石川の国道8号が4車線化!「加賀拡幅」の最終区間が12月1日開通。加賀市内の渋滞解消に期待【道路のニュース】
石川県加賀市で整備が進められてきた、国道8号「加賀拡幅事業」の最終区間である加茂町~松山町の2.2kmが、2025年12月1日午前6時に4車線開通した。この事業の概要や開通のメリットについて紹介する。
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国道8号を4車線へ。加賀拡幅がついに完成!
国道8号 加賀拡幅の事業概要。
一般国道8号「加賀拡幅」は、石川県加賀市箱宮町から黒瀬町に至る6.4km区間を2車線から4車線に拡幅するプロジェクトだ。常態化する渋滞を解消するため2003年に事業化され、用地取得、橋梁・交差点改良、歩道・自転車道の設置などが推進されてきた。
2010年に松山町~箱宮町の2.0km区間が開通。続いて2014~2015年に、加茂町~黒瀬町の2.2km区間が開通した。残る最終区間である加茂町~松山町の2.2km区間の開通が待たれていたが、ついに2025年12月1日午前6時に開通した。これにより、晴れて「加賀拡幅」の全事業区間が4車線化された。
加賀拡幅事業で注目すべき点は、全国で初めて「PI手法(パブリック・インボルブメント手法)」を用いて計画を策定したことである。PI手法とは、事業の立案・計画・実施段階において地域住民や利用者など関係者に対して情報を公開し意見を幅広く聴取し、その声を計画内容に反映する新たな手法だ。一般的な道路事業は行政が計画を作り、後から関係者に説明する。PI手法で計画策定した、この加賀拡幅では、歩道と分離された自転車道や植樹帯の設置など、沿道景観・まちづくり要素が住民意見を受けて盛り込まれている。
PI手法は計画決定まで時間がかかる、コストが増えやすいなどのデメリットがある。しかし、同事業では、地域にとって本当に価値がある道路を作ることを目指して同手法が用いられた。
国道8号加賀拡幅がもたらす効果と地域へのメリット
加賀拡幅の全線4車線開通による効果。
この加賀拡幅事業は「渋滞の緩和」「安全性の向上」「地域間の連携強化と観光支援」という3つのメリットが見込まれている。
1つ目のメリットである渋滞の緩和だが、2車線だった現道では、観光シーズンや休日、地域行事の際に交通が集中し、交通流が滞る場面が多くあった。これが4車線化されることで、流入車両・流出車両ともにスムーズな流れが実現する見込みだ。事実、先行して4車線化した4.2km区間ではすべてで渋滞が解消している。その一方で、残った2車線区間では渋滞が激しくなっていたが、今回の4車線化でこれも解消される。
2つ目のメリットは安全性向上だ。かつての2車線構成では歩道は1.5mと細く、かつ車道は中央分離帯がなく、交通事故が起きやすい構成であった。加賀拡幅事業では、4車線化に加え中央分離帯が設置され、さらに車道から分離された歩行者や自転車用の道路も設けられた。
今回開通する加茂町~松山町では歩道と自転車道が完全に分離しており、さらにその間に植樹帯も設置されて、自動車、自転車、歩行者が安全に移動できる環境になった。PI手法を通じて、住民の安心して道路を利用したいという声を反映した結果といえるだろう。
最後のメリットが地域間の連携強化と観光支援だ。加賀市やその近郊には山代温泉などの温泉地や、兼六園などの観光施設が多数点在しており、県外からの観光客も多く訪れる。交通アクセスの改善や隣接する小松バイパスとの連携により、観光客の移動がスムーズになり、さらに沿道の宿泊・飲食・物販業にも好影響が期待される。
2003年に事業化してから約22年で悲願の4車線化を果たした加賀市の国道8号。PI手法を導入したことで、単なる道路拡幅にとどまらず、地域をより安全で住みやすくするという、本来の目的が実現された好例になることも期待される。開通後の渋滞緩和やアクセス性の改善の報告にも注目したい。
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