大渋滞の国道24号に念願の新ルート。京都~奈良の混雑を緩和する「城陽井手木津川バイパス」が建設中!【いま気になる道路計画】
京都府南部を走る「国道24号」の第2ルートとなる、新たな道路「城陽井手木津川バイパス」の事業が進行中だ。完成によるメリットや、現在の進捗状況について解説していこう。
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木津川の「堤防国道」24号のバイパスルートが建設中

城陽井手木津川バイパスの概要
京都と奈良をつなぐ「国道24号」は、「第二京阪道路」「京奈和自動車道」が長距離ネットワークを担っているのに対して、地域の生活交通を支えている一般道路だ。
そんな国道24号の中で、渋滞多発区間としてドライバーを悩ませているのが、京都府の最南部にあたる井手町~木津川市(旧山城町)周辺の区間。
ここは、大半が木津川の堤防道路を兼ねているため、道幅が狭く、路肩すらほとんどない構造となっている。さらに、川と山に挟まれた狭い地形のため、並行する道路もない状況だ。
そんな構造的な問題がありながら、京都方面から奈良市街、さらに三重県方面の国道163号へ向かうには、国道24号の同区間を使うしかないため、各方面の交通流が集中してボトルネックとなっている。
また、木津川の氾濫や、国道24号が交通事故や被災などで通行止めになった場合、代替路がないため、南北方向の移動が分断されてしまう恐れがあることも課題。
同エリアには、住宅地を抜ける裏道として「県道 上狛城陽線」があるが、こちらは中距離ネットワークとして重交通を受け入れる道路ではない。実際、国道24号の抜け道としての利用が目立ち、死傷事故発生率は府道平均の最大4.3倍にのぼるという報告もある。
くわえて将来は、新名神高速道路の高槻~大津の開通により、この付近に「城陽スマートIC(仮称)」が設置される予定。全国規模の大動脈とこの狭いエリアが直結となることで、交通集中はいっそう激しさを増すと予想されている。
そういった交通状況を鑑みて、国道24号の代替路として整備進行中なのが「城陽井手木津川バイパス」だ。
「城陽井手木津川バイパス」はどんなルート? メリットは?

城陽井手木津川バイパスの概要。左が北
「城陽井手木津川バイパス」は、国道24号 城陽新池交差点から東へ約2kmに整備予定の「城陽スマートIC(仮称)」を起点とし、国道24号に並行して南下。井手町役場前を経由して、木津川に架かったばかりの「木津川橋」に直結する計画となっている。
延長は11.2kmで、道路構造は2車線(片側1車線)かつ両側に歩道が設置される。トンネルは無く、生活道路とは基本的に立体交差となり、信号交差点は最低限に抑えられている。
起点の新名神高速 城陽スマートIC(仮称)側では将来的に、新名神高速に並行する新たな4車線の都市計画道路「東部丘陵線」も計画されており、これが実現すれば国道24号の抜け道ルートとして現実味を帯びてくるだろう。
いっぽう奈良側でも、2020年に先述の木津川橋が開通。これにより、城陽井手木津川バイパスは城山台・梅美台を経て、最終的には近鉄奈良駅前付近まで直通可能となる見込みだ。
工事はどこまで進んでいるの?

橋台が完成した青谷川橋
そんな城陽井手木津川バイパスの現在の状況は、用地取得の真っ最中。一部では、工事の初期段階に入っている。
2016年から計画段階評価が進められ、2018年に山裾ルート(現ルート)、国道24号現道を拡幅するルート、山裾ルートより市街地側を抜けるルートの3案から現ルートが採用。
そのあと2019年に事業化。そして測量や詳細設計が進められたあと、用地取得が本格化した。用地取得率は2023年3月時点で「約6%」と報告されており、まだまだ先は長い状況だ。
京都府議会における2024年9月の答弁によると、まだ地籍調査が十分に進んでいない地域があり、これが用地取得が進まない一因となっているようだ。土地の正確な境界が明確にデータベース化されていないため、用地取得の支障となっている。スムーズに事業を進めるためには、こうした課題を沿線自治体の協力のもとに解決していく必要がある。
いっぽう、川をまたぐ橋梁部分については、すでに複数工区で先行して工事がスタートしている。
そのなかで最も進んでいるのは、滋賀県の信楽方面へ抜ける国道307号との交点手前に位置する「青谷川橋」だ。今年3月に両側の橋台が完成となり、周辺の地盤改良や、ボックスカルバート(道路や水路の立体交差施設)設置が進められている。
他にも、井手町役場北側に架かる「才田川橋」では南側の橋台が建設中。用地取得済みの場所では文化財調査の最中だ。なお、井手町役場以南はまだ調査設計の段階となっている。
このように、城陽井手木津川バイパスの整備は、検討開始から10年が経過し、工事も少しずつ進み始めている。開通には、まだまだ時間を要するが、まずは用地取得が完了して工事本格化に漕ぎつけることが大きな一歩となるだろう。国土交通省 近畿地方整備局のWebサイトでは毎月、工事の進捗報告が公開されている。活発な動きを見せる道路整備に、引き続き注目していきたい。
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