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クルマ最終更新日:2021.03.31 公開日:2021.03.31

「シマハイエナ」|第24回アニマル”しっかり”みるみる

世界中から集まったさまざまな動物たちを、間近で見て・感じられる施設がサファリパーク。そんなサファリパークで動物たちの世話をする飼育員さんに、知っておくとちょっぴり動物通になれるポイントを、 "しっかり" ご指導いただきました。富士山の自然豊かな環境にある富士サファリパークの動物ふれあい課飼育担当小野さんに、「シマハイエナ」を解説してもらいました。

くるくら編集部 上條 謙二

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アフリカ以外でも生息するハイエナ

富士サファリパーク|シマハイエナ|くるくら

シマハイエナは、基本的に群れは作らず、単独で暮らすか、つがいや親子の単位で生活する。

 シマハイエナは、アフリカのサハラ砂漠以北の地域、アラビア半島、中東からインド、ネパールに至る範囲に分布する食肉目ハイエナ科の動物です。ハイエナ科の動物の中で唯一アフリカ以外にも生息しています。体長は100~120cm、体重は30~60kgほどあります。胴体や足に黒い縞状の模様があることからその名が付けられました。野生下では夜行性で、昼間は岩の隙間などで休んでおり、夜になると死肉や他の肉食動物が残した獲物の肉を漁って歩き回ります。

 シマハイエナの特徴は、顎の力が強く、肉だけでなく他の肉食獣が敬遠する骨や腱までも嚙み砕いて食べてしまうことです。園内では「シマハイエナの遊び道具として数kgもある大きな牛骨を展示していますが、それをボリボリと噛み砕いてしまいます」(※小野さん以下同)。

 骨は好んで食べるというより、骨の周りについている肉が好きで、肉と一緒に骨まで食べてしまうのが実情です。だから骨を食べるシマハイエナの糞は白っぽい色をしています。また一部の消化できない骨などはペリット(未消化物の塊)としても吐き出します。

 ちょっと変わった特徴としては、体の毛を逆立てることが挙げられます。驚いたときや威嚇するとき、首から背中のたてがみを逆立てたり、尻尾の毛を立てたりします。これは自分の体をより大きく見せるための行動と考えられています。

草の上に分泌物をべったり

富士サファリパーク|シマハイエナ|くるくら

シマハイエナは、外見からオスとメスの見分けをするのが難しい動物。

 シマハイエナは、肉体的にもいくつかの特徴があります。その特徴を3つほど紹介します。

 その一つ目は、「強い臭いのあるクリーム状の分泌物を出すこと」です。肛門近くにある肛門腺から分泌され、なわばりを示す目的で巣穴周りの木や草や石などに擦りつけます。「園内でもクリームのような分泌物が木の上にべったりと付けられていることがある」そうです。分泌物は白っぽい色をしており、魚の白子のような質感で、独特な刺激臭(じゃこう臭)があります。

 特徴の2つ目は、「外見からオスとメスが判別しづらいこと」。というのは、メスにもオスの生殖器によく似た形状と大きさの器官がついており、シマハイエナに関してはオスとメスの見分けが専門家でも難しいそうです。海外から入ってきたときオスだと言われていた個体が、後日メスであることが判明することもあるくらいだそうです。

 3つ目の特徴は、「独特の腰が落ちたような姿勢で立つこと」です。シマハイエナは、前足が後ろ足と比べて長く、また体の前半身が発達していることもあり、立っている姿勢は頭から尻にかけて後ろ側に傾斜しています。

 シマハイエナは、コミュニケーションの方法として、個体間で鳴き声を交わします。「低い声で『ウー』と唸るような鳴き声で、園内ではエサの取り合いのときにそんな声を出すことが多い」そうです。また相手の匂いを嗅ぎ合ったり、普段は体の中にしまわれている肛門嚢(のう)を見せ合ったりするコミュニケーション方法も行います。

神経質の理由は、単独で暮らすから

富士サファリパーク|シマハイエナ|くるくら

シマハイエナは、他の動物が食べ残した死肉だけでなく、昆虫、果実なども食べる。

富士サファリパーク|飼育員さん|くるくら

「シマハイエナは、とても神経質で、ちょっとした変化に敏感な動物です。自分が人に見られていることが気になって、固まってまったく動かなくなってしまうことがよくあります」と飼育担当の小野さん。

 そんなシマハイエナは、どんな性質の動物なのでしょうか?

 基本的に群れを作らず単独で暮らすため、他の動物に襲われる危険を少しでも回避できるように警戒心が強く、とても神経質です。例えば、「園内にお客様が多い時期だと、自分が見られていることが気になって固まってしまって全く動かなくなることがあります。また園内の移動でいつも利用するトンネルがあるのですが、慣れているはずのそんな場所でも必ず中の様子を一度探ってから通る」そうです。

 最後に「シマハイエナあるある」についても伺いました。

 それは「大好きな牛骨をあげると、お気に入りの場所まで咥えて運んでから噛んで遊ぶこと」です。安心できる場所で心置きなく骨にかじりついているんですね。

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