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クルマ最終更新日:2020.02.03 公開日:2020.02.03

「エコドライブ10のすすめ」2020年版。燃費把握が重要

警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省で構成されるエコドライブ普及連絡会は、「エコドライブ10のすすめ」の一部を見直した2020年版を発表。「自分の燃費を把握する」を最も重要な項目として新たに啓発を開始した。

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エコドライブスイッチ。

 「エコドライブ10のすすめ」は燃料消費量やCO2排出量を減らし、地球温暖化防止につなげる運転技術と心がけのことで、エコドライブ普及連絡会が策定し啓発している。

 「エコドライブ10のすすめ」が策定されたのは2003年のことで、その後、2006年と2012年に一部見直しが実施された。さらにそれから一定期間が経過したことから、今回3回目となる見直しを検討。その結果、エコドライブに取り組もうとすること、もしくはエコドライブを継続的に実施するきかっけになるとして、「自分の燃費を把握する」ことが重要と連絡会は判断。2020年版「エコドライブ10のすすめ」では、これまで第10項だった「自分の燃費を把握する」が第1項となったのである。

「エコドライブ10のすすめ」2020年版

 以下が、2020年版「エコドライブ10のすすめ」の10項目だ。項目内容は変わっておらず、既述したように燃費把握を最重要視し、これまで第10項だった「自分の燃費を把握しよう」が、第1項に移動している(これまでの第1項は第2項にスライドし、以下順にひとつずつスライド)。

1.自分の燃費を把握しよう
2.ふんわりアクセル「eスタート」
3.車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
4.減速時は早めにアクセルを離そう
5.エアコンの使用は適切に

6.ムダなアイドリングはやめよう
7.渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
8.タイヤの空気圧から始める点検・整備
9.不要な荷物はおろそう
10.走行の妨げとなる駐車はやめよう

自分の燃費を把握するには?

 自車の燃費を把握する最も簡単な方法は、ガソリンスタンドで満タンにした状態から次に満タンにするまでに走行した距離を、消費燃料(次に満タンにした際の給油量)で割る「満タン法」だ。この計算方法により、燃料1L当たりの平均的な走行距離を求められる。かつては自分で計算したりノートなどに記録したりするなど、若干の手間がかかったが、最近はスマホの燃費管理アプリが便利だ。給油量、給油日、オドメーターの距離などを入力するだけで燃費が算出され、記録も残せるので比較もしやすい。

 また近年は、燃費計がついている車種も増えている。燃費計とは、ECU(車載コンピューター)の燃料噴射量および走行距離から算出した燃費を車内ディスプレイに表示する計測器のことだ。

自分の燃費を確認することは何が重要?

 自車の燃費を把握することの最大のメリットは、エコドライブを実感できること。燃費の向上でエコドライブを実感できれば、さらに燃費をよくしようという正のスパイラルの意識が働きやすく、継続的にエコドライブに取り組んでいきやすい。

 また運転しているときに、エコドライブであるかどうかを確認する手段としては、「エコドライブランプ」(名称はメーカーによって異なる)がある。アクセルを優しく踏むことで点灯し、点灯する時間が長いほど燃費がいい。ただ、運転中の注視はもちろん厳禁だ。

 さらに近年は、エコドライブを支援する機能である「エコドライブスイッチ」(名称はメーカーによって異なる)を備えたクルマも多い。同スイッチをONにしておくことで、クルマの制御が切り替わり、ゆっくりとした加速がやりやすくなる。

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残りの9項目のポイントは?

残りの9項目についてのポイント

 そのほかの9項目も見てみよう。効果の数値は、車種や条件によって変わるので、参考値としてみてほしい。

2.ふんわりアクセル「eスタート」
 発進時は、周囲の交通状況が許す際には、時速20kmに到達するまで5秒かけてゆっくりとアクセルを踏むのが望ましい。試してみると、これが意外と難しく、普段の運転がいかに粗いアクセル操作で発進しているかがわかるだろう。日々の運転で優しい発進を心がけるだけで、10%程度の燃費改善が実現するという。また、焦らず穏やかな発進は安全運転にもつながる。

3.車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
 現在のクルマの多くにロックアップ式トルクコンバーター(トルコン)が装備されているため、一定速度で走っているとトルコンがロック(直結)して、燃費が向上する。つまり、一定の速度で走ることが燃費向上につながるのだが、そのコツは車間距離を長めに取ることだ。車間距離が短いと、前走車の速度変化の影響を受けて自車の加減速が増えてしまい、市街地では2%程度、郊外では6%程度燃費が悪化してしまうのである。そのときの交通状況に応じて、速度変化の少ない運転をすることが燃費にはいいのだ。また車間距離を長めに取ることは安全運転にも寄与する。

4.減速時は早めにアクセルを離そう
 信号が変わるなど、停止することがわかったら、早めにアクセルから足を離すのがコツ。その結果、エンジンブレーキ時のフューエルカット(燃料噴射のストップ)により2%程度燃費が改善するという。また減速時や坂道を下るときも極力エンジンブレーキを活用するのが望ましい。

