2020年06月08日 14:20 掲載

交通安全・防災 【JNCAP2019】衝突安全・前期+後期全12車種によるランキング


神林 良輔

項目別の点数について

 衝突安全性能評価の総合計の得点は、小数点以下1位での発表となる。一方、歩行者保護、乗員保護、シートベルトの着用警報装置における各得点は、小数点以下2位までが発表されている。実際の得点の算出においては、小数点以下第3位以降での計算も行われているが、四捨五入をしているため、全項目の点数を合計しても衝突安全性能評価の総合計得点とは一致しないこともある点に留意していただきたい。

 点数の内訳は、以下のようになっている。また以下のリストで◆印のある10項目は、獲得した点数ごとにレベル(Lv)1~5の5段階で評価される。

1.歩行者保護性能(全37点)
 I.頭部保護性能試験(32点◆)
 II.脚部保護性能試験(5点◆)
2.乗員保護性能(全59点)
 I.フルラップ前面衝突試験(合計21点)
  運転席(10.5点◆)/助手席(10.5点◆)
 II.オフセット前面衝突試験(合計21点)
  運転席(10.5点◆)/助手席(10.5点◆)
 III.側面衝突試験(15点◆)※1
 IV.後面衝突頸部保護性能試験(合計2点)
  運転席(1点◆)/助手席(1点◆)
3.シートベルトの着用警報装置(全4点◆)
総合計:100点満点

※1 側面衝突試験で衝突される側の側面について:基本的には運転席側にムービングバリアを衝突させるが、助手席側のセンターピラーレス構造を採用した車種に関しては、助手席側となる。その際、ダミー人形は助手席側に着座させられる。

 このほかに点数のつかない試験として、ハイブリッド車およびEVに対してのみ行われる、衝突後の感電保護性能評価試験がある。評価基準に適合した場合は、「適合」の評価を得られる。

 さらに、獲得した点数によってそれに見合った数の★(スター)が与えられる。82.0点以上は★が5つの最高評価である「ファイブスター賞」だ。ただし、シートベルトの着用警報装置を除いた9項目において、5段階評価のレベル3以下がひとつでもあると、82.0点以上であってもファイブスター賞は得られず、4つ星止まりとなる。

82.0点以上:★★★★★(ファイブスター賞)
72.5点以上82.0点未満:★★★★
63.0点以上72.5点未満:★★★
53.5点以上63.0点未満:★★
53.5点未満:★

第1位:RAV4(トヨタ)

合計:88.9点 ★★★★★

JNCAPの2019年度衝突安全性能評価で、88.9点を獲得して第1位となったトヨタ「RAV4」(5代目)。

●歩行者保護:合計29.18点
 頭部保護:24.16点・Lv4
 脚部保護:5.00点・Lv5
乗員保護:合計57.30点
 フルラップ前面衝突:20.15点(運転席:9.65点・Lv5/助手席10.50・Lv5)
 オフセット前面衝突:20.53点(運転席:10.15点・Lv5/後席:10.38・Lv5)
 側面衝突:15.00点・Lv5
 後面衝突頸部保護:1.61点(運転席:0.81点・Lv4/助手席:0.81点・Lv4)
シートベルトの着用警報装置:2.50点・Lv3
感電保護性能:適合

試験に用いられた車両の型式:6AA-AXAH54

 2019年4月に登場した5代目「RAV4」は、トヨタのミドルクラスのクロスオーバーSUVだ。「RAV4」は、全10項目のうち6項目が最高評価のレベル5を獲得した。中でも、歩行者の脚部保護(5.00点)、乗員保護のフルラップ前面衝突の助手席(10.50点)、同じく側面衝突(15.00点)はそれぞれ最大の得点を獲得した。

 そのほか、オフセット前面衝突試験の運転席(10.15点)と助手席(10.38点)も高く、全体で第3位の得点となっている。これらの項目が牽引し、合計88.9点を獲得。3車種が88点台となる接戦を制して、2019年度衝突安全性能評価ランキングの第1位となった。

第2位:N-WGN/N-WGN カスタム(ホンダ)

合計:88.7点 ★★★★★

JNCAPの2019年度衝突安全性能評価で、88.7点を獲得して第2位となったホンダ「N-WGN」(2代目)。

画像は「N-WGN」。

●歩行者保護:合計30.37点
 頭部保護:25.36点・Lv5
 脚部保護:5.00点・Lv5
●乗員保護:合計55.34点
 フルラップ前面衝突:19.46点(運転席:9.76点・Lv5/助手席:9.70点・Lv5)
 オフセット前面衝突:19.10点(運転席:9.21点・Lv5/後席:9.89点・Lv5)
 側面衝突:15.00点・Lv5
 後面衝突頸部保護:1.77点(運転席:0.89点・Lv5/助手席:0.89点・Lv5)
●シートベルトの着用警報装置:3.00点・Lv4

