2021年08月28日 16:00 掲載
ライフスタイル
『イタリア発 大矢アキオの
今日もクルマでアンディアーモ!』第18回
祝・帰ってきたドイツ人家族! イタリアでどう過ごす?
大好きなイタリア中部トスカーナにやってきたヴァイハーマン一家。
とある家族のヨーロッパの夏休み
今回は知人のドイツ人家族を参考に、ヨーロッパ人のヴァカンス風景を垣間見ることにしよう。
新型コロナウィルスで大きな打撃を受けたイタリアの観光産業に、回復の兆しが見えている。2021年7-8月の外国人観光客数は、2020年比で32%増になると予想されている(出典:イタリア観光調査機関)。
国別ではフランス、ドイツ、英国そしてスペインからの客が上位を占める。平均年齢は36歳から64歳という。筆者が住むトスカーナ州は、北部トレンティーノ・アルト・アディジェ州、南部シチリア州とともに外国人が旅行先に選ぶイタリア3大州のひとつだ (出典: デモスコピカ)
たしかに筆者の体感でも2021年は、路上で外国ナンバーのクルマを見かける頻度は、前年よりも多い。私には上記の例にぴったりと当てはまる知人がいる。ヴァイハーマン一家は、夫のフランクさん、妻アーニャさん、そして一人息子のルイス君の3人家族である。普段はドイツ北西部の大学都市ミュンスターで、祖父の代から続く石油小売業を経営している。
2012年7月に「ウニモグ」でやってきたとき。
当時6歳半だった長男ルイス君とフランク氏。
1300kmの道のりをたった1日で
フランクさんはダイムラー・ベンツ製の多目的トラック「ウニモグ」の熱烈なファンである。2012年には、コレクションの1台である1970年代のモデル「ウニモグ406」に乗って、なんと筆者が住むシエナまでやってきたことがあった。
新型コロナの行方が定まらなかった2020年8月のヴァカンスは、ウニモグ+トレーラーで国内旅行を楽しんだ。
ドイツ北部でキャンプ。フランクさんは現在15台のウニモグを所有している。2020年8月。
そのヴァイハーマン一家が、再びシエナにやってきた。今回の足はウニモグでも最近手に入れたフォード・マスタングでもなく、フォルクスワーゲンの最上級SUV「トゥアレグ」だ。
前回会ったときは6歳半で、お気に入りのぬいぐるみをバケツ一杯持参してやってきたルイス君は、もはやギムナジウム(日本における中高一貫校に相当)の生徒になっていた。
彼らによると、ミュンスターからドイツ国内を南下すること約600km。国境を越えてバーゼルからスイスに入り、ルガーノを経てイタリアに入国。全行程は片道約1300kmだったそう。日本でいうと東京−鹿児島間に相当する距離である。
「運転しなくても飛行機があるではないか?」という疑問もわく。しかし、かつて彼らがイタリアでレンタカーを借りた経験からすると、やはり自分のクルマが良いようだ。「そうした用途に供されるクルマは先進運転支援システムが不十分」と指摘する。
途中どこで1泊してきたのかと尋ねると、フランクさんは首を振った。なんと1日で走りきったという。妻のアーニャさんは「アウトバーンが混雑しない朝3時にミュンスターを出発してきたのよ」と教えてくれた。さらに幸いなことにドイツ国内は「速度無制限区間が多いので快適」とルイス君が説明する。
国境越えに関して、新型コロナの検疫などによる渋滞が気になるところだが、少なくとも彼らが通過した国境で実施されていたのは抜き打ち検査だったという。ゆえに、さしたる渋滞もなく事実上ノンストップで通過できたとフランクさんは語る。
アーニャさんに「あなたも運転するのですか?」と聞けば、「運転はもっぱらフランク一人」という。クルマ好き・運転好きの夫を持ったパートナーは楽ちんだ。
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