水に浮かぶ軽EV「FOMM ONE」の量産トライアル車が完成! タイで本格生産へ
クオンタムソリューションズが、水害時には水上走行もできる軽自動車の4人乗りEV「FOMM ONE」をタイで量産予定。トライアル車の組付けは完了し、量産体制に入るという。
FOMM ONE、それは水に浮かぶEV車
「FOMM ONE」は、日本では軽自動車規格となる世界最小クラスの4人乗りEV。スズキ出身のベテランエンジニアである鶴巻日出夫氏が2013年に設立した株式会社FOMMが開発したEVだ。
FOMM ONEの何が凄いかというと、水に浮くように設計された世界で唯一のEVということだ。といっても水陸両用車というわけではなく、突然の冠水などに遭遇した際には水に浮き、小舟のように移動できる機能があるということである。水上走行後は点検などが必要ということだが、ゲリラ豪雨などで水害が増えている中、いざ洪水や冠水時にも水没せず、しかも移動もできるクルマというのは安心感がありそうだ。
では、なぜFOMM ONEは水に浮かぶのだろうか?
その理由は、シャシーがバスタブのような形状になっていることで浮力を得られるからだという。つまり、シャシー自体が船のような構造になっているらしい。さらに、前輪駆動のインホイールモーター(ホイール内で駆動するモーター)は水中でも駆動が可能で、水を巻き込み後方に押し流すことで、浮いた状態でも推進力が得られるのだという。
日本での量産は規制等で難しく、まずはタイで生産、販売
このFOMM ONEの本格的な量産が、クオンタムソリューションズ株式会社によってタイで開始される。クオンタムソリューションズ社は、FOMM社と合弁会社であるQuantum FOMM Limitedを設立し、中国、東南アジア、中南米でのEVの普及を狙っている。
日本で製造しなかったのは、FOMM ONEのような特殊な構造は、日本国内では規制の関係で量産化できず、日本よりもさらに水害が頻発するタイで検討をしてもらったところ、認可が下り、量産化の道が開かれたという。その後、中国上海での新型コロナウイルス感染症対策によるロックダウンの影響で遅れが生じていたものの、6月21日にトライアル車の組み付け作業を開始して6月25日に完成。7月11日からは、本格的な量産に入るという。
写真=クオンタムソリューションズ