本場ドイツのビール祭り オクトーバーフェストの 季節ですよ~!
© picture alliance / Eventpress
最近、日本でも人気のオクトーバーフェスト。
ドイツ最大のミュンヘン・オクトーバーフェストは、10月の第1日曜日を最終日とする16日間と決められており、今年は9月16日~10月3日に行われる。ビール祭りのシーズン到来ということで、本場ミュンヘンのオクトーバーフェストについて紹介したい。
そもそもオクトーバーフェストって何?
元来オクトーバーフェストは、ドイツ各地で行われていたビール醸造の幕開けを祝うお祭りである。
ドイツ最大のオクトーバーフェストは南ドイツ・バイエルン州の州都、ミュンヘンで開催されるもので、約600万人が来場するという。ミュンヘンのオクトーバーフェストが、モンスターイベントに成長したきっかけは、1810年にバイエルン王ルードヴィッヒ1世がテレージエンヴィーゼという場所で結婚式を行ったことに由来する。
同時にスポーツ大会のような形で結婚を祝う祭りが行われ、娯楽の少ない時代に市民に好評で毎年開催されるようになった。つまり市民のイベントだったものにビールが売られたり、屋台ができたり、パレードが行われたり世界最大規模のビールの祭典である今の形へと発展していったという訳だ。
ビールテント「ホーフブロイ」で盛り上がる来場者。© picture alliance / dpa Photographer: Andreas Gebert
ドイツビールってなんで有名なの?
穀物の収穫や気温などドイツの風土がビール作りにあっていたことに加え、1516年バイエルン公ヴィルヘルム4世が制定した「ビール純粋令」の影響が大きいそうだ。
この法律により、ビールの原料が「麦芽、ホップ、水、酵母」に限定されたことで、ビールの品質が格段に向上し、ついにはドイツをビール王国たらしめたといわれる。
© picture alliance / kb-photodesign/Shotshop
オクトーバーフェストでは何が楽しめるの?
おおよそ東京ドーム9個分の広大な敷地の中で、なんといってもメインとなる場所は、ビールや食事を味わえるビールテントである。
ビール祭りを楽しむ人々の熱気がこもった巨大なビールテント。© picture alliance / dpa
オクトーバーフェストでは、ミュンヘン市内にある16世紀からビールを作り続けている伝統的6つの醸造所(「アウグスティーナ」、「ホーフブロイ」、「レーベンブロイ」、「パウラーナー」、「シュパーテン」、「ハッカー・ショール」)だけがビールを出すことができる。
つまりミュンヘンの地ビール、それもお祭りのために醸造された「フェストビア」または「ヴィーゼンビア」と呼ばれるオリジナルを味わえるのが目玉だ。
アルコール度は少し高めの6%前後で、1リットルのジョッキで運ばれてくる。ビールの値段はテントごとに決められており、今年のヴィーゼンビアは10.60~10.95ユーロ(約1375〜1421円、8月16日換算)と発表されたばかりだ。
ビールを給仕するスタッフは1リットルジョッキを6つ運ぶ。picture alliance / ZB
一般にドイツでは、ビールはミネラルウォーターより安いといわれていて、統計によると1リットル当たりの平均は1.63ユーロ(約210円、8月16日換算)である。オクトーバーフェストで出されるフェストビアは特別な機会のビールといえよう。
歌って踊ってビールがうまい!
