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最終更新日:2025.06.11 公開日:2025.06.11

名神の「大渋滞ポイント」が変わる!? 新たな高速「名岐道路」が悲願の事業スタート! 一体どんな道路なのか【道路のニュース】

東海北陸道 一宮木曽川IC付近の航空写真。(c)northsan – stock.adobe.com

中部地方の渋滞多発区間に、新たな高速道路「名岐道路」が整備スタートとなった。岐阜市と名古屋市を直結させ、名古屋高速・名神高速・東海北陸道のボトルネックを解消するというこの道路計画は、一体どのようなものなのだろうか。

東海北陸道 一宮木曽川IC付近の航空写真。(c)northsan – stock.adobe.com

文=鳥羽しめじ

資料=国土交通省、愛知県

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名神と東海北陸道の「大渋滞ポイント」解消へ!?

名岐道路の概要図。

名岐道路の概要図。

愛知県と国土交通省は、2025年度に新たな高速道路「名岐道路(一宮~一宮木曽川)」の事業化を発表した。

「名岐道路」は、愛知県一宮市から岐阜県岐阜市に至る延長10kmの高規格道路。 「名古屋高速16号一宮線」をさらに北へ延伸し、東海北陸道の「一宮木曽川IC」へ直結するというもの。新規整備区間は約6.9kmで、片側2車線の高架道路。名古屋高速と同様に有料道路となる。

途中のICとして「両郷町出口/常願寺通南入口(仮)」「高田南出口/高田西入口(仮)」が設けられる(どちらも南向きのみ)。一宮木曽川ICは「一宮木曽川JCT(仮)」となり、地上に下りることなく東海北陸道へ直通できる構造となる。また、一宮ICの接続点に新たにランプが追加され、名古屋側からだけでなく北側からも名神方面へアクセスできるようになる計画だ。

名岐バイパスの渋滞緩和と東海北陸道へのアクセス性向上

名岐道路(一宮~一宮木曽川)に係る新規事業採択時評価の概要。

名岐道路(一宮~一宮木曽川)に係る新規事業採択時評価の概要。

名岐道路の計画されている区間には、国道22号「名岐バイパス」が地上を走っており、名前のとおり名古屋市と岐阜市を最短距離でつなぐ幹線道路となっている。しかし、1日あたり6万台に達するような交通量があるため、朝夕を中心に平均旅行速度14km/hという大渋滞が発生し、地域交通に大きな支障が生じていた。

今回事業化された「名岐道路(一宮~一宮木曽川)」は、この名岐バイパスの上空に高架道路を建設し、「信号ゼロ」で移動可能にするという計画となり、名岐バイパスの渋滞緩和に大きく寄与するとみられる。

また本計画は、「名古屋市内と東海北陸道を直結する」という広域的に重要な役割もあわせ持つ。

名古屋高速16号一宮線は、6号清洲線から直通し、名古屋市中心部から真北へ伸びて、名神高速道路「一宮IC」に接続し、さらに約3km北の一宮東出口・一宮中入口で終わっている。

いっぽう、高山・白川郷・富山方面へつなぐ東海北陸道は、一宮ICの約4km西隣にある「一宮JCT」で名神から分岐する形になっている。

つまり、名古屋市内~東海北陸道を移動するには、いったん名神高速に1区間だけ乗る必要がある。これにより、名神高速の同区間は交通集中で強烈なボトルネックとなり、日本でも有数の大渋滞区間となっているのだ。

それでなくとも一宮JCTは、東海北陸道から名神高速で合流するところで速度が低下するのも渋滞の主要原因となっている。ともかく交通課題が山積し、悪名高い場所だと言えるだろう。

ここに名岐道路(一宮~一宮木曽川)が開通すると、名古屋高速は東海北陸道に直結し、名神高速を1区間だけ乗る必要が無くなる。名古屋高速の交通流が、名神高速から完全に分離されるというわけだ。

さらに、一宮ICも機能強化され、東海北陸道から下りてきた交通流が、こちらでも名神高速へ乗り入れることが可能となる。つまり、東海北陸道~名神高速の接続点が「一宮JCT」「一宮IC」の2か所に分散される形となり、悪名高い合流点も渋滞緩和が期待される。なお、名前が互いに紛らわしいため、一宮ICは「一宮東JCT」のように改名される可能性もあるだろう。

名神高速と接続する一宮ICも機能強化される。

名神高速と接続する一宮ICも機能強化される。

大きく変わる愛知・岐阜エリアの道路ネットワーク

名岐道路を含む名古屋周辺の広域図。

名岐道路を含む名古屋周辺の広域図。

古くから計画されてきた名岐道路だが、悲願とも言える具体化にこぎ着けたのが、2019年の「計画段階評価」プロセス開始だ。ここで概略ルート・構造が決定され、2023年には都市計画決定と環境アセスメントの手続きが開始。2024年度内にどちらも一段落したため、2025年4月に晴れて事業化を迎えた。実に6年越しの成就となる。

今後は測量設計や用地買収を経て着工となる。とはいえ、基本的に国道22号の上空を通すため、用地買収がさほど大がかりではなく、着工への道のりは比較的短そうだ。

周辺では、東海環状自動車道の「北西区間」養老JCT~美濃関JCTの全通も秒読み段階。さらに一宮JCTから南下して伊勢湾岸自動車道へつなぐ「一宮西港道路」も計画進行中だ。ますます便利になる中部地方の道路ネットワークに、目が離せない。

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