はじめよう、クルマのある暮らし。

Cars

公開日:2025.10.16

メルセデス・ベンツが新時代の到来を象徴するショーカー「ビジョン アイコニック」を発表!【新車ニュース】

メルセデス・ベンツ ビジョン アイコニック|Mercedes-Benz Vision Iconic

10月14日、メルセデス・ベンツはブランドの新時代到来を象徴し、未来を見据えて設計されたショーカー「ビジョン アイコニック」を上海で発表した。

メルセデス・ベンツ ビジョン アイコニック|Mercedes-Benz Vision Iconic

文=細田 靖

写真=メルセデス・ベンツ グループ

この記事をシェア

ビジョン アイコニックはメルセデス・ベンツの真髄を体現

「ビジョン アイコニック」は、ソーラーペイント、ドライバーレスで走行可能なレベル4自動運転、そしてニューロモルフィック(※)・コンピューティングといった先進技術を採用し、美しさとテクノロジーを完璧に融合させたコンセプトカー。従来の枠にとらわれない自由な発想を体現している。
※人間の脳の神経細胞(ニューロン)やシナプスといった構造と機能の仕組みを模倣した技術やデバイスを指す

豪華でありながら時代を超越した存在感に加え、中心的な特徴として自動車史において最も象徴的な要素のひとつである、メルセデス・ベンツを象徴するラジエーターグリルの再解釈が挙げられる。新型電気自動車GLCで初めて導入されたこのアイコニックグリルは、感情と知性の両方を表現し、メルセデス・ベンツを類まれなデザインが溢れる世界から際立たせている。

メルセデス・ベンツ・グループAGでチーフ・デザイン・オフィサーを務めるゴードン・ワグナー氏はこのように述べている。

「1930年代の自動車デザインの黄金時代にインスピレーションを得たこのショーカーは、メルセデス・ベンツの真髄を体現しています。堂々とした存在感を放つボンネットのフォルム、彫刻的で流麗なライン、そしてアールデコ調のタッチが、真の自動車美の象徴へと昇華させています。ベンチシートとエレガントなリヤシートを備えたインテリアは、伝説の300SLを彷彿とさせるものです。私たちのビジョン アイコニックは、単なる自動車ではありません。それは“動き続ける彫刻”であり、時代を超越したエレガンスへのオマージュであり、未来へのメッセージです。伝統的な職人技、最先端の技術、そして紛れもないデザイン言語の融合により、価値、威厳、そして優雅さを究極的に表現し、最も美しく、最も格式高いものとなっています」

ハイパーアナログとデジタルが融合するビジョン アイコニック

メルセデス・ベンツ グループAGのチーフ・デザイン・オフィサー、ゴードン・ワグナー氏(写真中央)|Gorden Wagener, Chief Design Officer Mercedes-Benz Group AG

メルセデス・ベンツ グループAGのチーフ・デザイン・オフィサー、ゴードン・ワグナー氏(写真中央)|Gorden Wagener, Chief Design Officer Mercedes-Benz Group AG

フロントマスクは象徴的なグリルによって特徴付けられている。これは100年以上にわたりメルセデス・ベンツの顔となる重要なデザイン要素として機能してきた伝統的なクロームグリルへの、印象的で先進的なオマージュ。この象徴的なグリルは、「W 108」、「W 111」、そして「600プルマン」といった伝説的なモデルのアップライトグリルからインスピレーションを得たものだ。

幅広のクロームフレーム、スモークガラスの格子構造、そして一体型のコンターライトを備えた象徴的なグリルは、伝統とデジタルのモダンさを融合。存在感、ステータス、そしてメルセデス・ベンツの強いアイデンティティを放つ。このブランドの新たな顔は、2025年9月に発表された新型電気自動車「GLC」で初めて導入されたもの。「ビジョン アイコニック」は、ボンネット先端の「スリーポインテッドスター」マスコットまでも点灯させることで、この力強い存在感をさらに高めている。

レベル4自動運転の普及を見据えて、インテリアの役割は進化している。ラウンジのような快適さと、ハイパーアナログとデジタルが融合したまったく新しいラグジュアリー体験を特徴とする、近未来を垣間見せてくれるものだ。

メルセデス・ベンツ ビジョン アイコニック|Mercedes-Benz Vision Iconic

メルセデス・ベンツ ビジョン アイコニック|Mercedes-Benz Vision Iconic

インテリアはアールデコ調の贅を尽くしたクラフトマンシップと厳選素材の組み合わせにより、自動車のエレガンスを再定義。インストルメントパネルの中心には、浮遊するガラス構造、通称「ツェッペリン」が配置されている。彫刻的なフォルムは、芸術的にデザインされたディテールとアナログとデジタルの計器類の洗練された融合が織りなす魅惑的なインテリアを際立たせる。

ドアを開けると、高級クロノグラフにインスパイアされた映画のようなアナログアニメーションでメーターパネルが躍動。ピラー・トゥ・ピラーのスクリーンコンセプトは、テクノロジーをインテリアにシームレスに融合させている。中央には4つの時計のうちひとつがブランドロゴを象り、AIコンパニオンとして機能する。

「ツェッペリン」の後方では、息を呑むほど美しい光沢のあるマザーオブパールの象嵌(ぞうがん※)細工が、奥行きのある視覚的な美しさと職人技の繊細さを両立。精巧なマザーオブパールの寄木細工はドアパネルにも施され、シルバーゴールドトーンの真鍮製ドアハンドルを囲み、輝く星模様へと流れ込み、後部座席を優雅に彩る。運転席と助手席は深みのあるブルーのベルベットで贅沢に装飾された広々としたフロントベンチシートを共有でき、ゆったりとした寛ぎとラグジュアリーな体験を共に味わうことができる。
※金属や木材などの素材に別の異質な素材をはめ込んで模様や絵柄を表現する工芸技法

