トヨタMR2と「賃貸ガレージハウス」で暮らす若者。“10万円以下”でも憧れのガレージライフは手に入るのか?
近年、都心から少し離れた郊外では「賃貸ガレージハウス」で暮らすクルマ好きが増えているという。今回は、そんな物件でトヨタ MR2との理想的なガレージライフを送る若者に話を聞くことができた。果たしてどのような生活を送っているのだろうか?
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「ガレージライフ」を満喫する若者
これまでガレージハウスといえば、どこか“憧れ”の存在だった。しかし、「都心から少し離れた郊外」であれば、無理なく理想の暮らしを手に入れられるという。
前回は首都圏で賃貸ガレージハウス生活をはじめる人が増えているという話を紹介した。今回は実際に暮らしている人にも会ってみたい──そう考え、「トヨタMR2と暮らす若者」に会ってきた。

今回、取材を快く引き受けてくれたNRさん。電動シャッターが開くと、よく手入れされたMR2が迎えてくれ、挨拶もそこそこにクルマ談義がスタート。同行したスタッフからも、質問が次々と飛び出した。賃貸ガレージハウスでの暮らし……やっぱり気になるよね(笑)。
「22歳のときに初代ダイハツ・コペンを購入し、オープンカーの楽しさにハマりました。もともとミッドシップのクルマが好きで、トヨタMR2にずっと憧れていたんです。25~26歳の頃に、1987年式のMR2 Gリミテッド・スーパーチャージャーに乗り替えました」
そう話してくれたのは、現在31歳のNRさん。いまも愛用しているAW11型MR2は、ガレージハウスに入居するまでは、実家から徒歩10分ほどの月極駐車場で露天保管していたという。

いまでもファンが多い白銀ツートンのトヨタMR2 Gリミテッド・スーパーチャージャーをセンスよくモディファイ。ゴールドメッシュのエンケイ92が効いている。
パッと見で、「おっ、各部をイジっているな!」 とわかるNRさんのMR2。
モモ製のステアリング、ブリッドのバケットシートなどを装備し、最近新調したというホイールはエンケイ92。ゴールドメッシュのホイールにシバタイヤのREVIMAX R23を組み合わせている。
スポーツサスペンションはXYZ製の車高調で、まさに走って楽しい仕様だ。

NRさんと愛車のトヨタMR2
クルマいじりのために片道40分かけて通った日々
NRさんはMR2の他にも、クルマで40分ほどの場所にある8畳サイズのコンテナに、複数のバイクを保管していたという。
実家にも駐車スペースはあったものの、そこは父親の愛車であるドイツ製スポーツカー専用。MR2は停められず、作業スペースとして使うのみだった。
しかし、その場所は幹線道路沿いだったため、必要以上に目立ってしまい、通行人にジロジロ見られてしまうのが少しイヤだったそうだ。

こちらの賃貸ガレージハウスは「Freedom Garage(フリーダムガレージ)」というシリーズ。床はコンクリート土間仕上げで、壁は石膏ボードが剥き出しの無骨さが良い感じ。1階がガレージで、階段で昇った2階が居住スペースとなっている。
幼い頃から二輪・四輪が好きだったNRさんは現在、自動車関連の仕事に就いている。知識も経験も豊富で、本格的なモディファイやメンテナンスもこなす。
とはいえ、人目を気にしながらの作業には限界があり、いつしか工具やウマ(ジャッキスタンド)をMR2に積み込み、バイクを保管していたコンテナまで通って週末ごとに作業を楽しむようになった。
コンテナを借りたことでバイクの台数も増やせたし、愛車いじりも気軽にできるようになったが、次第に「クルマで40分ぐらいかかるのはやっぱり遠い」と感じるように。そこでNRさんは、賃貸ガレージハウスを探し始めたという。

NRさんは仕事が自動車関連なので、ガレージ内に置いてある工具類は飾りではない。ここに入居する前は愛車にウマなどを積み、借りているコンテナまで行ってMR2イジリを楽しんでいたという。
賃貸ガレージハウスはどうやって探した?
「インターネットで調べてみたら、“東京ガレージ”という首都圏でのガレージライフを提案しているサイトで最適な物件がすぐに見つかりました。広さも十分で、ココがいい! と思い、すぐに行動しました。思い立ったらすぐ動いちゃう性格なんですよ」
NRさんが見つけた物件は神奈川県の圏央西部にあった。ここは大学時代に通っていた地域でもあったので土地勘もあり、家賃も10万円以下と理想的だったので、迷うことなく入居を決めた。(ちなみにNRさんは、この東京ガレージさんからご紹介いただいた。)
「ガレージハウスを内見したその日に入居申請を出しました。成約までに少し時間がかかったので、待ち遠しかったですね。入居できるかどうかで、その後のカー&バイクライフが変わると思っていたので、まさに人生の分岐点だったと思います。
当初は3部屋空いていましたが、あっという間に埋まりました。できれば端の部屋がよかったので、もっと早く見ておけばよかったです」

エレキギターのストラトキャスターを弾くこともあるという多趣味のNRさん。父親も2シーターに乗っており、ドイツ製スポーツカーとMR2とのツーショット写真がガレージハウス内に飾られていた。
憧れのガレージライフは……楽しすぎた!
現在の物件には、2年前の春に入居。当時の勤務地は都内だったため、通勤は大変だったという。しかし2024年の9月に転職し、いまは近隣の市にある職場へ足グルマで通勤するようになり、片道20分で済むようになった。
「実際にガレージハウスに住んでみて分かったのは、凄くいい! ということです。ここは高速道路のインターチェンジから近く、ちょっとそこまでドライブする感覚で静岡方面に行けるので、バイク好きの友人とツーリングする時は、いつも我が家が集合場所になっています」

ガレージの内寸は横幅が3.93mで、奥行が5.75m。電動シャッター・EV充電完備のほか、屋外にも1軒1台まで駐車が可能だ。

居住スペースがある2階の階段上から、1階の出入口を見下ろしたアングル。屋内設備は洋室11.25帖(ロフト含む)に、クローゼット、システムキッチン、バス・トイレ別、洗面室を完備。
2025年3月にはホンダCBR250Rと、スズキGSX400S KATANAを手放したが、取材時にはホンダCB900ホーネット、カワサキKSR110(父親と折半で購入)、ホンダ・エイプ50(友人と共同所有)の3台が、MR2の横で羽を休めていた。NRさんはバイクライフも存分に楽しんでいるようだった。
「広すぎて掃除は大変ですけど(笑)、ガレージハウスでの生活は本当に楽しいです。将来的にはロータス・エキシージS1を増車できたら最高ですね。維持しやすい2ストのバイクも欲しいので、NSR250(MC21型かMC28型)、RG500ガンマか400ガンマが手元にあれば……なんて妄想しています」
さらにKX125のような本気のオフロードバイクも迎え入れたいと話すNRさん。彼のガレージライフは今後ますます趣味性を深めていくに違いない。

実家住まいのときにコンテナを借り、バイクを増やしたが、ガレージハウスでのクルマ2台+バイク5台生活は大変なので、2輪はホンダCB900ホーネット、カワサキKSR110、ホンダ・エイプ50だけにした。