メーカー別に【動画で見る】タイヤパンク応急修理キットの使い方。使った後のタイヤは要交換?
国民生活センターが行った調査によると、車の「タイヤパンク応急修理キットの使い方を知らない」と答えたドライバーは約37%だったそうだ。あなたは使い方を知っている? 万が一に備え、それぞれの使い方を動画で紹介しよう。
「タイヤパンク応急修理キットの使い方を知らない」が約37%
タイヤパンク応急修理キットとは、自動車メーカーがスペアタイヤの代わりに搭載している修理剤とコンプレッサーなどからなる修理道具のことだ。またメーカーによっては、タイヤパンク修理キット、パンク応急修理キットなどと名称が異なる場合もある。
そのタイヤパンク応急修理キットに関して、国民生活センターが2019年1月に「自動車のタイヤパンク発生時の対応方法に注意」という調査を発表している。同調査では、自分で車を所有している20~60 歳代の男女5000名に対し、タイヤのパンクに関するさまざまなアンケートを行った。
それによると約74%の3707人がパンク経験ありと回答。つまり4人に3人がパンクを経験していることになる。その5000人で、タイヤパンク応急修理キットを積んでいるのは1096 人。しかし、1096人の約37%にあたる406 人が「タイヤパンク応急修理キットの使い方を知らない」と答えている。また全体の5000人中で、タイヤパンク応急修理キットを使ったことがあると答えた人は約9%の461 人だった。
近年、新車購入ではスペアタイヤがオプションになり、タイヤパンク応急修理キットが標準装備という車種が増えているにも関わらず、使い方を理解している人が少ないことが浮き彫りとなった。
タイヤパンク応急修理キットが対処できるケース
タイヤパンク応急修理キットの仕組みは、パンクしたタイヤの内部に修理剤を注入して原因の穴をふさぎ、コンプレッサーで抜けた分の空気を充填するようになっている。ただし名前に「応急」とあるように修理できるケースが限られ、修理後の走行に関する注意点もある。
<タイヤパンク応急修理キットで修理できない条件>
・パンクの穴やキズがおおよそ4mm以上ある
・サイドウォール(タイヤ側面)などのトレッド(接地面)以外に穴やキズがあるパンク
・パンクして空気圧が不十分な状態で走行したことにより、タイヤが損傷している(サイドウォールがたわみ、シワやヒビが生じている。サイドウォールが接地しているなど)
・タイヤがホイールから外れている
・ホイールが破損している
・1本のタイヤに2か所以上の穴やキズがある
・2本以上のタイヤがパンクしている(1本の修理剤で修理できるのはタイヤ1本まで)
・修理剤の有効期限が過ぎている(有効期限は2~6年とメーカーによって違う)
<タイヤパンク応急修理キットで修理後の走行条件>
・時速80km以下で走行(法定速度以内)
・通常の運転よりハンドル、アクセル、ブレーキ操作は慎重に行う
・修理後は、すみやかに整備工場やタイヤ販売店でパンク修理やタイヤ交換を行う
次ページは、タイヤメーカーによる
タイヤパンク応急修理キットの使い方の動画
タイヤパンク応急修理キットには2種類ある
国内自動車メーカーが採用しているタイヤパンク応急修理キットは、大きく分けて2種類が存在する。それは修理剤をタイヤに注入する方法の違いで区別されている。1つは「手動注入型」、もう1つは「自動注入型」だ。それぞれの使い方を説明しよう。なおタイヤパンク応急修理キットは、従来スペアタイヤが搭載されていたラゲッジスペースのアンダーボード下などに収納されている。
手動注入型の使い方
パンクの原因であるネジやクギなどの異物が抜けずに残っている場合は、そのままにしておく。最初に修理剤ボトルをよく振り中身を攪拌。次に修理剤ボトルに注入用のホースをねじ込む。
バルブコアを外す
そしてタイヤエアバルブのキャップを外し、次にキットに付属するコア回しで、バルブコアを取り外してタイヤの空気をすべて抜く。この時に空気圧でバルブコアが飛ばないようにコア回しを回す反対の手で、バルブコアを指でつまんでおくこと。
