2022年08月23日 14:40 掲載

クルマ F1パワーユニットを製造する「HRC Sakura」ホンダモータースポーツ活動の心臓部を取材:F1パワーユニット編

2022年8月2日にホンダは、栃木県さくら市にあるF1パワーユニット(F1PU)の製造やSuper GT用マシンの開発、Super Formulaのエンジン開発を行う施設「HRC Sakura」の一部をメディアに公開した。今回は「F1PUの技術的な支援」の内容をクローズアップする。

くるくら編集部 小林 祐史

HRC Sakuraが行う「技術的な支援」とは

レッドブルRB18のエンジンカウルに入るHRCのロゴ

レッドブルRB18のエンジンカウルに入るHRCのロゴ ⓒMark Thompson/Getty Images / Red Bull Content Pool

 2021年シーズン限りでF1参戦を終了したホンダだが、2022年シーズンからはレッドブル・レーシングやスクーデリア・アルファタウリを傘下に持つレッドブル・グループへ、F1パワーユニット(PU)の技術的な支援を行うこととなった。その2022年型のPUとは、2021年型をベースに、2022年のレギュレーションに合致させながら、2022年型のF1マシンに合わせた形状変更を行ったものとなる。2021年シーズンまでならば、これらに加えてPUのパフォーマンスを向上するためにエンジンやバッテリーなどへ新技術が投入されていたが、「技術的な支援」となった2022年シーズンからは、そのような新技術投入はされていない。

 ちなみに、2022年のPUレギュレーションで一番の大きな変更点は、バイオ燃料のエタノール成分の体積比が従来の5.75%から10%に引き上げられた「E10燃料」に変わったことだ。これにより燃焼する際の特性が大きく変わり、馬力も数十馬力ほど低下するといわれている。それについてはF1PUプロジェクトの責任者である浅木氏は「調整」で対応した、と今回は説明してくれた。しかし燃料が大きく変わったので、2022年の調整は大掛かりなものだったのではないだろうか?

 そんな2022年仕様のPUに関するトピックとしては、2025年シーズンまでPUの新規開発が禁止されるというレギュレーションも追加された。つまり全チームが新技術を投入せずに2022年仕様のPU2025年まで使用することとなったのだ。これが大きな契機となり、ホンダはレッドブル・グループへの技術的な支援を2025年まで延長することとなった。

供給、開発、運営サポートの3つのフロー

HRCのF1PU供給/エンジニアリングサポートのフロー図

HRCのF1PU供給/エンジニアリングサポートのフロー図 写真=小林祐史

 2022年シーズンにHRC Sakuraで行われているF1PUの技術的な支援の内容は、大きく分けて「PU開発」「PU供給」「レース運営サポート」の3つになる。次ページからはそれぞれで、どのような作業が行われているかを紹介する。

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