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道路・交通最終更新日:2022.12.19 公開日:2022.12.19

危険な路面凍結「ブラックアイスバーン」。冬のドライブでは要注意!

冬にクルマを運転する時に気を付けたいことのひとつに、路面凍結がある。特に、ウェット路面などと見分けが付きにくい凍結路「ブラックアイスバーン」には、より注意が必要だ。一体どのような場所にブラックアイスバーンは潜んでいるのだろうか。危険性と、走行時の注意について紹介しよう。

文=くるくら編集部

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危険な路面凍結「ブラックアイスバーン」

乾いた路面も奥に見えているせいで、ついウェット(濡れた)路面と判断したくなる場面。(c)Paylessimages – stock.adobe.com

 朝晩の冷え込みが厳しい時期になった。冬の運転では降雪後の「アイスバーン」と呼ばれる路面凍結によるスリップに気を付けなければならない。アイスバーンは道路の雪が踏み固められて氷になる「圧雪アイスバーン」、それがさらにスタッドレスタイヤによって磨かれ、鏡のように反射する「ミラーバーン」、そして一見すると黒く凍結していないように見える「ブラックアイスバーン」などがある。

一見、ウェット路面のように見える「ブラックアイスバーン」

圧雪アイスバーンが融雪や凍結を繰り返してブラックアイスバーンに変化する場合もある。© YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)

出典:警察庁「交通事故統計(2021年)」より

 警察庁の統計によると、交通事故による死者数は、12月が圧倒的に多い。天候要因だけとは言えないが、全体としては、やはり冬の方が交通事故のリスクが高いといえそうだ。要因としては、日没時間が早くなり視界が悪くなることや、雪や凍結によるスリップ事故が増えてくるためと推察できる。

出典:国土交通省 「12月以降の累積降雪量の推移(全国平均)」より

2010年の北海道内の冬型事故は、スリップ事故が83.9%で大半を占めていた。

出典:国立研究開発法人 土木研究所 寒地土木研究所「冬期気象条件下における交通事故発生形態について」より

 少し古い資料ではあるが、2010年の北海道内の冬型事故(スリップ事故、わだち事故、視界不良事故など)は、スリップ事故が83.9%で大半を占める割合であった(寒地土木研究所発表)。そして、スリップ事故の原因になるのはアイスバーン。その中でも、ブラックアイスバーンは凍結しているかどうかの判別が難しいので、より走行時の注意が必要だ。

 なぜ判別しづらいのか。それは、雪のないアスファルト路面に平滑に氷が張っているため、下のアスファルトが透けているからだ。日の当たり具合などによっては、乾いた路面にも見えてしまう。そのうえ、雪があまり降らない地域でもブラックアイスバーンに遭遇することがあり、例えば、晴れていても、前日に降った雨や山腹から染み出している湧き水などが夜中に凍結してできる可能性も十分にあり得る。

 次に、アイスバーンになりやすい条件を確認してみよう。
・トンネル出口付近
・風通しのよい橋の上や陸橋
・クルマが通ったあとの雪道のわだち

 残念ながらブラックアイスバーンを確実に判別する手段はないので、こうした場所ではスリップの可能性があることを前提に、慎重に運転するしかない。

ブラックアイスバーンの制動距離はウェット路面の約6

出典:JAFユーザーテスト「ブラックアイスバーンテスト」

 もうひとつ、ブラックアイスバーンについて知っておきたいことは、その滑りやすさだ。JAF2013年に公開したユーザーテスト動画で、その様子を確認することができる。ユーザーテストでは、時速40kmで走行するクルマ(スタッドレスタイヤ装着)で、ABSが作動する急ブレーキをかけた場合の制動距離測定を行った。すると、圧雪路面では20.2mだった制動距離が、ブラックアイスバーンでは69.5mと停止までに3倍以上もかかることが明らかとなった。見た目が似ているウェット路面の11mと比べると、実に6倍もの差がある。ということは、ウェット路面のつもりで走行していると、想定以上にクルマが止まらず追突事故などにつながる可能性が非常に高いということだ。スタッドレスタイヤを装着しているからと過信してはならないことが痛感させられる動画だ。

 また「くるくら」には、アイスバーンによる事故がどのように起きるかをドライブレコーダー映像をもとに紹介した記事もあるので、ぜひ見ておいてほしい。動画での疑似体験は、必ず役に立つはずだ。
動画記事:「冬の運転の恐怖」2選

 冬期の道路事情にあわせて、スタッドレスタイヤやチェーンを装着することは言うまでもない。しかしそれだけで危険を防げるわけではない。冬の道路には一見してわからない「ブラックアイスバーン」のような危険が潜んでいる。急発進や急ブレーキを避け、速度を抑えて車間距離を十分にとった走行を心がけよう。

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