2020年09月04日 13:20 掲載

次世代技術 トヨタとホンダが燃料電池バスで災害時の給電。ムービングイーの実証実験開始。

トヨタ自動車と本田技術研究所は、燃料電池バスと可搬型外部給電器・可搬型バッテリーを組み合わせた移動式の発電・給電システム「Moving e(ムービングイー)」の実証実験開始を発表した。これは、災害時の電力確保を目指して開発されたもの。50人収容の避難所3日分相当の電力を供給できるという。

くるくら編集部 大槻 祐士

発電・給電システム「Moving e(ムービングイー)」とは

トヨタ|ホンダ|燃料電池バス|災害時の給電|Moving e(ムービングイー)

移動式の発電・給電システム「Moving e(ムービングイー)」。燃料電池バスのリア部に給電口を搭載している。 出典:トヨタ

 燃料電池バスと可搬型外部給電器・可搬型バッテリーを組み合わせた移動式の発電・給電システム「Moving e(ムービングイー)」。トヨタ自動車と本田技術研究所は、その実証実験を開始すると発表した。

 これは、近年多発する台風や豪雨などの災害によって送電網がダメージを受け、被災地の家庭や避難所に電気が供給できなくなる問題を解消するための取り組み。移動式のシステムであるため災害時には被災地で電力供給を行う一方、平常時にもイベントなどで日常的な活用が可能だという。

トヨタの燃料電池バスとホンダの給電器・バッテリーで構成

トヨタ|ホンダ|燃料電池バス|災害時の給電|Moving e(ムービングイー)|システム全貌

Moving eを構成する機材一式。 出典:トヨタ

 Moving eは次の構成からなる。

車両:トヨタ製燃料電池バス「CHARGING STATION
(チャージングステーション)」

可搬型給電器:Honda「Power Exporter(パワーエクスポーター)9000」

可搬型バッテリー:Honda「LiB-AID(リベイド)E500」「Honda Mobile PowerPack(モバイルパワーパック)」

モバイルパワーパックの充電・給電器「Honda Mobile PowerPack Charge & Supply Concept(チャージアンドサプライ コンセプト)」

トヨタ|ホンダ|燃料電池バス|災害時の給電|Moving eの仕組み

Moving eの利用方法イメージ。 出典:トヨタ

 実証実験では、CHARGING STATIONにすべての機材を積み込んで被災地などへ移動し、電気を供給する想定だ。具体的には燃料電池バスを電源として、可搬型外部給電器・可搬型バッテリーを用いてバスから電気を取り出し、避難所や被災者の電気製品に電気を供給するというもの。


トヨタ|ホンダ|燃料電池バス|災害時の給電|燃料電池バス「CHARGING STATION」トヨタの燃料電池バス「CHARGING STATION」。 出典:トヨタ

トヨタ|ホンダ|燃料電池バス|災害時の給電|Power Exporter 9000|Honda Mobile Power Pack|LiB-AID E500

左からPower Exporter 9000、Honda Mobile Power Pack、LiB-AID E500。 出典:トヨタ

 CHARGING STATIONは、「トヨタFCバス」をベースに高圧水素タンクの本数を倍増させた車両。最高出力18kW、発電量454kWhの発電能力を備えている。そこで発電された電気をPower Exporter 9000を介して、Honda Mobile Power PackやLiB-AID E500などの可搬型バッテリーに充電する。可搬型バッテリーを使用しているため、場所を問わず電気を供給することが可能となる。

50人収容の避難所3日分相当の電力供給

トヨタ|ホンダ|燃料電池バス|災害時の給電|Moving e(ムービングイー)|機材を積載した車内(前方から)

トヨタ|ホンダ|燃料電池バス|災害時の給電|Moving e(ムービングイー)|機材を積載した車内(後方から)

機材一式を積載した車内。 出典:トヨタ

 ホンダによると、Moving eで供給できる電力は50人収容の避難所の3日分程度だという(水素ステーションから往復200kmの移動を想定)。可搬型バッテリーの定格出力と搭載個数は下記の通り。

【Moving e に搭載されるバッテリー概要】
・Honda Mobile Power Pack(定格出力1500W):36個
・LiB-AID E500(定格出力300W):20個

トヨタ|ホンダ|燃料電池バス|災害時の給電|Moving e(ムービングイー)|休憩や仮眠でも利用可能

CHARGING STATIONの車内は、座面を広げることで休憩・仮眠スペースとして活用可能。 出典:トヨタ

 また、CHARGING STATIONには、可搬型バッテリーの積載場所を座席として使用できるように、折り畳み式の座面が搭載されている。バッテリーなどが外に運び出された後は、座面を広げることで仮眠や休憩スペースとして活用することもできるそうだ。

 本年も、7月豪雨などの自然災害が発生。9月には大型台風の到来も懸念されている。また、新型コロナウイルスの影響により、自宅や車内での避難が増えることもあるだろう。そんな中、Moving eは今後、提供条件が整った自治体や企業に活用してもらうことで、そのニーズや使い勝手を検証していく。

【実証実験概要】
開始時期:2020年9月
派遣可能エリア:燃料電池バス対応の水素ステーションより100km程度まで(目安)
電力供給量:最大約490kWh(往復200km走行した場合 約240kWh)

【移動式発電・給電システム「Moving e」の構成】
・燃料電池バス「CHARGING STATION」1台
・外部給電器「Power Exporter 9000」2台
・可搬型バッテリー「Honda Mobile Power Pack」36個、「LiB-AID E500」20個
・充電・給電器「Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Concept」36台

ライターお勧めの関連記事はこちら