自転車製品事故で647件の事故のうち最も多いのは「ハンドルがロックされる」ケースで2割を占めていた。しかも全件が「リコール対象製品」であった。

 「ハンドルがロックされる」状況は、後輪用サークル錠を施錠するとハンドル錠(前錠)も同時にロックされる機構を有する自転車において発生する。錠が誤作動し、走行時にハンドル操作ができなくなる状況を指すものだ。また、次に多い「バッテリーの脱落や発火」についても、全体の6割がリコール対象製品による事故だった。

 これらリコール対象製品による事故は全体でみると、647件のうち291件と4割以上にものぼる。このことから、事故を未然に防ぐためには、まず自分の使用する自転車がリコール対象かどうかを確認することが大切だろう。リコール情報は、新聞やダイレクトメールなどで告知されることがあるが、事業者のWebサイトのみに掲載されている場合もある。また、消費者庁の「リコール情報サイト」(https://www.recall.caa.go.jp/index.php)においても、最新の情報を確認することが可能だ。

買い物袋が前輪に巻き込まれる状況図

出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構

 次に、整備不良による事故についての事例を見てみよう。NITEによると、自転車の前輪がロックされることで、バランスを崩して転倒するケースが多数発生しているという。このような事故の原因としては、前輪に異物が巻き込まれてロックするケースなどが考えられる。NITEは、事故を防ぐポイントとして、ハンドルに買い物袋やかばん、傘などをぶら下げての走行することは、それらが前輪に巻き込まれてロックしてしまう恐れがあるとして、荷物は必ずカゴに入れるよう呼びかけている。整備不良以外でも、木の枝やごみなどを車輪で跳ね上げて巻き込む場合もあるので、風が強い日やその翌日などの路面状況にも注意が必要だ。

自転車各部の名称図

出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構

 また、ペダルやハンドルの空転・脱落・破損、タイヤの外れや破損、ブレーキの不具合なども事故の原因になる。特にインターネットで自転車を購入すると、車輪やハンドルまわり、ペダルなどの組み立ては購入者が行うことになる場合がある。その際に、適正な方法で調整せず使用すると、走行中にパーツが外れてしまい事故を引き起こすことがあるという。

 ブレーキの不具合も、効きが甘いことを認識しながらもそのままの状態で走行を続けると、制動不良を起こし、転倒事故を引き起こす可能性がある。

 NITEでは、自転車に乗る前と定期点検のチェックリストを公開している。以下にまとめてみたので、上図「自転車 各部の名称」と照らし合わせながらチェックしてみよう。

【乗車前確認チェックリスト】

1. 車輪への巻き込みの確認
  □どろよけに曲がりや外れなどはないか
  □走行時、ハンドルに傘や買い物袋などをかけていないか

2. 固定部の締め付け不足・緩みの確認
  □前輪、後輪の取り付けに緩みや変形はないか
(クイックレリーズ(※)方式の場合、レバーは推奨されている固定力と固定位置で正しく固定されているか

※クイックリリースとも呼ばれる、ロードバイクやクロスバイクなどのホイール中心部分に装備されるパーツ。工具無しで簡単にホイールを脱着するためのパーツのこと。

  □ハンドル、ハンドルステム、ヘッドパーツは確実に締まっているか     
  □サドルのシートポストは確実に締まっているか(はめ合わせ限界標識が隠れているか)

サドルのはめ合わせ限界標識

出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構 

  □ペダルにがたつきや緩みはないか


3. チェーンの確認
  □チェーンにねじれ、余分なたるみがないか
  □チェーンの油が切れていないか


4. ブレーキの効きの確認
  □前後ブレーキレバーの引きしろ
  □前後ブレーキは適切に作動しているか


5. その他部品の確認
  □タイヤの空気が不足していないか
  □(トンネル内や夜間に乗車する場合)ライトは正しい角度で適切に点灯するか
  □(トンネル内や夜間に乗車する場合)反射板やテールライトは正しい角度で適切に点灯するか

【定期点検チェックリスト】

1. 自転車本体への衝撃や荷重、さびなどによる強度不足の点検
  □本体(フレーム)にき裂やさび、フレームパイプにしわ、膨らみなどが発生していないか

2. ブレーキ部分の点検
  □前後ブレーキ本体とフレームの固定は緩んでいないか
  □前後ブレーキシューの固定は緩んでいないか
  □前後ブレーキシュー・ブレーキパッドが摩耗していないか
  □ディスクブレーキの場合はローターが摩耗していないか
  □ブレーキワイヤーにほつれやさびがないか
  □ブレーキワイヤーが伸びていないか
  □ブレーキシューやブレーキパッドが当たるリムやローターに異物や傷が付いていないか

3. 車輪、その他の部分の点検
  □車輪のリムやスポークに変形や破損がないか
  □タイヤが摩耗していないか
  □その他、ボルトやナット、ねじに緩みがないか

4. 固定部分の点検(折りたたみ自転車)
  □折りたたみ自転車の固定部分(ペダル、フレーム、ハンドルなど)は確実に固定されているか

 三密を避ける手段としても注目が集まっている自転車は、手軽で便利な乗り物だが、油断や慣れからくる誤った使い方や点検不足が、自損事故だけではなく歩行者と衝突する加害事故につながる恐れもある。NITEでは、購入してから1~2か月程で自転車技士または自転車安全整備士のいる店舗で初期点検を受けること、そして乗車前を含めた定期的な点検を呼びかけている。乗車前の確認や定期的な点検を行うことで、事故を未然に防ぐことを心がけていきたい。

ライターお勧めの関連記事はこちら