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最終更新日:2025.08.19 公開日:2025.08.19

BMW「初代3シリーズ(E21系)」誕生50周年! 名車伝説はこの一台からはじまった──【世界の名車・珍車図鑑】Vol.20

ビー・エム・ダブリュー 初代3シリーズ(E21系)|BMW 3 Series

歴史に名を残した名車・珍車を紹介するコーナー。今回は今年で誕生50周年を迎えたBMW「初代3シリーズ」が登場!

ビー・エム・ダブリュー 初代3シリーズ(E21系)|BMW 3 Series

文=武田公実

写真=BMW

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歴代モデルを合わせて悠久の歴史を誇るブランド、あるいは往年の名作がのちに復活を遂げたブランドなど、現代の自動車界には長い歴史を持つ車名が数多く存在し、その数だけ「初代」モデルが存在する。

その初代の成功があればこそ、後世まで長く作り続けられることになった、あるいは後世に蘇る原動力となった素晴らしき名車たち。今回は、丸々半世紀にもわたってBMWの屋台骨を支えるとともに、プレミアムDセグメントと呼ばれるクラスの開祖となったBMW 3シリーズの初代、E21系についてお話ししよう。

ビー・エム・ダブリュー 初代3シリーズ(E21系)|BMW 3 Series

1975年7月に登場した初代BMW 3シリーズ(E21系)

ビー・エム・ダブリュー 2002|BMW 2002

3シリーズの前任モデルとなるBMW2002。日本では「マルニ」の愛称で知られる

名作02シリーズの後継車として誕生

BMW「3シリーズ」は、長らくBMWの屋台骨を支えてきた基幹モデルだ。その開祖たるE21系は、今からちょうど半世紀前にあたる1975年7月にデビューした。1960年代にBMWの将来を決定づけた「1600-2」から、BMWの歴史的マスターピースとも言うべき「2002」に至る、いわゆる「02シリーズ」直系の後継車である。

02シリーズと同じく2ドアリムジーネ(セダン)のモノコックボディは、前任モデルの特徴であったボクシーかつ実用的なスタイルをモダナイズしたもの。02シリーズの外観上における特徴でもあった、ボディサイドのキャラクターラインから上が逆アリゲーター式に開くボンネットも引き継いでいたが、既に1972年にデビューしていた上級シリーズ「5シリーズ(E12系)」のモダンかつエレガントなデザインも同時に継承、縮小したものだった。

くわえて、1962年に元祖「ノイエ・クラッセ」こと「1500」リムジーネとともに登場して以来、BMWでは常道となっていた前:マクファーソンストラット式、後:セミトレーリングアーム式の4輪独立サスペンションも、02シリーズおよび1972年登場の初代「5シリーズ」から踏襲されていた。

ビー・エム・ダブリュー 初代3シリーズ(E21系)|BMW 3 Series

「316」は直列4気筒のキャブレター仕様で、初代3シリーズ(E21系)におけるベーシックモデルのひとつだった

ビー・エム・ダブリュー 初代3シリーズ(E21系)|BMW 3 Series

初代3シリーズ(初代 E21系)のインテリア

いっぽうパワーユニットは、これも「ノイエ・クラッセ」から続く伝統のM10系直列4気筒SOHCエンジンを搭載。5シリーズの例と同じく排気量によってグレード分けされ、ソレックス社製キャブレター1基を組み合わせた「316」「318」「320」と、ボッシュKジェトロニックを組み合わせた燃料噴射仕様の「320i」が設定されていた。

ベーシックモデルとなる316と318は、02シリーズと同じく丸型2灯式ヘッドライトを装備するのに対して、上級モデルに相当する320と320iには丸型4灯式のヘッドライトが与えられ、より5シリーズに近い近代的なフロントマスクとなっていた。

新生3シリーズは、デビュー当初から商業的成功を獲得するが、その評価がいっそう高まることになったのは1977年。直列6気筒SOHCエンジンを搭載した「320/6」および「323i」の追加設定が契機と言われている。

