真夏のアチチチ! ヒストリックカー4時間耐久レース「4 HOURS HISTORIC ENDURANCE RACE」━━ハッサンの「ワカモノ旧車オーナー探訪記」番外編 #06
全国のカーマニアを訪ね西へ東へ。カメライター、ハッサン(高桑秀典)の連載企画「ワカモノ旧車オーナー探訪記」は今回も番外編。第6回目は、2025年8月17日に袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された「4 HOURS HISTORIC ENDURANCE RACE」のレポートをお届けします。
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“旧くて新しい”ヒストリックカーレース
海外ほどではないにせよ、近年、日本でも旧車を主役としたレースが盛んに開催されるようになってきた。全国各地のサーキットを会場とし、さまざまなイベントが実施されているが、関東圏における代表的なレースのひとつといえるのが、2012年11月18日からスタートした「FESTIVAL of SIDEWAY TROPHY(以下、FoST)」だ。
FoSTは、東京・世田谷に拠点を置く「SIDEWAY DRIVERS CLUB(S・W・D・C)」のメンバーによって企画された“旧くて新しい”ヒストリックカーレース。ラップタイムや順位だけを重要視するのではなく、エントラント、ゲスト、スタッフら皆がイギリスで人気の自動車イベント「GOODWOOD REVIVAL MEETING」をリスペクトしており、当時を彷彿とさせる衣装や、こだわりのスタイルを意識することで、まるでタイムスリップしたかのような“雰囲気”を作り出すことを最大の目的としている。
Sタイヤ(モータースポーツでの使用を前提に開発され、高いグリップ力を誇るラジアルタイヤ)の使用を禁止し、ステッカーやカラーリングに制限を設けることで当時のモーターレーシングを再現することにも努めており、そういったレギュレーションに賛同している旧車オーナーも少なくない。
毎戦、数多くのエントラントがお気に入りのスタイル&クルマでFoSTを楽しんでいるが、去る8月17日に初の試みとしてヒストリックカーによる『4 HOURS HISTORIC ENDURANCE RACE』が開催され、筆者もお邪魔してきた。

チーム監督とドライバーを務めたシゲちゃんこと重松 洵さん(37歳)
当初、筆者も1969年式マーコス1600GT/ゼッケン114番の9人目のドライバーとして参加するということで話が進んだが、猛暑の中でのサーキット走行と取材を両立させる自信がなかったので、土壇場でドライバーのほうはキャンセル。撮影と取材に徹する、ということにさせてもらった(チームの皆さん、すみません!)。
そもそも今回、何ゆえにマーコス1600GTをフィーチャーすることになったのかというと、チーム監督とドライバーを務めたシゲちゃんこと重松 洵さん(37歳)が、初レースにして初監督を務めることが7月11日のアマチュアレーサー親睦会で判明したからだった。
さらに詳しく伺ったところ、シゲちゃんは往年のベスパ50Sこそ愛用中だが、これまでの人生で旧車を所有した経験がなく、レース後にマーコス1600GTをオーナーの久林欣也さんから譲ってもらうかも?というではないか。
若者というほどの年齢でもない(ヒストリックカー愛好者の中では若者!)が、記念すべき初レース&初監督&譲渡劇は記録しておかないと……ということで酷暑の中、筆者も袖ヶ浦フォレストレースウェイに水色号(1974年式のアルファロメオGT1600ジュニア)で向かった。
初レース&初監督で4時間走り切れるのか?

フォーメーションラップの後にそのまま加速するローリングスタート方式を採用
いやはや今年の夏は暑い。4時間耐久レースのスタート時刻は11時で、15時にゴールするというタイムスケジュールだったが、我らがシゲちゃんのチームは、8人のドライバーが30分交代で走るという作戦で戦った。
ファーストドライバーをマーコス1600GTのオーナーである久林欣也さんが務め、普段はウーズレー・ホーネットMk3でヒストリックカーレースを戦っている棚村徳人さんが2番手でコースイン。
その後、伊藤 匠さん(普段はモーリスマイナーで参戦)。続いて、水嶋啓一さん(普段はアルファロメオ・ジュリアスーパーで参戦)、75歳の畠山正比古さん(普段はクラシックミニなどで参戦/畠山さんのときに給油した)、昭和21年生まれの細川隆誠さん(普段はトライアンプTR4A IRSで参戦)、広瀬拓也さん(旧いポルシェ&旧いアルファロメオのオーナー)という順番でドライブし、シゲちゃんこと監督の重松 洵さんはアンカーとして最後まで走り切った。
レース中に助手席側のドアがバーンと開いたり、ドライバー交代のためにピットインしてきたら運転席側のドアが開かなくなったりしたが、レース中のトラブルはメカニックの原田淳二さんを中心として、なんとか対処することができた。

マーコスのオーナーである久林欣也さんがファーストドライバーを務めた

チーム監督が自らサインボードを掲げ、ドライバーに指示を出した

今年の暑さはハンパなかったので30分ごとにドライバーをチェンジ
そんなこんなで大変だったが、決勝のリザルトは15台中の総合10位、Cクラス4位で、マーコス1600GTを初めて運転するドライバーもいた中で見事な完走劇であった。
大いに盛り上がった今回の4時間耐久レース。後日開催された反省会の場も笑顔が絶えないにぎやかな雰囲気だったので、近い将来、シゲ監督がオーナーになるであろうマーコス1600GTは、おそらく来年も「4 HOURS HISTORIC ENDURANCE RACE」に参戦することになるはずだ。
ドライバーはひとりでも多いほうがいいので、筆者も来年は取材用のカメラとペンだけでなく、ヘルメット、レーシングスーツ、グローブ、シューズを持っていくことにしよう!

4時間を走り終えたマーコスと最終ドライバーのシゲちゃんを全員で迎えた