2021年10月04日 19:40 掲載
クルマ
WRCが2022年からハイブリッドに。
新カテゴリー「ラリー1」とは
WRCもついにハイブリッド化
フォードのラリー1 プロトタイプのチンスポイラーにはHYBIRDの文字が入る 写真=M-SPORT
世界ラリー選手権(以下WRC)は、1997年以来となる大きな変革の時を迎えることになった。市販車ベースのワールド・ラリーカー(以下WRカー)に代わって、2022年シーズン開幕戦ラリーモンテカルロから、WRC史上初のハイブリッドラリーカー「ラリー1(Rally 1)」が導入されるのだ。
WRカー規定は、エンジンキャパシティ、ハイテクデバイスの有無、空力パーツなど、さまざまな規定変更を加えながら、25年間WRCのトップカテゴリーであった。しかし、世界的な環境意識の高まりを受けて、F1やWECなどでもハイブリッドパワートレインの導入が進むなか、FIA(国際自動車連盟)はWRCへの新規定の導入を決定した。
ラリー1の燃料は合成バイオ
ラリー1と名付けられた新たなトップカテゴリーは、「量産車ベースのボディシェル」か「パイプフレーム」を選択することが可能。現時点でボディサイズは、現行WRカーと同程度を想定しているものの、スケーリングシステムにより、ボディサイズを拡大・縮小することができるため、参戦マニュファクチャラーは、自社のラインアップから自由に車種を選べるようになった。これまでラリーカーのベースモデルに相当する車種を持っていなかったメーカーに、WRC参戦の門戸を開いたことになる。
現時点ではWRカー同様に量産車ベースのボディシェルの使用も可能だが、ほとんどのチームが自由度の高いパイプフレームを選択すると見られている。もしパイプフレームのラリーカーだけになれば、1987年にグループAをトップカテゴリーとして以来続いてきた、量産車をベースとするラリーカーの歴史にピリオドが打たれる可能性が高い。
パワーユニットは、現行の1.6リッターターボの内燃機関に、各チーム共通となるドイツのコンパクト・ダイナミクス社製ハイブリッドパワートレインが組み合わせられる。最高出力100kWを発揮するモータージェネレーター(MGU)とバッテリーユニットを含む、ハイブリッドシステムはリアに搭載。リエゾンセクションは電気のみで走行し、スペシャルステージではパフォーマンス向上のためにも使用される。現時点でSSにおいてどのような局面でモーター出力を活用するのかは、明らかにされていない。また、内燃機関に使用される燃料は、合成バイオ燃料が導入されるという。
このようなリエゾン区間では電気のみで走行する予定のラリー1マシン(写真は2021年仕様のWRカー) ⓒJaanus Ree / Red Bull Content Pool
エクステリアに関しては、現行WRカーと比較すると、若干シンプルになる。補修コストがかかる繊細なカナード類やリアのディフュザーは禁止され、リアウイングも簡素化。それでも、現時点でテストを行っているトヨタ・ヤリス、ヒュンダイ i20、フォード・プーマのエクステリアは十分にレーシーな雰囲気を備えており、「迫力不足」の懸念は杞憂となりそうだ。
ヒュンダイのラリー1プロトタイプ 写真= Hyundai Motorsport GmbH
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