のちに「ライトシックス」の愛称のもと、名機と称賛されることになったスモールブロックのM20型直6SOHCエンジンは、いかにもBMWらしいスムーズネスと静粛性を実現。さらに実質的な性能や、スポーティなフィールも実現していたのである。

ビー・エム・ダブリュー 初代3シリーズ(E21系)|BMW 3 Series

初代3シリーズ(E21系)のキドニーグリル

ビー・エム・ダブリュー 初代3シリーズ(E21系)|BMW 3 Series

初代3シリーズ(E21系)は、2ドアサルーンのみラインナップされていた

「プレミアム&高性能な小型車」という新しい価値観を生み出す

BMW初代3シリーズは、中途で追加された「ライトシックス」の搭載により、全長4.4mたらずのコンパクトなサルーンながら、当時としては画期的だったプレミアムカーとしてのキャラクターを帯び始めてゆく。

また、オイルショック後の時期に登場した初代3シリーズには、伝説の「2002ターボ」のごときスーパースポーツ的ハイパフォーマンスモデルこそ用意されなかったが、特に143psのパワーを得た323iは、上質なスポーツサルーンとして認知されていった。

デビューから4年後となる1979年には、外観を中心としたフェイスリフトが施され、フロントのロアーパネルおよびエアダムスポイラー形状、ドアミラーのデザインなどが変更された。その傍ら「320/6」の登場によって、4気筒版の320および320iはフェードアウトしていたが、80年には従来の318にボッシュKジェトロニック燃料噴射を組み合わせた「318i」が登場。最後まで6気筒版が正規輸入されることのなかった日本市場においても、高い人気を博することになった。

1980年には、3シリーズが登場したのちも引き続き生産・販売されていた先代02シリーズの最廉価モデル「1502」の後継車として、316用の1573cc4気筒エンジンをわざわざディチューンして搭載した「315」も欧州マーケット用に追加されている。

ビー・エム・ダブリュー 2002ターボ|BMW 2002 turbo

ビー・エム・ダブリュー 2002ターボ|BMW 2002 turbo

ところで、02シリーズ時代にはリヤエンドにテールゲートを持つ実用的なハッチバックモデル「ツーリング」や、老舗コーチビルダー「カロッセリー・バウアー」社に生産を委託したカブリオレ版も設定されていたが、初代3シリーズでは、冒頭で述べたとおり2ドアサルーンのみのラインナップとされていた。

しかし、格段に厳しくなっていた1970年代の安全対策を見越して、バウアー社は自社内で脱着式トップ+ソフトトップのロールバー付きカブリオレ「トップ・カブリオレ(TC)」を開発。ヨーロッパ市場では1979年から、BMWの販売ネットワークでも購入可能とされていたという。

こうして順調に勢力を伸ばすことで「BMW 3シリーズ」の存在を世に知らしめたE21系は、1982年に後継車E30系3シリーズにあとを譲るかたちで生産を終えるまでに、4気筒モデルだけでも約136万台。6気筒モデルも約41万台が生産された大ヒット作として、その後のBMWの方向性を決定づけていくことになる。

そして、ライバルであるメルセデス・ベンツから、現在の「Cクラス」に至る源流である「190」クラスが誕生するにも大きな影響を及ぼしたことから、結果として現在に至る「プレミアムDセグメント」の先駆けともなってゆくのである。

歴代3シリーズが勢揃い。左から初代 E21系、2代目 E30系、3代目 E36系、4代目 E46系、5代目 E90系、そして手間が6代目 F30系と続く。なお現行モデルは2018年に登場したG20系

歴代3シリーズが勢揃い。左から初代 E21系、2代目 E30系、3代目 E36系、4代目 E46系、5代目 E90系、そして手間が6代目 F30系と続く。なお現行モデルは2018年に登場したG20系

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