ドライバーの目前には、スポーティでありながらエレガントな個性を際立たせる4本スポークステアリングホイールが配置されている。メルセデス・ベンツのロゴはガラス球の中に浮かび上がり、宝石のようにスポークに留められている。フロアは、17世紀に遡り1920年代に復活した、精巧な麦わら細工の寄木細工で覆われている。アール・デコ様式の扇形をモチーフにしたこの手作業による仕上げは、歴史的な芸術性を現代に蘇らせたものだ。

ボディの表面ほぼ全体がソーラーパネル⁉︎

メルセデス・ベンツ ビジョン アイコニック|Mercedes-Benz Vision Iconic

メルセデス・ベンツ ビジョン アイコニック|Mercedes-Benz Vision Iconic

メルセデス・ベンツは現在、車体にシームレスに塗布できる革新的なソーラーモジュールを研究している。光起電活性表面(※)は、さまざまな基板に適応できる可能性がある。「ビジョン アイコニック」の車体表面全体に塗布すると、ボディのほぼ全体で太陽光発電が可能となり、地理的な場所や地域の条件に応じて追加の航続距離を利用できる可能性が生まれる。例えば、11㎡の領域(中型SUVの表面に相当)は、理想的な条件下で年間最大1万2000km走行分のエネルギーを生成できる。
※光起電力効果によって光エネルギーを電気エネルギーに変換できる能力を持つ表面

コーティングには希土類元素やシリコンが含まれておらず、簡単にリサイクルできる。太陽電池は20%の高い効率を持ち、車両の電源を切っても継続的にエネルギーを生成する。

メルセデス・ベンツ ビジョン アイコニック|Mercedes-Benz Vision Iconic

メルセデス・ベンツ ビジョン アイコニック|Mercedes-Benz Vision Iconic

将来の自動車には自動運転をはじめ、ますます多くの機能が搭載されるようになるが、これによってエネルギー要件が大幅に増加する。従って効率性は重要な要素となる。メルセデス・ベンツは人工ニューラルネットワークの研究を通じて研究機関や産業界のパートナーと協力し、コンピューターアーキテクチャの開発において新たな境地を開拓している。

ニューロモルフィック・コンピューティングは、人間の脳の働きを模倣する。これにより、AIによる計算のエネルギー効率と速度が大幅に向上する可能性がある。例えば安全システムは、視界の悪い状況でも交通標識、車線、他の道路利用者をより正確に認識し、より迅速に反応できるようになる。これは現在のシステムよりも10倍効率的だ。ニューロモルフィック・コンピューティングは、自動運転におけるデータ処理に必要なエネルギーを、現在のシステムと比較して90%削減する可能性が秘められている。

運転支援システムおよび自動運転システムの開発の最前線に立っているメルセデス・ベンツは、高度な安全技術に基づくアプローチにより、「ビジョン アイコニック」ではさらに強化されたレベル2の都市間ポイント・ツー・ポイント走行能力が標準装備されている。

このシステムにより、メルセデス・ベンツは複雑な都市交通状況において、ステアリングと加速の協調を独自の機能として備え、専門的な対応力を提供。ドライバーは世界有数の大都市の混雑した道路をスムーズに走行できる。条件付き自動運転への論理的な次のステップは、「ビジョン アイコニック」のようなレベル4の高度自動運転システムを搭載した車両を開発すること。高速道路に入り、レベル4システムを作動させた後、ドライバーは交通渋滞に巻き込まれることなくリラックスした時間を過ごすことができる。また、没入感あふれるサウンドとアンビエントライトを備えた最新のトレンド動画をストリーミングしながら、仮眠を取ったり寛いだりすることも可能。車内はまるで豪華なラウンジさながらの空間となる。

目的地に到着した後は、高度なセンサーアーキテクチャを活用した高度自動駐車機能により、ドライバーを必要とせずに駐車時間を節約。インフラの制約を受けることなく、レベル4の駐車機能はほぼあらゆる駐車パターンで利用可能だ。

さらに、ステアバイワイヤの実現によって、メルセデス・ベンツはまったく新しいステアリング体験と最大限の安全性を両立させた。特に「ビジョン アイコニック」のようなロングボディのモデルでは、リヤアクスルステアリングとの完璧な連携により、この技術のメリットは明白だ。

ハンドリングが向上し取り回しや駐車が容易になる。これはステア・バイ・ワイヤによって必要な力をさらに軽減できるため、駐車時にステアリングホイールを握り直す必要がなくなるため。この技術では、ステアリングホイールと前輪の間に機械的な接続は必要ない。ドライバーのステアリング操作は、コントロールユニットとアクチュエーターを介して迅速かつ電気的に伝達される。

ステア・バイ・ワイヤはまた、インテリアデザインの柔軟性を高めることにも役立つ。ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems=先進運転支援システム)などの将来的な条件付き自動運転システムや高度自動運転システムと組み合わせることで、ドライバーはよりリラックスした姿勢をとることができるようになる。「ビジョン アイコニック」では広々とした贅沢なベンチシートがその好例となる。

メルセデス・ベンツ ビジョン アイコニック|Mercedes-Benz Vision Iconic

メルセデス・ベンツ ビジョン アイコニック|Mercedes-Benz Vision Iconic

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

Campaign

応募はこちら!(10月31日まで)
応募はこちら!(10月31日まで)