首都高を自転車が走る。違反立ち入りが年間約400件の原因は?
高速道路への自転車や原付、歩行者の立ち入りは禁止されているにもかかわらず、誤って進入してしまう事例が後を絶たない。首都高速道路株式会社によると、事例は首都高だけで年間400件を超えているという。その発生原因はどこにあるのか。
年間400件以上の違反立ち入り。その実態をデータで紹介
高速道路への立ち入りが禁止されている歩行者や自転車、原付の進入トラブルが後を絶たない。国土交通省によると2011年には2598件だったのが、2016年には約1.4倍の3678件に増加しているという。そのうち、首都高における2016年の違反立ち入り発生件数は年間400件を超える。今年5月には、飲食宅配サービスの配達者が首都高を自転車で走行する姿がニュースでも取り上げられた。こうした違反立ち入りの実態について、2016~18年のデータを紹介しよう。
首都高速道路株式会社が公表しているデータを見てみると、まず日本の道路規則に不案内な外国人によるものが一定割合あることがわかる。そして、歩行者の違反立ち入りではオレンジ色、認知症の割合が多いことに気づく。一方、原付の違反立ち入りでは、一般道路と間違えたことによる「誤進入」が多くを占める。ちなみにここでいう「誤進入」とは、違反立ち入りの中でも、気づかずに進入してしまったことを示しているようだ。
こうした事態に対して首都高では、路側の進入防止対策を実施している。具体的には、出入り口における道路標識とは別の注意喚起看板や横断幕の設置、「立入・逆走検知・警告システム」を用いた自動音声や交通管制員による呼びかけなどを行い、立ち入り禁止であることを強調しているという。ほかにも、ラバーポールを一般街路に設置することで、物理的に進入できなくするなどの対策も行っている。しかし、それでも年間400件の違反立ち入りが発生してしまっているのだ。
それだけの違反立ち入りがいまだに発生してしまう理由として、興味深い指摘が首都高から挙げられている。すなわち、自転車や原付での移動中に利用するナビアプリがその一因であるというのだ。そして、首都高に進入してしまう原因としては、自転車で走行する際のナビアプリの設定時に「自動車モード」にしてしまうと、自転車や原付でも進入禁止である高速道路や自動車専用道路に誘導してしまうのだという。こうした事態を受けて国土交通省では、2017年7月にナビアプリ提供事業者などに対して、自転車や歩行者の通行が禁止されている道路をルートとして案内することのないよう、アプリの改善やルート案内時における注意情報の表示などを要請している。
よかれと思って……故意に進入するケースもあるので要注意
歩行者の違反立ち入りについては、道を尋ねるために料金所に立ち入るケースや、中には落とし物を届けたり、未払いの通行料金を支払いに立ち入る人もいるという。しかし、たとえ悪意はないとしても、自動車以外での高速道路等への進入は非常に危険な行為であり、死亡事故につながる恐れもある。もちろん規則違反であり、絶対にやってはいけない。
もしも落とし物を見つけたり、歩行者や自転車などが進入しているところを見かけた場合には、慌てて料金所に駆け込まないで、道路緊急ダイヤル「#9910」に通報しよう。