修理剤ボトルを逆さにして注入
修理剤ボトルに取り付けた注入用ホースを、エアバルブに深く差し込む(もしくはねじ込む)。差し込んだ後に修理剤ボトルを逆さまにし、手でボトルを数回つぶして修理剤をすべてタイヤに注入。使用後のボトルと注入ホースは取り外したりせずに、ホースにウェスなどを詰めておくこと。ボトルを収納する際に修理剤がこぼれる可能性があるからだ。
キットに付属する新品のエアバルブにバルブコアを取り付ける。コンプレッサーの電源がオフになっていることを確認してから、エアバルブにコンプレッサーのホースを接続。
車内のアクセサリーソケットに、コンプレッサーの電源プラグを差し込む(電源プラグを差し込む前に、エンジンを始動する、イグニッションキーをACCにするなどと、車種によって操作に違いがあるので、事前に取扱説明書で確認しておくこと)。電源をオンにして、コンプレッサーの空気圧計を確認しながら指定圧までタイヤへ空気を充填。
もし10分以内に指定圧まで充填されない場合は、修理剤が穴にしみこんでいないケースが考えられる。その場合はジャッキアップし、タイヤを手で2、3回転させて修理剤をタイヤ全体にいきわたらせてから再度、コンプレッサーで空気を充填(後輪がパンクしている場合は、前輪に輪留めをしてから、ギアをニュートラルに入れ、サイドブレーキを解除しておく)。それでも指定圧まで上昇しない場合はタイヤパンク応急修理キットでは修理不可能なパンクとなるので、救援を要請しよう。
修理後は10分間の走行
指定圧まで上昇したら、すぐにコンプレッサーをエアバルブから外し、バルブキャップを取り付ける。キット付属の速度指定シールをハンドルなどのドライバーからよく見える位置に貼り、キットを収納してから運転席に戻り、時速80km以下(法定速度内)で10分もしくは5kmを走行する。パンクの穴に入った修理剤は押し付けられると固まる仕組みとなっているので、空気を充填してから運転までは手際よく作業しよう。この走行の時点では、応急修理が確実だったか不明なので慎重に運転すること。
走行後、安全な場所に停車して、再度コンプレッサーをエアバルブに接続してタイヤの空気圧を確認。空気圧が130kPa(1.3kgf/cm2)以上あれば応急修理ができているので、時速80km以下で運転し、整備工場やタイヤ販売店などへ向かおう。なお空気圧が130kPa(1.3kgf/cm2)以下の場合は、タイヤパンク応急修理キットでは対処できないものだったので救援を要請する。
<タイヤパンク応急修理キット(手動注入型)の使い方動画/住友ゴム工業>
<手動注入型タイヤパンク応急修理キットの作業手順>
- 修理剤のボトルを振って中身を攪拌する
- 修理剤ボトルにホースを付ける
- タイヤのエアバルブからキャップとバルブコアを外す
- 修理剤ボトルのホースをエアバルブに差し込む
- 修理剤をタイヤに注入する
- エアバルブに新品のバルブコアを取り付ける
- 電源がオフ状態のコンプレッサーをエアバルブにつなぐ
- コンプレッサーの電源プラグを車内のアクセサリーソケットに差し込む
- コンプレッサーの電源を入れて、タイヤに指定圧までの空気を充填する
- コンプレッサーをエアバルブから外し、10分間もしくは5kmを走行する
- 停車し、コンプレッサーをエアバルブに接続して空気圧を確認
- 時速80km以下(法定速度以下)で、慎重に運転して整備工場やタイヤ販売店などに向かい、本格的なパンク修理を依頼する
次ページは、自動注入型の
タイヤパンク応急修理キットの使い方の動画を見てみよう
自動注入型の使い方
手動注入型と同じく、パンクの原因であるタイヤに刺さっている異物はそのままにしておく。最初に修理剤ボトルをよく振り中身を攪拌。次にホースと電源プラグをコンプレッサーから取り出す。そして修理剤ボトルをコンプレッサーに取り付ける。先ほどコンプレッサーから取り出したホースを、修理剤ボトルに接続。ボトル、ホースを取り付ける際は、しっかりと奥まで差し込む、もしくはねじ込むこと。取り付けが甘いと、修理剤が漏れる可能性があるからだ。
