2022年08月05日 12:30 掲載

クルマ F1パワーユニットを製造する「HRC Sakura」ホンダモータースポーツ活動の心臓部を取材

2022年8月2日にホンダは、レッドブル・グループへ2025年シーズンまでF1パワーユニット(PU)の技術的な支援を継続すると発表した。また同日に栃木県さくら市にある、F1PUの製造やSuper GT用マシンの開発、Super Formulaのエンジン開発を行う施設「HRC Sakura」の一部をメディアに公開した。F1PUの開発・製造などといったホンダ4輪モータースポーツの心臓部であるHRC Sakuraの内部を紹介しよう。

くるくら編集部 小林 祐史

F1PUの製造、Super GTの開発から歴史的マシンの動態保存も行う施設

RVベンチ

F1PUをレッドブルやアルファタウリへ送り出す前の動作確認や、サーキットごとのセッティングをシミュレーションするための施設であるRVベンチ 写真=ホンダ

 2022年82日にホンダのレース活動を運営するホンダ・レーシング(HRC)は、レッドブル・グループの要請を受け、F1パワーユニット(PU)の技術的な支援を2025年シーズンまで継続することを発表した。F1PUに関しては2025年まで現在のレギュレーションが継続され、かつ開発も凍結されることとなっている。これにより、当初は2022年までだったHRCのレッドブル・グループへのF1PUの技術的な支援も、2025年まで延長されることになった。

 また同2日に栃木県さくら市にある「HRC Sakura」(Sakura)のF1PUの製造やSuper GT用マシンの開発を行う施設の一部をメディアに公開した。前述のレッドブル・グループへの支援延長に伴いSakuraでのF1に関連する業務も2025年まで継続される。

F1PUの組立室

F1PUの組立室。21組で1基のPUをくみ上げる 写真=ホンダ

4F1活動のため2014年に設立

HRC Sakuraの外観

Sakuraの外観。こちらはF1PUの組立室やVRベンチなどが入った建物。風洞実験室は別の建物となる。ちなみにここの社員食堂でも、ホンダ社員食堂の名物であるカレーうどんのメニューがあるそうだ 写真=ホンダ

 栃木県さくら市にあるHRC Sakuraは、2014年にF1PUを開発・製造するために設立された研究施設だった。開設後はF1以外のレーシングカーや市販車の開発業務も担うことになった。しかしホンダは2019年にカーボンニュートラルへ技術力を集中することを理由に、2020年シーズンをもってF1への参戦を終了することを発表。そして翌2020年には、2021年からのF1への関わり方は「技術的な支援」へ移行すると発表した。加えて2021年からバイクのレース活動を運営するホンダ・レーシング(HRC)が、Sakuraを含む4輪のレース活動を担当することとなった。この一連の動きに伴いSakuraの名称が四輪R&Dセンター(HRD Sakura)からHRC Sakuraへと変更された。

 今回は、HRC運営となった現在のSakuraが、F1Super GTなどのモータースポーツ活動でどのような研究や開発と製造を行っているかをメディアに公開してくれた。

 公開された施設はF1では、PUの製造・メンテナンスや部品検査、レースセッティングのシミュレーション、レースウィーク中におけるレッドブル・レーシング、スクーデリア・アルファタウリの両チームへの支援体制など。Super GTでは風洞実験室やドライブシミュレーターが公開された。いずれも部外者は立ち入り禁止となっている領域だ。

 そこでは同じミスは繰り返さないことや、作業の精度の高さを追求するという姿勢が貫かれており、それによってサーキットでレーシングカーが最善を尽くせる状況が作り出されていることが実感できた。

風洞実験室

Super GTの空力開発を行う風洞実験室 写真=ホンダ

歴史的車両の動態保存も担当

ホンダRA300

1F1活動時のマシンであるRA300の動態保存をサポートするSakura 写真=ホンダ

 Sakuraは最新レーシングマシンの開発と同時に、モビリティリゾートもてぎにあるホンダコレクションホールに展示されている歴史的な車を動態保存するための、メンテナンスや修復作業も担当している。当時の図面や資料などを元に作業が行われるのだが、その際に最新のF1PUの部品検査でも活用されている工業用CTスキャナーを使って、歴史的車の部品内部の状態などを確認しているそうだ。

 作業担当者によると、図面や資料と実物を突き合わせながら「なぜ」このような仕様になっているかを考察しながら作業を進めているそうだ。この「なぜ」の究明は、図面や資料には書かれていない当時の課題解決を図った担当者の意図を遡る作業になる。それは車の原理に立ち返って、課題解決の理論的な裏付けを学ぶ機会になるそうで、さまざまな学びや知見を得られるとのこと。

次回のF1編では最新技術を紹介

 今回は1回の記事で紹介しきれないほど濃い取材だったので、F1編とSuper GT編に分けた3回構成で紹介する。次回のF1編では最新技術とともに、どのような技術支援を行っているかを紹介する。


Super GTのエンジンや第4F1活動のPU
動態保存するRA300
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