キャンピングカートレンド最前線 Vol.1:普段使いも車中泊もすべてを賄うアウトドア仕様~アソモビ2022 レポート~
8月6~7日に幕張メッセで開催された、クルマとアソビを融合させたイベント「アソモビ2022」では、全国から多様なキャンピングカーが集結。そこで、キャンピングカーのトレンドをカテゴリーに分けて追ってみることにする。第1回目は、日常のクルマとしても使えて、快適な車中泊もできる「何も諦めないバン・ライフ」!
キャンピングカー人気が止まらない!
一般社団法人日本RV協会(JRVA)が調査・集計しているデータによると、2021年の国内キャンピングカー販売売上が、過去最高を記録。キャンピングカーの累計保有台数は136,000台となり、コロナ禍にありながら、安定して売れ続けている。
キャンピングカーブームを牽引しているもの、それは裾野の拡大である。以前はキャンピングカーと言えば、海外製のフルコンやキャブコンに、キャンピングトレーラーのような豪快なスタイルを指していたが、近年ではそれらに加え、バン、ミニバン、ワゴン車に、軽自動車をベースに改造したスタイルが台頭し、間口が一気に広がった。
そしてここ数年では、車内=プライベート空間で他者との接触を避けられる場所、という認識も加わり、動画チャンネル人気と、それと並走しているキャンプブームと相まって、大変な盛り上がりをみせている。
日本人にとってキャンピングカーは、車両のグレードを競うより、個人や家族で、どんなスタイルでも受け入れてくれる懐の深さに魅力を感じているようだ。それは今回のイベントでも強く感じたことで、”どんな車もキャンピングカーにしてしまおう”という次なる流れが確実に到来している。
そこで今回は、フルコン・キャブコン・トラキャン・軽キャンパーなどのカテゴリー別ではなく、何ができるのか、というスタイル別でクルマを紹介していく。
まずは、キャンピングカーというよりは「快適な車中泊もできるアウトドアな車」から見てみよう。
街乗り商用車×アウトドア!
「トヨタ プロボックス」をアウトドア顔へ進化させる大阪発のカスタムブランド「PROBO STYLE」より、「PROBOX 160TYPE」が出展。元が商用バンのプロボックスは、リッター10kmを超える燃費と、街乗りや細い道でも走りやすいサイズが魅力だ。白やシルバーのザ・商用車カラーを” IGUSA”グリーンのマットクリアで塗装(47万3000円)し、ライトカバー(6万6000円)とタイヤを履き替えてリフトアップ(25万3000円)すれば、ミニマルSUVへと変貌を遂げる。
さらに防傷、防錆、防汚に優れ、ザラザラとした無骨な質感で大人気の「ラプター塗装」を施したグリル(8万2500円)とグリルガード(13万2000円)に、レトロな「TOYOTA」のエンブレム(1万6500円)を装着すれば、一気にアウトドア寄りな外観となる。
PROBOX 160TYPEのカスタムは3タイプのカスタムセットだと割引が適用されてお得なので、好みのスタイルから選ぼう。
(A)LIGHT SET:リフトアップ+カラー変更+ライトの3点セットで73万9200円
(B)STANDARD SET:(A)+グリル+エンブレムの5点セットで83万500円
(C)FULL SET:(B)+グリルガード+ルーフキャリアの7点セットで99万5500円
もともと積載量があるプロボックスの外部ストレージとして、ルーフキャリアとヒッチカーゴ (11万1100円)を追加することで、さらに積載量をアップできる。リアラダー(8万8000円)も装着すれば四駆車のような雰囲気を醸してくれる。
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純正アクセサリーで揃えたアウトドアカーを紹介
純正アクセサリー×アウトドア!