なお自動注入型は、修理剤ボトルをコンプレッサーに取り付ける方法がいくつかあるので、修理を始める前に取扱説明書で確認しよう。
バルブコアはそのまま
次にタイヤのエアバルブからキャップを取り外し、コンプレッサーのホースとタイヤエアバルブを接続。
車内のアクセサリーソケットに、コンプレッサーの電源プラグを接続してからは「手動注入型」と同様に、空気充填、修理キットの取り外し、時速80km以下(法定速度内)で10分もしくは5kmを走行、停車して空気圧の確認までという流れは一緒だ。
コンプレッサーで修理剤と空気を同時に注入
ただし自動注入型はコンプレッサーで空気を充填すると、最初は空気圧ゲージが300~400pKaまで上昇することがある。約1~5分で下がれば正常なので、そのまま指定圧まで充填すれば大丈夫だ。10分経過しても指定圧まで上昇しない場合は、ジャッキアップしてタイヤを2、3回転させてから、再度、空気を充填。それでも指定圧に達しない場合は、修理不可能なパンクだったことになる。
また空気を充填した後のコンプレッサーのホース口金にはキャップをする。そして修理剤ボトルをコンプレッサーから取り外さないこと。取り外すとボトルやホースに残った修理剤がこぼれるケースがあるためだ。
<タイヤパンク応急修理キット(自動注入型)の使い方動画/住友ゴム工業>
<自動注入型タイヤパンク応急修理キットの作業手順>
- 修理剤のボトルを振って中身を攪拌する
- 修理剤ボトルをコンプレッサーに取り付ける
- タイヤのエアバルブからキャップのみを外す
- 電源がオフ状態のコンプレッサーをエアバルブにつなぐ
- コンプレッサーの電源プラグを車内のアクセサリーソケットに差し込む
- コンプレッサーの電源を入れて、タイヤに指定圧までの空気を充填する
- コンプレッサーをエアバルブから外し、10分間もしくは5kmを走行する
- 停車し、コンプレッサーをエアバルブに接続して空気圧を確認
- 時速80km以下(法定速度以下)で、慎重に運転して整備工場やタイヤ販売店などに向かい、本格的なパンク修理を依頼する
次ページは、自動車メーカーによる
タイヤパンク応急修理キットの使い方の動画
&
使った後のタイヤは修理不可で要交換なの?
<自動車メーカーによるタイヤパンク応急修理キットの使い方動画>
<トヨタのタイヤパンク応急修理キットの使い方動画>
<日産セレナのタイヤ応急修理キットの使い方動画>
<マツダのタイヤパンク応急修理キットの使い方動画>
<三菱のパンクタイヤ応急修理キットの使い方動画>
<ダイハツのタイヤパンク応急修理キット(Aタイプ)の使い方動画>
<ダイハツのタイヤパンク応急修理キット(Bタイプ)の使い方動画>
タイヤパンク応急修理を使用した後はどうなる
タイヤパンク応急修理キットは、あくまでも「応急」の修理なので、その後にパンクの本格的な修理が必要だ。本格的なパンク修理を行う際は、まずタイヤをホイールから外し、注入した修理剤をタイヤの内側から拭き取る必要がある。修理剤はタイヤ内側だけでなくホイールの内側にも付着しており、こちらもふき取る。加えてホイールのエアバルブは交換となる。
修理剤を拭き取ったら、タイヤの穴やキズが修理可能なものかを見極めてから本格的な修理となる。ただし穴やキズに流れ込んだ修理剤によって、本格的な修理で使う素材がタイヤと密着しづらくなるケースもある。そのため穴やキズは小さくても本格的な修理が不可能となり、タイヤを新品に交換することもあるのだ。
このようなことから万が一、交換したばかりの新品タイヤがパンクしたなら、慌ててタイヤパンク修理キットを使わずに、レッカーによるロードサービスを要請することを検討してみよう。冷静にロードサービスとタイヤの交換費用を比較してから、タイヤパンク応急修理キットの使用を決めるべきだろう。