外環道の不便な「京葉JCT」が工事中! ランプ追加で「湾岸線~京葉道路」が乗り換え可能に。現在の進捗は?【いま気になる道路計画】
外環道と京葉道路が交差する「京葉ジャンクション」は、いまだ完成していないため、湾岸線方面から千葉方面へ乗り換えることができない。現在、東関東自動車道への交通集中を緩和するため、新たなランプが工事中だ。ランプ工事によるメリットや、工事の進捗について解説しよう。
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「京葉JCT」では、首都高湾岸線から京葉道路に行けない?

外環道と京葉道路が接続する京葉JCT。
東京方面から千葉方面をむすぶ高速道路は、首都高小松川線から直通する「京葉道路」や、首都高湾岸線から直通する「東関東道」がある。
いっぽう、埼玉方面から千葉方面へ向かう場合、東京外かく環状道路(外環道)をぐるっと下りてきて、京葉道路とは「京葉JCT」、東関東道とは「高谷JCT」でそれぞれ接続している。
この京葉JCTは未完成の状態であるため、困った点がある。それは「千葉方面⇔湾岸線方面(高谷JCT)」の行き来ができない点だ。ざっくり言うと「右下」の接続ランプが欠けている。
たとえば「千葉市中心部・館山道・千葉東金道路」から「湾岸線・川崎・横浜」へ行きたいドライバーにとって不便となっていて、京葉道路を使って京葉JCTまで来ても、湾岸線へスイッチできないのだ。
しかもその先にある「小松川JCT」も、首都高中央環状線の南行(湾岸線方面)のランプが無い。さらに先に進んで「箱崎JCT」を経由する方法もあるが、渋滞がひどく混雑しているため、できるだけ使いたくないという人も多いだろう。
そのため、前もって「宮野木JCT」で東関東道にスイッチするドライバーが多く、交通流が東関東道へと偏ってしまい、混雑が引き起こされている。
逆方向も同様で、たとえば湾岸線を北上してきて千葉方面へ向かうドライバーに「東関東道 湾岸市川ICで事故渋滞」という情報が入ったとしても、「京葉道路へスイッチして逃げる」という選択ができないのだ。

外環道と京葉道路が接続する京葉JCT。ランプの一部が未完成(ドラぷらの地図を一部編集)。
「京葉JCT」の工事はどこまで進んでいる?

京葉JCTの工事概要。BランプとGランプが整備中。
京葉道路・東関東道の交通分散にきわめて重要な京葉JCTの「右下ランプ」だが、ここには「湾岸方面→千葉方面」のBランプ、「千葉方面→湾岸方面」のGランプが建設予定となっている。なぜここだけが未完成なのか。
大きな理由は、BランプがJCT全体の一番深いところをくぐり抜けていく点にある。その構造ゆえに、このBランプと完成済みの「千葉方面→埼玉方面」のAランプ、「埼玉方面→千葉方面」のHランプには、シールドトンネルが採用されている。このトンネル採掘は難工事で時間がかかるため、ひとまず「外環道&京葉JCTの暫定開通」が優先されたというわけだ。なお、Gランプは開削工事によって施工される。
外環道千葉区間と京葉JCTの開通は2018年。そこから準備期間を経て、2020年10月にBランプ、Gランプの両トンネル工事が始まった。
当初の工事期間は2026年2月までとなっており、順調に進めば、あと半年ほどで完成を迎えることとなる。
さて、工事は実際どこまで進んでいるのだろうか。
NEXCO東日本関東支社に取材したところ、Bランプのシールドトンネルは「シールドマシンを組み立てているところ」、Gランプの開削トンネルは「工区を複数に分けたうえで、トンネル躯体を構築中」だという。
いずれも工事が本格化、あるいは本格化の直前といったところだ。もちろん用地取得は完了しており、「京葉JCTフル化」に向かって、あとは粛々と作業を進めるのみとなる。
さらなる壮大な計画も進行中

ランプ工事が進む京葉JCT。
千葉方面の高速道路における混雑などの課題解決策は、「京葉JCTフル化」だけではなく、より長期的な目線の大プロジェクトも進行中となっている。それは「新湾岸道路」計画だ。
新湾岸道路は、京葉道路・東関東道に加えてさらに海側に「3本目の高規格道路」を整備するもの。現計画では、高谷JCTから船橋を経て、千葉市中心街をスルーしながら館山道の蘇我・市原方面へ直結するという概略ルートで検討が進められている。
こちらが実現すれば、宮野木JCTをはじめとした、東関東道の混雑ルートを通らずに、千葉中南部へ到達可能となるだろう。
そして、新湾岸道路へ交通流が分散した結果、京葉道路・東関東道の交通が現在よりスムーズになり、日々の生活交通や物流がより円滑で安全になるという期待もできる。
このように、東京~千葉間の高速ネットワークでは、目前の課題解決として「京葉JCTフル化」、将来的な課題解決として「新湾岸道路整備」という二段構えの計画が進められている。ますます円滑で利便性の高い交通環境が訪れる未来に期待して、今後の進捗にも引き続き注目していきたい。
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