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公開日:2026.01.14

なぜスバルのデザインは真面目なのか? FRにファストバック、「パフォーマンス-E STIコンセプト」に採用された異例づくしのデザインに注目——渕野健太郎の「カーデザイン解説ラボ」#2

スバル・パフォーマンス-E STIコンセプト|Subaru Performance-E STI concept

元スバルのカーデザイナー渕野健太郎氏が、ジャパンモビリティショー2025で気になったクルマを紹介! 今回はスバルが発表したコンセプトカー「Performance-E STI concept(パフォーマンス-E STIコンセプト)」の魅力を探った。

スバル・パフォーマンス-E STIコンセプト|Subaru Performance-E STI concept

文・スケッチ=渕野健太郎

画像=スバル

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実はスバルとして異例づくしのデザイン

ジャパンモビリティショー2025(以下、モビショー)を取材してきて、特にデザイン的に注目したクルマをいくつかに分けてご紹介。今回はスバルブースの目玉、EVスポーツのコンセプトモデルである「パフォーマンス-E STIコンセプト」です。

このクルマ、伝統の(?)スバルブルーに金色ホイールという成り立ちなので本質が分かりにくかったと思うのですが、実はスバルとして異例のパッケージデザインであると思います。

その理由は大きく4つありますので、順番に説明しますね。

フロントは立体でヘキサゴングリルを表現。各所のソリッドな表現はスバルらしくもあります。

フロントは立体でヘキサゴングリルを表現。各所のソリッドな表現はスバルらしくもあります。

まず1つ目は、フロントタイヤが前方に配置された、やや「FR的プロポーション」をしていることです。

現在のスバル車は水平対向エンジンとAWDを両立させるレイアウトにより、フロントオーバーハングがとても長いパッケージをしています。

これはデザイン的に大変厳しく、私もデザイナー時代に散々苦労したポイントです。しかしスバルの次世代EVであるこのクルマは、フロントタイヤの位置をかなり前方に配置していて、これはトヨタ製EVをベースにした「ソルテラ」とも異なるレイアウトです。

もしかしたらこれは2028年以降に出てくる(直近の発表で時期が伸びそうですが)スバル内製EVのパッケージなのかもしれません。この点が最重要ポイントですね。

2つ目は、これまでのスバル車に無かった「ファストバック的シルエット」です。

パフォーマンス-E STIコンセプトのサイドシルエットを見ると、リアゲートの傾きがこれまでのスバル車にはないファストバック的なデザインになっています。

この辺りも従来と異なる価値を出そうと狙っているのでしょう。個人的にはいっそスバルらしく「ワゴン」のシルエットでもカッコ良かったかもな、と思いました。

前輪の位置、ファストバック的シルエット、大胆な面変化など従来のスバル車と異なる要素が多いサイドビュー。

前輪の位置、ファストバック的シルエット、大胆な面変化など従来のスバル車と異なる要素が多いサイドビュー。

3つ目は、「プラン(上面から見た図)でのダイナミックな動き」です。

前後のブリスターフェンダーはAWDを訴求するスバルらしいデザインですが、これを使ってプランで大胆に動かしています。

フロントのブリスターは前輪を頂点にリアに向かって絞られ、そこにリアフェンダーが乗っかる構成で、この点は大変明快です。欲を言うと、サイドビューでもこの構成をフォローするデザインがあるとより分かりやすくなったのでは、と感じます。

ディテールを無くし、基本テーマを抽出して描いてみました。ディテール過多になりすぎるところがスバルの弱点でもあります。

ディテールを無くし、基本テーマを抽出して描いてみました。ディテール過多になりすぎるところがスバルの弱点でもあります。

4つ目は、「大きく変化するリフレクション」です。

フロントからリアにかけて急激に下がっており、これもスバルでは無かった処理です。ここ数年のカーデザインでは、マツダを筆頭にキャラクターラインでなくリフレクションで勢いなどを表現する手法がトレンドなんですね。

ただこれは大胆な立体構成で成り立つもので、これを苦手とする欧州勢に比べ日本メーカーの方が積極的に採用されています。このクルマのリフレクションは、フロントタイヤ上部からリアタイヤ中心に目掛けて下げてきており、これもFRの表現に見えるポイントです。

スバル・パフォーマンス-E STIコンセプト|Subaru Performance-E STI concept

スバル・パフォーマンス-E STIコンセプト|Subaru Performance-E STI concept

でも、やっぱり真面目なスバル

このように、実に多くの新しい取り組みが見て取れるのですが、それゆえ一般の方にはデザインのメッセージが分かりづらかったかもしれません。

今回のスバルブースでは、もう一台のコンセプトカー「パフォーマンス-B STIコンセプト」の方が人気だったと聞きます。こちらはクロストレックがベースなので市販車をイメージしやすく、スバルファンの心をガッチリ掴んでいました。

スバル・パフォーマンス-B STIコンセプト|Subaru Performance-B STI concept

スバル・パフォーマンス-B STIコンセプト|Subaru Performance-B STI concept

しかしスバルOBの私としては、もっと多くの方にスバルの良さを知ってほしいという想いがあります。

今回のモビショー、私はプレスデーを含めて4回行きましたが、一般公開日ではどのブースも多くのお子さんが来て目を輝かせていました。こんなにクルマ好きな子供がいる事を心強く思ったのですが、その場面を見てこの子らが「カッコいい!」とか「かわいい!」とか純粋に思えるデザインはとても重要なのでは? と思うのですね。

もちろんリアリティも必要ですが、理性と感性を使い分けると言いましょうか。そのあたり、どこまでも理性的なところがやっぱり真面目でスバルらしいところではあります。

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