軽自動車
試験に用いられた車両の型式:6BA-JH3

 2代目「N-WGN/N-WGN カスタム」(※2)はボンネットタイプのコンパクトな軽自動車で、発売は2019年8月。衝突安全技術として、基本フレームに衝突時の衝撃(G)を制御する安全技術「G-CON」が取り入れられている。数年前まで、軽自動車の得点は普通車に大きく離されていたが、普通車に劣らない得点で初めて上位に進出したのが2代目「N-BOX」だった(※3)。「N-WGN」は2代目「N-BOX」のプラットフォームがベースとなっており、さらに磨きがかけられたといっていいだろう。

※2 N-WGN カスタム:「N-WGN」の上級モデル。
※3 2代目「N-BOX」の衝突安全性能の順位:2011~17年度の同一の試験方法・得点算出方法の評価試験を受けた全96車種中で第14位。その次の軽自動車は初代「N-WGN」で、第36位だった。

 項目別に見てみると、歩行者の脚部保護(5.00点)、乗員保護の側面衝突(15.00点)がそれぞれ最大の得点。またシートベルトの着用警報装置は、全12車種中の第1位となるレベル4の3.00点を獲得した。このシートベルト着用警報装置のレベル4を除き、「N-WGN/N-WGN カスタム」は残りの9項目すべてがレベル5だった。0.2点差で第1位には届かなかったが、その安定した高得点が第2位獲得の原動力となった。

第3位:アコード(ホンダ)

合計:88.5点 ★★★★★

JNCAPの2019年度衝突安全性能評価で、88.5点を獲得して第3位となったホンダ「アコード」(10代目)。

●歩行者保護:合計28.11点
 頭部保護:23.12点・Lv4
 脚部保護:4.95点・Lv5
●乗員保護:合計57.95点
 フルラップ前面衝突:20.31点(運転席:10.28点・Lv5/助手席:10.03点・Lv5)
 オフセット前面衝突:20.74点(運転席:10.24点・Lv5/後席:10.50点・Lv5)
 側面衝突:15.00点・Lv5
 後面衝突頸部保護:1.89点(運転席:0.95点・Lv5/助手席:0.95点・Lv5)
●シートベルトの着用警報装置:2.50点・Lv3
●感電保護性能:適合

試験に用いられた車両の型式:6AA-CV3

 ホンダのミドルクラス・セダン「アコード」(10代目)は、フルモデルチェンジを受けて2020年2月に登場した。2019年度の試験を受けた全12車種のうちで、最も新しい車種である。ホンダ「N-WGN/N-WGN カスタム」に0.2点及ばなかったが第3位を獲得した。

 「アコード」は、高得点を獲得した項目が多い。第1位の点数だったのは、乗員保護のフルラップ前面衝突試験の運転席(10.28点)、オフセット前面衝突試験の運転席(10.24点)および後席(最大の10.50点)、側面衝突(最大の15.00点)。第2位だったのは、後面衝突頸部保護の運転席と助手席(ともに0.95点)だ。10項目中の8項目で、レベル5の点数を獲得した。

 また動的歩行者保護機能として、「アコード」には「ポップアップフード」が備えられている。同機能は、フロントバンパーのGセンサーが歩行者との接触を検知した瞬間にボンネットの後端部を持ち上げる仕組みだ。それにより、歩行者の頭部が打ち付けられた際に、衝撃を緩和するためにボンネットが変形できるだけのスペースをエンジンルーム上部に確保するのである。

第4位:インサイト(ホンダ)

合計:87.5点 ★★★★★

JNCAPの2019年度衝突安全性能評価で、87.5点を獲得して第4位となったホンダ「インサイト」(3代目)。

●歩行者保護:合計29.84点
 頭部保護:25.44点・Lv5
 脚部保護:4.34点・LV4
●乗員保護:合計55.17点
 フルラップ前面衝突:19.43点(運転席:9.94点・Lv5/助手席:9.49点・Lv5)
 オフセット前面衝突:18.91点(運転席:9.27点・Lv5/後席:9.64点・Lv5)
 側面衝突:15.00点・Lv5
 後面衝突頸部保護:1.82点(運転席:0.91点・Lv5/助手席:0.91点・Lv5)
●シートベルトの着用警報装置:2.50点・Lv3
●感電保護性能:適合

試験に用いられた車両の型式:6AA-ZE4

 2019年度の衝突安全性能評価の上位は、ホンダ車が占める形となった。第4位もホンダ車で、2018年12月に登場したミドルセダン「インサイト」(3代目)だ。87.5点を獲得した。

 試験項目ごとの順位で見ると、実は「インサイト」はいずれの項目でも第1位にはなれなかった。第2位となった項目もふたつで、頭部保護性能(25.44点)とフルラップ前面衝突の運転席(9.94点)のみだ。しかし「インサイト」も10項目中の8項目でレベル5の得点を獲得しており、ホンダ車は平均して得点が高く、点数が突出していなかったとしても合計すると上位となるのが特徴である。

