いよいよ登場、2代目「NSX」の最新2019年モデル! 特徴・強化点をチェック
遂に正式発表された2019年式「NSX」。ティザーサイトで紹介されていた、オレンジ系の新色ボディーカラーは、正式名称「サーマルオレンジ・パール」だ。
8月24日にティザーサイトがオープンし、秋に正式発表として長らく”COMING SOON”となっていたホンダの2019年式「NSX」(記事はこちら)。いよいよ10月25日に正式発表となった。同日より購入受付がスタートし、2019年5月からの発売となる。価格は据え置きの2370万円(消費税8%込み)だ。
なお、今回は「タイプR」のような新グレードではない。2代目「NSX」の開発のコンセプトに、「常にスーパースポーツとして進化させる」があり、それを形にしたものである。
特徴その1:ボディーカラーに新色「サーマルオレンジ・パール」が設定
NSXは米ホンダのオハイオ州の専用工場で製造されている。塗装は複層工程で塗り重ねており、深く独特の「とろみ」のある質感を追求しているという。ちなみに2019年式もボディーカラーは全8色で、今回の「サーマルオレンジ・パール」が加わったことで、「ノルドグレイ・メタリック」がなくなった。
エクステリア関連では、新色「サーマルオレンジ・パール」が追加されたことが最も大きなポイントだろう。カリフォルニアに昇る朝日をイメージし、最高の彩度を目指したオレンジだ。初代「NSX」の「イモラオレンジ・パール」にインスピレーションを得て、現在の塗装技術を駆使してより鮮やかなオレンジに刷新したという。
そのほかボディーのカラーリングに関しては、フロントグリルを従来のシルバーからボディーと同色にしたことが挙げられる。
初代「NSX」のうち、1997年2月のマイナーチェンジで登場した「タイプS」にのみ設定された「イモラオレンジ・パール」は、後に全グレードに設定された。イモラとは、F1の開催サーキットとして知られるイタリア・イモラ市のアウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリを指す。1994年、アイルトン・セナが事故死したサーキットとして知られている。
またフロントとリアのメッシュパーツや、オプション設定の各種カーボンパーツを、従来のツヤ消しのマット仕上げからツヤのあるグロス仕上げに変更。質感を向上させることが狙いで、シャープなたたずまいを強調するようにしたという。
ホンダのオーナメント(エンブレム)とナンバープレートに挟まれたフロントグリルのV字パーツが従来はシルバーだったが、2019年式からボディーカラーと統一された。またライト下のエアインテークのメッシュパーツがつや出しのグロス仕上げに変更となった。
「NSX」2019年式のリアビュー。リアのメッシュパーツもすべてグロス仕上げに。
(上)オプション設定の各種カーボンパーツの1つリアデッキリッドスポイラー。(下左)フロントスポイラー。(下中)サイドシルガーニッシュ。(下右)リアディフューザー。下の3種類のパーツはカーボンファイバーエクステリアスポーツパッケージに含まれる。これらカーボン製のオプションパーツもグロス仕上げとなった。
また「サーマルオレンジ・パール」の追加に合わせ、オプション設定のカーボンセラミックブレーキローターのブレーキキャリパーにも新色としてオレンジが追加された。
オプションのカーボンセラミックブレーキローターのブレーキキャリパーのカラーリングはブラック、シルバー、レッドの3色だったが、4色めとしてオレンジが追加された。
特徴その2:インテリアには新色のインディゴが追加され、アルミ製のペダルとフットレストが標準装備に
新色のインディゴ。エボニー、オーキッド、レッド、サドルもそのままラインナップされている。
インテリアのカラーリングは、ブルー系の上質なイメージのあるインディゴが新色として追加され、全5色となった。インディゴは、セミアニリンレザー、アルカンターラ・パワーシート、アルカンターラ・ルーフライニングがセットとなっている。
また、従来はオプション設定の一部だったアルミ製スポーツペダルとフットレストが2019年式では標準装備となった。
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続いてはよりアップしたパフォーマンスについて
特徴その3:走りはどこが変わったのか? パワーアップポイントをチェック!
外見だけでなく、走りのパフォーマンスもさらに高められた2019年式。
ホンダは限界域での走行においても、コーナリング時の高いGでのコントロール性や車両安定性を追求し、2019年式「NSX」にさまざまな改良強化を施した。2019年式は、市街地、ワインディングロード、さらにはサーキットでの限界域でのスポーツ走行まで、あらゆるシーンでのコントロール性、アクセル操作におけるドライバビリティー、路面との接地感の向上が目指され、ダイナミクス性能を進化させたという。
そのために行われた改良強化は多岐にわたる。新開発の専用タイヤを採用した上に、サスペンション各部の見直し、各部の剛性アップなどが施された。従来より剛性アップが図られたパーツは、まずスタビライザーがフロントで26%、リアで19%。さらに、リアコントロールアームブッシュが21%、リアハブで6%高められ、クルマとしての基本性能を向上させたとしている。
さらに走りを極めるため、剛性の強化など、クルマとしての基本性能の向上が図られたほか、走行モードなどの車両制御のシステム面も熟成された。
同時に、走行シーンに応じて最適な車両特性を選択できる「インテグレーテッド・ダイナミック・システム」の4種類のモードにおける制御の最適化も実施された。そして減衰力を変更可能なアクティブ・ダンパー・システム、VSA(※1)、EPS(※2)の各制御、「SPORT HYBRID SH-AWD(※3)」の駆動配分制御の調整も行われた。これらにより、低中速域での切れのよいハンドリングと、高速域での安定性を高次元で両立させたという。
※1 VSA:Vehicle Stability Assist。車両挙動安定化制御システム
※2 EPS:Electric Power Steering。電動パワーステアリング
※3 SPORT HYBRID SH-AWD:SH-AWDとは、Super Handling-All Wheel Driveの略で、ホンダ独自の全輪駆動システムの名称。「NSX」の場合は、3.5L・V6ツインターボエンジンと3基のモーターで構成される。モーターは前の2輪それぞれにトルクベクタリングを実現するために独立して搭載され、もう1基はターボラグを解消するためにエンジンをアシストする目的で搭載されている。トルクベクタリングについては、別記事「マツダのベクタリング技術は、他社とは違う。そもそもベクタリングって何?」に詳しい。
「NSX」には、4種類の走行モードを選択できる「インテグレーテッド・ダイナミック・システム」が搭載されている。4種類とは、市街地走行など通常モードの「スポーツ」(左上)、ワインディング用の「スポーツ+」(右上)、サーキットでの限界走行用の「トラック」(左下)、アイドリングストップやEV走行など静粛性を目的とした「クイット」(右下)。
2代目「NSX」は2016年に発表され、2017年から発売を開始。年産100台のところ、すでに約400台のオーダーが入っている状況だ。今回の2019年式によって、スーパーカーとしての魅力がより増したのは間違いないだろう。納車までの時間がさらに延びそうである。
ちなみに佐藤琢磨選手のインプレッション動画のフルバージョンも公式サイトで公開された。どう走りが変わったのかが収められている。
2018年10月30日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)
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