2021年07月06日 16:40 掲載

ライフスタイル 『イタリア発 大矢アキオの
今日もクルマでアンディアーモ!』第16回
プロドライバーも信じていた! 謎の流行り物とは?

イタリア在住のコラムニスト、大矢アキオがヨーロッパのクルマ事情についてアレコレ語る人気連載コラム。第16回は、イタリアで「流行った・流行らなかった」自動車グッズについて。

文・写真=大矢アキオ(Akio Lorenzo OYA)

2017年頃からイタリアで見かける「家族の名前入りイラスト・ステッカー」2017年頃からイタリアで見かける「家族の名前入りイラスト・ステッカー」

イタリア人は、みんなが同じ歌を歌える!?

 イタリアで驚くのは、「年代を問わず、人々が歌える曲の数が多い」ことである。

 おじいちゃん・おばあちゃんが若い頃聴いていた曲を、若者も口ずさんでいるのだ。祭りになると、参加者全員で歌っていることもある。たとえていえば、若大将こと加山雄三の歌を、若者も知っていて合唱していると考えていただければよい。

 理由の第一は、新人歌手が日本よりも少ないことがある。ゆえに流行り廃りが日本より少ない。蛇足ながら、日本でいう女性アイドルグループの類は、イタリアに存在しない。

 第二は、若者が家族やコミュニティでお年寄りと交流する機会が多いことがある。一緒にいるうち、古い曲も自然と覚えてしまうのである。

 そして第三は、1950-60年代に生まれた、俗にカンツォーネといわれるポップスの完成度・知名度があまりに高いことだ。それを超える永続性をもつ楽曲がなかなか誕生しないのだ。

 したがって、イタリアで1年を象徴するような流行歌は、昨今なかなか誕生しないのである。

あの和製キャラクターがイタリアで大人気?

 いっぽう、在住25年の筆者が観察し続けたイタリアの路上では、少なからず流行が確認できた。2007年頃から今日まで続いているものといえば、リアウィンドーに貼る「家族の名前入りイラスト・ステッカー」である。

 インターネットで注文すると、家族構成に準じた人物イラストレーションとともに、各自の名前をプリントしたステッカーを作成してくれるサービスがある。初期はイラストと名前のみだったが、たちまちバージョンアップ。現在ではペット(猫、犬、魚、亀など)、趣味や職業(バーベキュー、料理人)なども反映できるようになったサイトが多くみられる。価格は円換算で1枚約300〜1000円といったところだ。

 日本人の感覚からすると「家族、とくに子どもの名前を路上で晒すことに抵抗はないのか?」と考えてしまう。しかし、そうした議論が聞かれないのは、人名の多くがキリスト教の聖人にあやかっていることがある。たとえば「マルコ」君が同じ学級内に3人、などということが実際にあるのだ。

 いっぽう「車内にヒマワリの造花」が流行したのは、2008年前後のことである。その起源はフォルクスワーゲン社製ニュー・ビートル(1998年-2011年)のダッシュボードに、初代のアクセサリーを模した一輪差しがデフォルト装着されていたことだと考えられる。

 そこに2007年、ニュー・ビートル同様レトロ風情を強調した現行フィアット500が発売された。それによって、一気に造花ブームが開花した。

 造花とほぼ同時期にイタリア半島で流行したものといえば、日本のグッズ用キャラクター「ハローキティ」だ。国内ライセンスを取得した企業により、ミラノではハローキティのラッピング市電も出現し、2008年10月から2009年3月に営業運転されていた。

 そうした"キティちゃんブーム"はカーグッズにまで及んだ。当時後部にステッカーを貼り付けた車両のほか、写真のようなサンシェードを付けたクルマも多数みられたものである。小学生時代ハローキティのデビュー期を知る筆者である。異国の地でその長い歴史を知らない一般人のクルマに貼られているたび、不思議な感覚に包まれたものだ。

リアウィンドーから覗く造花のひまわり。2008年撮影リアウィンドーから覗く造花のひまわり。2008年撮影。

「ハローキティ」のサンシェード。2008年撮影「ハローキティ」のサンシェード。2008年撮影

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