ホンダアクセスからは、車中泊をコンセプトとして、純正アクセサリーのみで構成したN-VANとステップワゴンが出展された。まずは「N-VAN +STYLE FUN Honda SENSING/FF」(モデルチェンジ前のタイプ)から。
アウトドア仕様としてはルーフキャリア(3万3000円)での道具運びや、バックドアを開けた状態で装着するテールゲートカーテン(2万4200円)が準備や着替えに便利だ。車中泊目線でありがたいのが、外からの視線や光を遮断してくれるウインドウメッシュ&カーテンに、施設からコンセントで電力を引っ張ってこれる外部電源入力キット(3万7400円)。アクセサリーは純正品なだけあって、車との相性は完璧で、パーツも安定して確保できるのが嬉しいところだ。
車両本体価格169万5100円に加え、エクステリア15項目、インテリア27項目、ナビオプション8項目の、計50項目にも及ぶアクセサリーが102万1900円。合わせて271万7000円となる。
「STEP WGN AIR」もN-VANと同様に、キャンピングカーやキャンプ用品を持っていない人向けに、純正アクセサリーで車中泊ができる仕様を提案。
ステップワゴンは前席とセパレートできるカーテンを装着することで、運転席と助手席はそのままに、後部座席をフルフラットにするだけで車中泊を楽しめる。また、100V/100WのACコンセントを追加すれば、電化製品の使用も可能となる仕様だ。
こちらはエクステリアが7項目、インテリアが18項目、ナビオプションが7項目で、計32項目で149万8530円、車両と合わせると、502万9530円となっている。
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独特な世界観を持つカスタムカーを紹介
ガレージ×アウトドア!
ガレージ向けのアウトドアギアやウェア、カーインテリアを出がけるGORDON MILLERのカーブランド「GORDON MILLER MOTORS」からは、ニッサン NV200バネットをベースにした「GMLVAN C-01」が出展。深みのあるカーキ色はゴードンミラーオリジナルカラーの「オリーブドラブ」で、他にもベージュ系カラーの「コヨーテ」がある。塗装は日産の生産工場で施されているため品質は折り紙付き。
内装の木材には天然のアカシア(ホワイトウォールナット)を天井・フロア・左右の4面に使用し、カッチリとした高級感を演出。ルーフには調光機能付きのLEDダウンライトが6か所に配置され、セレクトショップの様なアーバン(都会的)な雰囲気が漂っている。車中泊に欠かせないカーテンは標準装備。その他、前席と後部座席のシートにオリジナルカバーが採用されており、これらを含めて参考販売価格は2WDが440万円、4WDでは473万円となる。
最大の特徴が、後部座席とラゲッジスペースのフロアの組み換えによる、4つのモード移行機能だ。フロアボードを持ち上げてテーブルにし、向かい合うように座れるリビングモード(写真)、座席に寄りかかりながら外を眺めるカウチモード、全面フルフラット状態でセミダブルベッドサイズになるベッドモード、そしてすべてのフロアボードを格納し、収納力に特化したラゲッジモードだ。ラゲッジモード以外は常にフロア下段は収納スペースになるため、モードを変更するたびに荷物を降ろす必要もなく、組み換え簡単なのが実用的だ。バックドアは基本的には開放しておくと気持ちがよさそうだ。
同じくGORDON MILLER MOTORSより、トヨタ ハイエースをベースとした「GMLVAN V-01」。この車両もC-01と同様に後部座席とラゲッジスペースのウッドパネルを組み換えることで、4つのモードにチェンジできる。参考販売価格は2WDのガソリン車で550万円~。
番外編 車中泊の成否は寝心地にあり!
車中泊の失敗談を挙げると必ず出てくる、マットレスを侮ったせいで快眠できなかったというエピソード。車中泊において寝床はフルフラット、かつ、程よく沈み込むマットレスがないと寝返りを打てず、寝不足な朝を迎える羽目に遭うのである。
そこで、寝具メーカー「Bodydoctor」と、軽バン、軽トラのリフトアップを行う「フォレストオート・ファクトリー(FAF)」が共同開発した正反発マット「FAF パーフェクトマット」の性能が素晴らしかったので単品で紹介しよう。
正反発マットとは、重さと同じ比率だけ沈み、圧力と同等の力で内側から反発される力を指しており、重量が違う物質を並べても、同じ比率で沈むため、中心線は常に一定となり、圧力を理想的に分散してくれるものである。「FAF パーフェクトマット」は60×60×5.5cm、3枚1組で税込み3万9800円だ。
まとめ
このアウトドア仕様の車はキャンピングカーという目線で見るとライト層向けに感じるかも知れないが、乗用車としての機能を一切損ねていないので、街乗りから多目的なレジャーまで、一台ですべて賄いたい人向けのスタイルでもあるのだ。
参考にしたいのは、どのカスタム車両も就寝スペースはフルフラットで、電源や収納スペースの追加、そして外観にアウトドア感を出して気分を盛り上げること。
一気にフルカスタムではなく、必要なものを少しずつ足していける手軽さも、このスタイルの魅力だ。