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クルマ最終更新日:2023.06.21 公開日:2022.09.06

日本初!EVトラックを改装したキッチンカー。今後の道を拓くか

キッチンカーの製作販売を行うフードトラックカンパニーは、2022年8月、軽トラEVをベースに改装したキッチンカーを開発した。キッチンカーを目的としてEVトラックを8ナンバー登録させた例は日本で初となり、将来的に普及するであろうEVキッチンカーの先駆者として多くのデータ集積が期待されている。

文=原田磨由子
写真=フードトラックカンパニー

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EVトラック・キッチンカーの開発経緯

EVトラック版「キッチンボックス350」のベース車両には2017年に生産に終了した三菱自動車のEVトラック「ミニキャブミーブトラック」が使用されている。

 毎月30台以上のキッチンカー製作の実績があるフードトラックカンパニーは、これから本格的な普及が見込まれるEVトラックに注目。EVトラックベースのキッチンカー製作や、販売・営業分野で活かせるデータ収集を目的として、EVトラック・キッチンカーを開発している。

 調理設備が内装された移動販売車をキッチンカーと呼ぶが、これまで日本国内には「キッチンカーを目的としたEVトラック」の8ナンバー(特殊用途車両:加工車)への構造変更実績がなかった。そのため、同社は陸運局と5か月間にわたって車両構造に関する協議を重ねながら、国内初の検査合格に至ったという。

業界の未来を見据えて

 キッチンカーとしての営業許可を取得するための設備基準は、ガソリン車かEV車かということは、現状では食品衛生法では問われていない。

 しかし、EV車にキッチン設備を架装した上で自動車として登録するためには、道路運送車両法に基づき、陸運局で構造変更のための予備検査や車両登録の必要がある。この構造変更の登録は、陸運局で過去の検査実績が存在しない場合、多くの時間がかかり、承認に至らない場合もあるので、業界の将来のためにも事前の取り組みが重要となる。ありそうでなかったEVトラック・キッチンカーは、こうして検査実績の前例を作ることに成功したことで、後から続く車両登録のハードルを下げたことになるだろう。

 ちなみに今回の車両登録では、自動車税(環境性能割)、自動車税(種別割)、自動車重量税は、いずれも0円であったそうだ。

同社のスタンダードモデルの最大の特徴は、運転席の上部に突き出しているキャブオーバー。軽トラックサイズの唯一の欠点とも言える積載スペースの狭さを、キャブオーバーの収納スペースが補っている。

車両の背面から見た車内の様子。背面と左側面のどちらからでも接客が可能。

EVトラック・キッチンカーはガソリン車と異なり、荷台下にバッテリーケースが格納されているため、従来のキッチン機能を備えつつ、運用後のメンテナンスも楽に行える。

EVキッチンカーの普及に備えて

 日本のキッチンカーは、一般的に自動車を架装して製作することから、どうしてもベースとなるトラックやバンのEV車が普及し始めてから、ようやくキッチンカーにも普及の波が訪れる構造となっている。

 一見すると、調理器具や保冷温機器に、電飾や決済管理なども電力で賄えるEV化は利点も多そうだが、長時間営業に必要な電力の確保や、法の整備以外にも可視化されていない課題はありそうだ。このEVトラック・キッチンカーでの実験を通して、普及の波に乗り遅れないよう準備を進める彼らを応援していきたい。

 実車が気になる人は、2022年9月14日(日)までフードトラックカンパニー東京本社にて展示されているので、見学を申し込んでみよう。予約ページ→https://foodtruck.co.jp/muryokengaku/

こちらはスズキのキャリィをベース車両とした、ガソリン車の「キッチンボックス350」。税込み価格255万2000円で販売中。

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