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公開日:2025.11.06

新宿駅西口の再開発で「駅前道路」が大変化! 歴史的な「動線変更」はどうなった? 将来はどんな形になるの【いま気になる道路計画】

工事が進む新宿駅西口

再開発工事が続く新宿駅西口では、ビルの建て替えだけでなく、駅前ロータリーなど周辺道路ネットワークにも大きな変化が訪れている。将来はどんな形になるのだろうか。工事の進捗と今後の変化について見ていこう。

工事が進む新宿駅西口

文=鳥羽しめじ

資料=東京都

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新宿駅西口が再開発で大変化!

新宿駅前の再開発イメージ

新宿駅前の再開発イメージ

新宿駅西口がいま、変革の時を迎えている。西口の象徴でもあった「小田急百貨店 新宿店本館」のビル解体をはじめ、かつての光景からは様変わりしており、まさに激動の最中にある。

車両で新宿駅へアプローチする方法も、工事中の現在、そして完成後の将来でも大きく変化する。いま、新宿駅西口近辺の道路はどうなっていて、最終的にはどんな形になるのだろうか。

新宿駅の再開発のうち、公共空間にあたる部分の正式名称は「新宿駅直近地区土地区画整理事業」と呼ばれている。2019年に都市計画決定し、2021年に正式に事業がスタート。2022年に着工を果たした。

西口広場はその中でも、「東口広場」「東西デッキ」「南北デッキ」、そして「1号街路」(甲州街道側)など、複数の工区にまたがる事業だ。

注意しておきたいのが、最初に着手された「小田急百貨店 新宿店本館」の解体工事は、別の民間開発プロジェクト「新宿駅西口地区開発計画」によるものだ。こちらは2021年に都市計画決定、2022年から解体着工、2024年から跡地北側の「A区」の新築が着工している。完成は2029年の予定で、将来は高層ビルとなり、地上48階地下5階で高さ約260mの新ランドマークとなる。

なお、新宿駅西口では、駅前上空を覆う仮設構造物と地上ロータリーを横断する巨大な橋が出現し、これが西口地上を薄暗い印象にしている。実はこれも、この小田急百貨店跡地の建設工事に関連するもので、重機が現場へ到達するための仮設スロープである。同工事が終われば撤去される予定だ。

西口の駅前広場、最終的にどうなる?

新宿駅西口の駅前広場の再開発イメージ

新宿駅西口の駅前広場の再開発イメージ

新宿西口広場に話を戻すと、ここの道路構造は「地上部」「地下部」の2層に分けて考える必要がある。

【地上部】
従来は、小田急ハルク前→本館前→京王百貨店前およびヨドバシカメラ→小田急ハルク前という「時計回り」の外周道路があり、内部に北から4本のバス乗降島、地上吹き抜け、地下行きランプ、緑地帯と巨大換気口の順番に並んでいた。

これが、外周道路は分断され、小田急ハルク方面から甲州街道、甲州街道から小田急ハルク方面は、いずれも通り抜け不可能となる。これが一番の変化といえるだろう。

バスターミナルの位置は変わらないが、長い1本の島に集約。小田急ハルク前からぶら下がる形状になる。

中央の吹き抜けはそのまま残されるが、地下行きのランプはなくなる。この中央部が区画整理のキモで、メインテーマである「人中心の駅前空間」に生まれ変わるのだ。これまで都庁方面へ地上レベルでの移動は不可能だったが、この吹き抜け周辺がまるごと広場になり、都庁まで歩行者動線が直通することになる。

さらにバスロータリーにも地上から直接アクセスできるようになる。これまで地下1階から「目的のバス乗り場につながる階段」で移動する必要があったが、分かりやすくバスを利用できるようになる。

京王百貨店前は、巨大換気口を取り囲むように新ロータリーが誕生。都庁方面および甲州街道からアプローチ可能になる。これまでよく分からない存在だった緑地帯が、タクシープールや乗降場へうまく再活用されていくこととなる。

【地下部】
地下のロータリー空間は、面積が半減する計画になっている。駅側半分が広場に転換し、タクシー乗降場が都庁側にセットバックする格好だ。これまで地下の歩行者移動は、ロータリーのせいで手狭な印象だったが、ゆとりを持った地下空間となる。吹き抜けから太陽光が差し込んでくるのは変わらない。

ロータリー縮小は、すでに2025年8月29日から始まっている。都営バスの乗り場も駅側に面した位置に移動済みだ。

さらに地上から下りてくるランプは撤去されるため、地下ロータリーへは都庁側のトンネルからしか到達できなくなる。

ついに工事が本格化! 駅前の導線変化に要注意

2025年9月末に変更された新宿駅西口の道路ネットワーク。

2025年9月末に変更された新宿駅西口の道路ネットワーク。

そんな新宿西口駅前は、2025年9月末以降ついに工事が本格化し、交通ネットワークの大変革がはじまっている。

まず小田急ハルク側と京王百貨店側が「完全に分断」され、吹き抜け北側に「駅1階~都庁側」への歩行者ルートが誕生した。

このため、青梅街道から新宿駅に寄り、甲州街道へ抜けるといった南北移動が不可能になった。もし北側と南側を相互移動したい場合、都庁周辺の「公園通り」「東通り」といった南北道路を利用する必要がある。

西新宿側から小田急ハルク側に入ってきた場合、京王百貨店方面へは抜けられず、大ガード方面へ回るしかない。大ガードから入ってきた場合、これまでの一方通行がなくなり、小田急ハルク方面へ回ることになった。

甲州街道から入ってきた場合、小田急ハルク側・青梅街道方面へは抜けられず、都庁方面へ抜けるか、吹き抜け南側(巨大換気口の北側)の新ルートをぐるっと回って、元来た方向へ戻ることになった。

このように、新宿駅西口では、車両の南北方向の通り抜けができなくなった代わりに、歩行者が車道を横断せずに東西へ移動できるようになり、駅周辺は歩行者中心の空間へと再編されている。今後も駅ビルや駅東西をつなぐデッキの建設など、大きな再開発工事が目白押しだ。全体の完成を楽しみにしながら、引き続き工事の進捗に注目していきたい。

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