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クルマ最終更新日:2022.08.12 公開日:2022.08.12

ベースはなんと、ハンヴィーH1! 最強の水陸両用車「H1-Panther」が登場!

米国WaterCar社製の水陸両用車「Panther」が5代目となる「H1-Panther」へと進化を遂げた。先代とは大きく異なるシルエットを持つ「H1」とは、軍用車であるHMMWV H1をボディーに採用したモデルのことだった! 圧倒的な迫力で陸や海を走り抜ける姿を、是非、確認してみてほしい!

文=くるくら編集部
画像=WaterCar

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WaterCarの「Panther」をご存じか?

動画=WaterCar Amphibious Vehicle Manufacturer

 WaterCar社はアメリカ・カリフォルニア州にある会社で、世界最速の水陸両用車の製品開発を掲げて1999年に設立された。シボレーのコルベットエンジンを搭載している初代の水陸両用車は「Python(パイソン)」と名付けられ、陸上での最高速度は時速204km、水上でも時速52kmを記録し、2010年のギネスブックにも最速の水陸両用車として登録された。水陸両用車はこれまでも多くの企業で製作されていたが、見た目は普通の乗用車、それでいて水上走行もこなし、高い走行能力を有していたことで、世界中から注目を浴びることになった。

 その後、2013年に初の市販車として「Panther(パンサー)」が完成。ジープ風の外観にホンダ3.7リッターV6エンジンが搭載され、砂漠も水上も安定して走れる走破性を獲得している。

左がWaterCarの初代水陸両用車「Python」。右が2013年に初の市販車として登場した「Panther」。

 Pantherはその後もバリエーションが増え、2017年には火災救助を目的とした水陸両用の消防車が誕生している。水上で1分間に4,000L近くの水を吸い上げることができ、陸上走行から水上走行まで3秒でモード移行が可能となっている。

2017年に登場した、水陸両用消防車。もともと水上はポンプジェットで推進する仕組みなので、応用する形でホースから放水できる。

 そして2022年、最新のPantherはHMMWV(ハンヴィー)のH1をベースとして最高の汎用性を持つモデル「H1-Panther」へと生まれ変わった。ちなみにHMMWV(またはHumvee)はHUMMER(ハマー)として知られているが、違いは軍用車がハンヴィー、商用車がハマーである。ハマーは2010年に生産が中止された(SUVは2023年初頭に生産開始予定)が、ハンヴィーはAMゼネラルで生産が続いている。

なぜハンヴィーH1がベースになった?

 ハンヴィーH1はその重厚なイメージとは異なり、遠隔地に空輸やパラシュートで降下することも想定されているため、軍用車両としては軽量に作られている(車体重量3,091-3,684kg)。さらに、瓦礫や悪路を乗り越えるだけの四駆のパワーと、エンジンを完全に水没させても稼働するタフさに、現場に応じてパーツ・オプションを構成できる汎用性も素晴らしく、これらすべてが水陸両用車として理想的な性能を備えていたというわけだ。

そして、Pantherは進化した

 船体には、これまでのPantherに採用していたガラス繊維よりも高い強度を誇る一体成型のアルミ製ユニボディを採用。また、船体内には特殊な発泡スチロールを使用することで、車両は高い浮力を得て、水上で停止しても沈没することはない。そして、これまでの水陸両用車が抱えていた、ジェットエンジンにゴミが詰まり、故障してしまうという問題を、このモデルではゴミを通過させて排出する発想で解決している。

 速度に関しては、これまでのPantherと比べると、最高速度は「高速道路での走行が可能なレベル」で、水上走行速度も時速約65kmになり、エンジンもホンダからシボレーに変更されるなど、若干の寂しさを感じる人もいるかもしれない。だが、この新しい Pantherは、以前のPantherのような派手な印象がなくなり「最も楽しいクルマ」から、「最も汎用性に優れたクルマ」にシフトチェンジしたことで、モビリティが本来持つべき安全性を獲得できた姿と言えよう。

Pantherの販促動画は、楽しいクルマを目指しただけあって、軟派で賑やか!

価格は見なかったことに……

 H1-Pantherは世界中のファンへの出荷を想定し、20フィートコンテナに収まるよう設計することに成功している。しかし、ハンヴィーH1の採用にあたり、車両価格もパワーアップした。既存のPantherの価格は完成車一台で198,000ドルに対し、H1-Pantherの基本価格は465,000ドル、日本円でおよそ6,200万円(1ドル134円換算)となっている。

 日本水陸両用車協会(JAVO)によると、水陸両用車を日本国内で運用するには、安全に陸上走行と水上走行ができる事を証明し、国土交通省の許可を得ること。また、普通自動車運転免許と2級以上の小型船舶免許が必要となる。

 価格や運用条件を考えずとも、所持する人は普通ではなさそうだが、このようなクルマが存在するというだけで、モビリティの可能性はどこまでも広がっていく。

 集中豪雨や冠水の報道が増えている昨今、タフな水陸両用車が活躍するのではないかと、期待せずにはいられない。

幌を外した状態での座席の様子。後部座席には3~4名が座れる。

H1-Panther 車両スペック
全長:約6.1m
全幅:約2.1m
重量:約2268kg
最低地上高:25.4cm
高速道路走行可
水上速度:時速64.8km
乗車人数:5~6名
燃料容量:約144L
プロペラ:Mercury Bravo 2
エンジン:シボレーLS3ガスエンジン
タイヤ:大型35インチマッドテレーンタイヤ
船体:WaterCarアルミユニボディ
ライセンス:アメリカ沿岸警備隊(USCG)承認
陸上から水上走行移行まで:20秒
水上から陸上走行移行まで:6 秒
基本価格:465,000ドル

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