日本一せっかちな大阪が生んだ究極のせっかち
JAF Mate読者から寄稿を募り、このたび8作品を大公開。この企画では、記事を多く読んでもらうほど、投稿者様への謝礼もUPします! 集計期間は5/10正午まで。気に入った記事は、ぜひお友達にも紹介してファンを増やしてあげてくださいね。※PV集計は終了しました。
それでは、ペンネーム・鈴亭花々(レイテイカカ)さんの作品をどうぞ!
「大阪人は歩くのが速い」は間違い?
世間の通説になっている「大阪人は歩くのが速い」ですが、ちょっと語弊があります。正確には「歩くのが速い」のではなく「歩き出しが早い」なのです。
例えば、横断歩道でのこと。赤信号で待っていると、大阪人はたいがい青になる前に動き出します。歩き出しの違いはあれど、信号が青になる前にほぼ全員が動き出します。
しかし、フライングしてまで歩き出しているのに、歩く速度はそうでもないのです。そして、急いでもいないのです。
そう、大阪人は待てないのです。
秘儀?エレベーター「閉ボタン」乱れ打ち
あの有名なエレベーター「閉ボタン」連打も、待てないゆえの行為のようです。大阪人は、多かれ少なかれボタンと見れば連打します。
人によって連打しない種類のボタンはあるようですが、ほぼ全員連打するのがエレベーターの「閉ボタン」。
なぜそんな行為に及ぶのか。
連打中の大阪人に聞いてみたのですが「連打せな閉まらへんやん」と本気で言ってました。
「そんな訳ないじゃない」と思う他県出身の私。閉ボタンを押せば、押さない時よりも扉が閉まるまでの時間が短くなる。しかし、ボタンを押してから、やはり若干待たねばなりません。ここが大阪人には我慢できないようです。
閉ボタンを押す→もう一度押す→押す→押す(閉まるまで繰り返す)→閉まる。
こうしていると、あたかも自分が閉ボタンを押していることで扉が閉まったかのような気になります。そうです、待てない大阪人にとってボタンを連打することは、ちっとも待たずに事を成し遂げるための技なのです。
それほど大阪人は待てないのです。
大阪で地図を開くと、その途端…
また、待てない性分は、親切を行う時にも発揮されます。 旅行者にとって、道に迷った時一番に頼るのは地図。もちろん地元民に聞くのが一番早いし確実ですが、他県民にとって他人にものを尋ねる事はとても勇気が要ります。
それが分かってなのか、せっかちゆえなのか、ただ絡みたいだけなのかは微妙なところですが、大阪では地図を開く素振りを見せようものなら、近くにいるおっちゃんたちがこぞって道を教えに集まってきます。 それこそ、我先にです。
こんなせっかちな優しさを持ち合わせた人種は、他に存在するでしょうか。
ある時、自転車ですれ違ったおっちゃんが、Uターンしてまで道を教えてくれました。その時おっちゃんに声は掛けていません。それどころか、すれ違った瞬間はまだ地図さえ出していなかったように記憶しています。
道に迷った仕草を発見→きっと自分に道を聞いてくるだろう→声を掛けられる時間が待てない→自分から声を掛ける。
おせっかいとは違う、せっかちな優しさを持っているのが大阪人です。
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そんな大阪で生まれた究極のファーストフードとは。
せっかちが生んだ究極のファーストフード?
そんな大阪のせっかちは、ついには究極のファストフードを生み出しました。私が知る究極のせっかち店は、大阪市谷町九丁目にある「ふる里」といううどん屋さん。
出汁がしっかり利いていて、麺はやや細めのつるつるとしたのど越しの大阪うどん。味もさることながら、24時間営業もあってか有名人のサイン色紙もたくさん壁に飾られている人気店です。昼時になると店内はお客さんでいっぱいになるのですが、何度も訪れているこの店で、一度も行列に出会ったことはありません。
店内がめちゃくちゃ広いのでは?とお思いのあなた。違うのです。店内は普通の食堂程度なのです。行列するまでもないのでは?とお思いのあなた。違うのです。
行列する前に、お客さんを捌いているのです。
では、どのようにして行列を捌いているのか。答えは、提供スピードがめちゃくちゃ速いのです。メニューもどれにしようか迷うくらい多いのですが、どれを頼んでも速い。
その中でも神の領域と思われるもののひとつに、わかめうどんが挙げられます。
どれだけ速いかと言いますと…
注文する→1回呼吸をする→目の前に届いている。
早っっ!と言葉が口をついて出ること間違いなし。
いかがでしたか?待つことの嫌いな大阪人と、待てない気持ちが分かる大阪人が織りなす究極のせっかち。あなたも大阪へ行ったら、ぜひ独自の文化を感じてみてくださいね。
投稿者:ペンネーム・鈴亭花々(レイテイカカ)さん(岐阜県)