2021年12月24日 06:00 掲載

ライフスタイル 『イタリア発 大矢アキオの
今日もクルマでアンディアーモ!』第22回
“透明高速”は本当にあった! イタリア版ハイウェイ新設備に狼狽する

イタリア・シエナ在住の人気コラムニスト、大矢アキオがヨーロッパのクルマ事情についてアレコレ語る人気連載。第22回は、イタリアのちょっと厄介な高速道路の料金所について。

文と写真=大矢アキオ(Akio Lorenzo OYA)

ある高速道路の料金所にて。「Telepass」はイタリア版のETCレーン。「Carte」はクレジットやプリペイドカード支払い専用。そして、お札&コインのマークは現金払い可能な自動収受機を示す。ある高速道路の料金所にて。「Telepass」はイタリア版のETCレーン。「Carte」はクレジットやプリペイドカード支払い専用。そして、お札&コインのマークは現金払い可能な自動収受機を示す。

料金所は着陸感覚?

 イタリアの高速道路「アウトストラーダ」で、毎回困るものといえば、料金所である。多くの場合、「収受員」「自動支払機」「カード支払機」「テレパス(イタリア版ETC)」「カード支払機とテレパス」という5種類のレーンが存在する。その並び順が、出口によって統一されていない、つまりまちまちなのである。

 これは、日本における東名高速東京料金所のような本線にあるものでも、インターチェンジの出口も同じだ。したがって料金所に近づくたび、どのレーンを目指せば良いのか探すことになる。後続車も同様にウロウロしているから注意しなければならない。着陸体制の航空機操縦士のごとく緊張するのである。

 イタリアでは収受員がいるレーンを選ぶドライバーが多い。背景にはGDPに対するカードの使用率が欧州28カ中24位(データ出典:Assofin 2018年)と極めて低いという実情がある。くわえて、カード支払い機の不具合や故障の頻度が少なくないこともある。

 また、テレパスは車載器こそ実質無料だが、月額2ユーロ(約260円)が銀行口座やカードから引き落とされる。年額にすると3,000円を超えることになる。ようやく最近、車載器有料のかわりに、使った月だけ少額の手数料が引き落とされるプランが登場したが、まだ一般的ではない。これらの実情から、いまだ収受員がいるレーンに並ぶ人が多いのである。

究極のスマートICだった

 さて今回の本題は、ここからである。2021年10月のことだ。ミラノから北上する高速道路A9号線は、終点のコモでうっかりしていると、スイスの国境検問所が現れてしまう。越境する必要がない筆者は、早めにA9号線を降りた。

 続くA59号線という路線は、設備の状態からして明らかに新しい区間である。ところが、とんでもない高速道路だった。

イタリアのコモとスイスのキアッソにある国境検問所。

イタリアのコモとスイスのキアッソにある国境検問所。

 簡単にいうと「進入するだけで課金されてしまう」のである。起点の自動発券機も、終点の料金所もない。バリアで一時停止もしくは減速させるような設備もない。あるのは進入前、何度か「この先有料道路」「テレパス使えます」といった看板のみである。

 だから、筆者もつい進入してしまった。しばらく走ると、トンネルの電光掲示板に「15日以内に支払いを」のメッセージが表示されていた。

トンネル入口で。15日以内の支払いを促す電光掲示板。

トンネル入口で。15日以内の支払いを促す電光掲示板。

 その晩ホテルのフロントで聞くと「後日、家に督促状が届きますよ」と教えてくれた。何だか気味悪い。そこで帰宅後、地域の名称をもとにウェブ検索してみた。2015年11月に開通した全長約3kmの「アウトストラーダ・ペデモンターナ」という運営会社による高速道路だった。

 この路線には「フリー・フロー」と命名されたシステムが導入されていた。公式サイトによると、テレパス装着車の場合、通行料金が自動的に引き落とされる。ドライバーは停車・減速する必要もなく、料金所のインフラも要らない。究極のスマート・インターチェンジだ。

 参考までに、冒頭のイタリア版ETCであるテレパスは1990年、周辺各国に先駆けて導入されたものだ。日本のETC運用開始(2001年)より11年も早かった。イタリアの道路運営会社は、同年に開催されたサッカー・ワールドカップに合わせて導入したと解説している。

 しかし、在住の筆者としては「この国では、ことに集金に関するハイテクは積極的に導入される傾向がある」という確信を強くしたものだ。今回のフリー・フローもしかりである。

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