 なお、「インサイト」と「アコード」を比較した場合、どちらもセダンであり、合計得点も近いが、項目ごとの得点には差異があるようだ。頭部保護に関しては、どちらもボンネットにポップアップフードを備えるが、点数的には「インサイト」がレベル5で「アコード」がレベル4。点数的には2点差以上の開きがある。一方、脚部保護に関してはその逆で、「アコード」がレベル5で、「インサイト」がレベル4。点差は約0.6点だ。同じメーカーのセダンだが、そろってレベル5にできないところに、高い衝突安全性能を実現することの難しさがうかがえる。

第5位:UX(レクサス)

合計:87.3点 ★★★★★

JNCAPの2019年度衝突安全性能評価で、87.3点を獲得して第5位となったレクサス「UX」。

●歩行者保護:合計27.86点
 頭部保護:22.80点・Lv4
 脚部保護:5.00点・Lv5
●乗員保護:合計56.95点
 フルラップ前面衝突:20.15点(運転席:9.65点・Lv5/助手席:10.50点・Lv5)
 オフセット前面衝突:20.08点(運転席:9.58点・Lv5/後席:10.50点・Lv5)
 側面衝突:15.00点・Lv5
 後面衝突頸部保護:1.71点(運転席:0.86点・Lv4/助手席:0.86点・Lv4)
●シートベルトの着用警報:2.50点・Lv3
●感電保護性能:適合

試験に用いられた車両の型式:6AA-MZAH10

 2018年11月に発売となったレクサスのコンパクト・クロスオーバーSUV「UX」。TNGA(※4)コンセプトにより開発された「GA-C」プラットフォームを採用した、新世代のレクサスの1車種だ。「UX」ではボディの高剛性化を実現するため、ドア開口部には環状構造を採用。さらに高剛性化のため、スポット溶接の欠点を克服したレーザースクリューウェルディング技術の採用や、構造用接着剤の使用部位の拡大なども取り入れられた。

 項目別で見た場合、第1位を獲得したのは、歩行者の脚部保護(最大の5.00点)、フルラップ前面衝突の助手席(最大の10.50点)、オフセット前面衝突の後席(最大の10.50点)、側面衝突(最大の15.00点)の4項目。すべて各項目の最大得点を獲得している。ただし、今回は12車種中の10車種が85点以上かつ3.2点以内にひしめくというハイレベルな接戦だったため、合計87.3点を獲得したが「UX」は第5位となった。第1位のトヨタ「RAV4」とはわずか1.6点の差しかない。

※4 TNGA:Toyota New Global Architectureの略。トヨタの新しいクルマづくりのコンセプト。クルマのサイズごとにプラットフォームが開発されている。

第6位:デイズ/デイズ ハイウェイスター(日産)、eKワゴン/eKクロス(三菱)

合計86.5点 ★★★★★

JNCAPの2019年度衝突安全性能評価で、86.5点を獲得して第6位となった三菱「eKワゴン」(4代目)。

画像は三菱「eKワゴン」。

歩行者保護:合計30.50点
 頭部保護:25.44点・Lv5
 脚部保護:5.00点・Lv5
乗員保護:合計53.07点
 フルラップ前面衝突:18.66点(運転席:8.33点・Lv4/助手席:9.84点・Lv5)
 オフセット前面衝突:17.53点(運転席:8.51点・Lv4/後席:9.01点・Lv4)
 側面衝突:15.00点・Lv5
 後面衝突頸部保護:1.86点(運転席:0.93点・Lv5/助手席:0.93点・Lv5)
シートベルトの着用警報装置:3.00点・Lv4

軽自動車
試験に用いられた車種(型式):デイズ(5AA-B44W)

 「eKワゴン」は2代目までは三菱単独で開発されてきたが、3代目以降は日産と三菱が出資したジョイントベンチャーのMNKVにおいて、日産「デイズ」と共同開発されている。今回ランクインしたのは2代目「デイズ」と4代目「eKワゴン」だ。両車とも2019年3月に登場した。なお、「デイズ ハイウェイスター」は「デイズ」のスポーティモデルで、「eKクロス」は「eKワゴン」のクロスオーバーモデルという位置付けだ。

 今回、「デイズ/デイズ ハイウェイスター」と「eKワゴン/eKクロス」は順位としては第6位だったが、86.5点は優秀な点数だ。その優れた点は、歩行者保護性能の高さ。脚部保護は最大の5.00点を獲得した。頭部保護も第3位となる25.44点で、両項目を合計した30.50点で歩行者保護は全体の第2位となっている。その高い歩行者保護性能を実現しているのが、歩行者傷害軽減ボディだ。歩行者と接触する可能性が高い部位のエネルギー吸収性を高めたボディとなっている。

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