5.エアコンの使用は適切に
 家庭用が冷暖房両方の機能を持つことから勘違いしやすいが、車載エアコン(A/C)は車内を冷却・除湿する機能のみを持つ。エアコンの中心となるのがコンプレッサーであり、その動作にはエンジンからの動力が使われている。そのため、エアコンを使用するとそれだけエンジンの力を使って燃費が悪化してしまうのだ。一方、暖房はエンジンの廃熱を利用しているので燃費には影響しない。要は、冬場はエアコンのスイッチをOFFにしておくことが燃費をよくするコツなのだ。たとえ、車内の温度設定が外気と同じ温度設定だったとしても、エアコンのスイッチをONにしたままだと、12%程度燃費が悪化してしまうという。また、夏場などで冷房が必要なときでも、車内を冷やしすぎないよう気をつけよう。

6.ムダなアイドリングはやめよう
 待ち合わせや荷物の積みおろしなどの際に、ムダなアイドリングは控えること。エアコンOFFの状態でも10分間のアイドリングで、おおよそ130cc程度の燃料を消費するという(排気量などによって変わってくる)。また現在のクルマは、マイナス20度の寒冷地などでない限り暖機運転は不要のため、走りながら暖めるウォームアップ走行で十分。エンジンをかけたらすぐに出発するのが燃費に優しい。

7.渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
 出発前に渋滞・交通規制などの道路交通情報や、地図・カーナビなどを利用し、行き先やルートを事前に確認しておくこと。例えば1時間のドライブで道に迷って10分間余計に走ると、17%程度燃料消費量が増加するという。さらに、出発後も道路交通情報をチェックし、渋滞を避けることで燃費と時間の節約となる。さらには、渋滞が発生する前に渋滞の発生しやすいポイントを通過するよう、早めに余裕をもって出発するのが望ましい。

8.タイヤの空気圧から始める点検・整備
 タイヤの空気圧は1か月で5%程度低下することから、空気圧チェックを習慣づけるようにしよう。例えば空気圧が適正値よりも50kPa(0.5kg/cm2)ほど不足すると、市街地で2%程度、郊外で4%程度燃費が悪化する。また、エンジンオイル、オイルフィルター、エアクリーナーエレメントなどの定期的な交換によっても、燃費が改善する。

9.不要な荷物はおろそう
 運ぶ必要のない荷物はクルマからおろし、少しでも軽くしておくこと。荷物の重量が増えれば増えるほど燃費は悪化してしまう。例えば100kgの荷物を積載して走ると、燃費は3%程度悪化する。また、クルマの空気抵抗が悪化することでも燃費は敏感に反応する。スキーキャリアなどの外装品は、使用しないときは外しておくといい。特に高速道路では空気抵抗は重要だ(空気抵抗は速度の3乗に比例して大きくなる)。

10.走行の妨げとなる駐車はやめよう
 交差点付近などで、交通の妨げとなる場所での駐車は渋滞につながる。迷惑駐車はほかのクルマの燃費を悪化させる上に、交通事故の原因にもなり得る。迷惑駐車が減ればその道路の平均速度は向上し、燃費の悪化を防ぐことになるのである。

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ハイブリッド車やEVなどについて

ハイブリッド車のエコドライブのコツは?

 「エコドライブ10のすすめ」は、基本的にはガソリン車・ディーゼル車といったエンジン車を前提に考えられている。現在は、エンジンだけでなくモーターを併用したハイブリッド車が非常に増えており、今後国内自動車メーカーは内燃機関のみのクルマの生産を終了していく方向だ。そこで、ハイブリッド車ならではのエコドライブのコツも紹介しておこう。

 ハイブリッド車でエコドライブを実践するには、できるだけモーターを活用して走ることがポイントだ。モーターは回転し出す瞬間にトルクが最大となるため、発進や加速を得意とする。まずモーターの力でゆっくりと発進し、エンジンが作動したら目的の速度までモーターの力を活かしてゆっくりと加速、その後はアクセルを緩めてできるだけモーターのみで走行すると燃費がよくなるのである。できるだけエンジンをかけないのが燃費を向上させるコツだ。とはいえ、基本的な走り方は、エンジン車と変わらない。

ハイブリッド車、PHEV、EV、FCVは回生ブレーキによる充電がポイント

 ハイブリッド車に加え、PHEV、EV、FCV(燃料電池車)に共通するのは、ブレーキに回生ブレーキが使用されていること。回生ブレーキは発電用モーターを回すことで抵抗とし、それで減速を行うのだ。減速時は早めにアクセルを離して優しくブレーキを踏み、長い距離をかけてゆっくり停止するよう心がけよう。こうして発電された電力はメインバッテリーに蓄えられ、次の発進時や加速時に再利用される。その結果、燃費や電費が向上するのだ。坂を下るときなど、回生ブレーキを利用した充電ポイントを意識して走るといいだろう。


 「エコドライブ10のすすめ」2020年版のリーフレット(PDF)も用意されている。経済産業省、国土交通省、環境省のニュースリリース(報道発表)ページの「エコドライブ10のすすめ」の改訂に関するページからダウンロードが可能だ。

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