ヨーロッパ人の中でも時間通り勤勉に働く「真面目」なイメージのドイツ人が、思いっきりはじけてしまうのがオクトーバーフェストとカーニバルである。
ビールテントの中には長イスとテーブルがズラリと並べられ、昼間から人々で賑わっている。生バンドの演奏が始まれば、長イスの上に立ち上がり踊りだす人もいるし、「乾杯の歌」がかかれば会場が一体となって肩を組んで歌い乾杯をする。ビールを飲めばみんな友達といったように隣の人ともすぐに仲良くなれてしまう。こういった普段とは違う陽気なドイツ人と肩を並べて過ごす時間もオクトーバーフェストならではだ。
© picture alliance / dpa
ねらい目は家族経営の醸造所
ビールテントは、ホーフブロイハウスやレーベンブロイのように巨大なものと、家族経営の醸造所の小さなテントがある。家族連れやのんびりと楽しみたい人には、小さめのテントがおススメだ。
今年はビールテントが9つ、レストランやカフェによるテントが7つ出展される。期間内はほぼ満席状態だが、平日の昼間と日曜の夜は比較的すいている。各醸造所のHPから予約することもできるが、10人以上などの団体でしか予約は受け付けていない。
ミュンヘンっ子に美味しいと人気のミュンヘン最古の醸造所アウグスティーナ、賑わいが会場随一、乾杯の嵐のホーフブロイのテントも体験してみる価値はありだ。
小さめのテントにて友達同士でビールを楽しむドイツ人女性。© picture alliance / dpa
ビールそんなに飲めないんですけど
オクトーバーフェストでは、バイエルン地方の豪快な肉料理やソーセージなどドイツ料理の数々が楽しめる。
岩塩が付いている「プレッツェル」は、食べる前に塩を落とし、残った塩味を味わうのが一般的な食べ方だ。また「オバッタ」というクリームチーズにハーブと玉ねぎを混ぜたチーズディップもプレッツェルとの相性が抜群である。
他にも、粒入りの甘いマスタードを添えて食べるバイエルン名物の「白ソーセージ」、「豚の丸焼き」や会期中のミュンヘン会場だけで50万羽が消費されるという「ローストチキン」、骨付きの豚のすね肉をじっくり焼いたものにビールソースをからめた「シュヴァインスハクセ」、「魚の串焼き」など、ビールだけでなく食事も充実している。
左から白ソーセージと粒入りマスタード、そしてプレッツェル。© picture alliance / Marco Hegner/Shotshop
また、敷地内には絶叫マシーン、お化け屋敷、ジェットコースター、観覧車など巨大移動式遊園地が出現する。スイーツやスナックの屋台も出ていて子供から大人まで楽しめるようになっている。
移動式遊園地を有するオクトーバーフェストの夕暮れ時。© picture alliance / dpa
遊園地内にある「見世物小屋」。レトロな看板が味わい深い。© picture alliance / dpa
今年の最新情報は?
今年初めてスマートフォンでビールの支払いができるシステムが導入される。ドイツのビールは日本のようにキンキンに冷えてはいないが、ビールを美味しく飲むためのバンド式のクーラーも発売される。
スマホのバーコードによるキャッシュレスで支払いができるようになる。© picture alliance / dpa
ビールが生ぬるくなるのを防ぐクーラー。© picture alliance / dpa
おみやげとして人気なのは、ハート型のお菓子「レープクーヘン」、陶器のビールジョッキ。南ドイツやオーストリアの民族衣装であるフェルトの帽子も男性、女性に限らず好評だという。
去年の陶器ジョッキ。ジョッキの柄は毎年変わる。© picture alliance / dpa
ドイツ語で「I Love You」などと書かれたレープクーヘンはおみやげの定番だ。© picture alliance / dpa
通の格好は?
地元民やリピーターは、男性はレーダーホーゼといわれる革の半ズボン、女性はディアンデルと呼ばれる胸元が強調された民族衣装で現れる。
こういった伝統的な装いは南ドイツ独特で、北ドイツ地方にはほとんどみられない風習だ。
サッカーチーム「FCバイエルン・ミュンヘン」のプレーヤー、トーマス・ミュラーと夫人も民族衣装で。© picture alliance / Rauchensteiner
© picture alliance / Eventpress
ビールの死体?
オクトーバーフェストでは、毎年、許容量を超えるアルコールを飲んで気絶する若者が多く出る。芝生に泥酔状態で横たわっている人々をドイツ語で「Bierleichen(ビアライヒェン=ビール死体)」といい、スタッフにより医療テントまで運ばれ介護を受ける。
酔いつぶれたビアライヘェンたち。アルコールはほどほどに。© picture alliance / dpa
伝統行事のパレード
最後に、日本ではビールが飲めるイベントくらいに思っている人も多いだろうが、ドイツのオクトーバーフェストは伝統行事に則った祝祭イベントでもある。初日と2日目には、ミュンヘン市長や豪華な飾りのビール樽を積んだ地元醸造所の馬車、民族衣装を着た約8000人の参加者が、ブラスバンドの演奏にあわせて市内を練り歩く。
初日の正午にミュンヘン市長が最初のビール樽を開け、「O’zapft is!(バイエルン方言で「樽が開いた!」)」と宣言することで正式にオクトーバーフェストは幕を開けるのである。
豪華な飾りが施されたビール醸造所の馬車。© picture alliance / dpa
民族衣装を着た市民もパレードに参加する。© picture alliance / dpa
参考:オクトーバーフェスト公式サイト、ドイツニュースダイジェスト
2017年8月17日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)