ランクル60を相棒にしたカフェオーナーのこだわり|フォトグラファー澤村洋兵の「クルマと彩るボクらの生活」vol.2
愛車と仕事、そして人生の価値観を綴る澤村洋兵さんのフォトエッセイ。今回はカフェオーナーである「梅ちゃん」とその愛車「トヨタ・ランドクルーザー60(1987年式)」が登場。ヤングタイマーと呼ばれる1980~1990年代のクルマを“あえて”手に入れるオーナーは、一体どんな人でなぜランクル60を選んだのだろう。
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目次
好きなクルマと友人、そしてコーヒーがキーワード
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“梅ちゃん”こと梅田孝也くんとその愛車「トヨタ・ランドクルーザー60(1987年式)」
記事の画像ギャラリーを見るこちらではお久しぶりです。フォトグラファーの澤村洋兵です。
少年時代、作文なんてめちゃめちゃ苦手だったボクですが、写真とクルマというきっかけから、なぜか文章を綴ることに。好きなことが仕事に繋がるなんて、いやはやありがたいことです。
さて今回は、ボクが常日頃遊びに行っている&お仕事として撮影もさせていただいているカフェのオーナーであり友人の“梅ちゃん”こと梅田孝也くんを紹介します。
実は、ボク自身もフォトグラファーになる前は京都のカフェで店長・バリスタをしていました……さらにその前は料理人、その前は美容師っていう謎の人生を過ごしていますが(笑)そんな経歴ということもあって、ここ京都を中心にカフェ関係の知り合いが多く、彼もその頃に知り合った友人のうちの1人。
ボクがフォトグラファーになってからも交友は続いていて、彼がオーナーを務めるカフェの撮影もさせてもらうようになりました。
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梅ちゃんが営む京都のカフェは3店舗。こちらは二条城にほど近い「HOO」。
彼のお店は「loose kyoto」「HOO」「CHALLE」と京都で3店舗。揚げたてのドーナツと自家焙煎の香り高いコーヒーを楽しめる素敵なカフェです。スタッフも気さくなメンバーが揃っていて愉快だし、古くからある京町家をリノベーショした空間は落ち着く雰囲気でいい感じ。ボクもお気に入りなお店なので、京都に来られた際は皆さんもぜひ遊びに行ってみてください。
そんなオーナー・梅ちゃんが最近、新しくクルマを納車したと聞き「これは紹介しなくては!」とカメラを手に彼のもとまで向かいました。
真っ赤な「ランクル60」は、豪州から来たニクいヤツ。
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オリジナルカラーの赤色が渋い「トヨタ・ランドクルーザー60(1987年式)」
梅ちゃんが購入したクルマは「トヨタ・ランドクルーザー60(1987年式・オーストラリア仕様)」
真っ赤なランクル60。
この色がまたいいんです。
オーストラリア仕様のランクル60の特徴といえば、サイドウィンドウにある三角窓と、助手席のベンチシート。どちらも海外チックな無骨さがあってとても渋いクルマです。
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サイドウィンドウにある三角窓と、助手席のベンチシートが特徴的。
このランクル60には、もちろん彼のこだわりがたくさん詰まっています。そのうちの1つは「できるだけ純正の状態で乗りたい」ということ。
かといって旧車ではパーツが少なくて手に入りづらく、全て純正で揃えるのは今となっては難しい。それでもできる限り純正パーツを揃え、それが難しい部分も純正に近いもので仕上げたそう。例えば、ボディのクラシックな赤色は純正カラーを使って全塗装し、内装のシート生地などにもできる限り近い素材を使用したのだとか。レトロなサイドミラーや丸目のヘッドライトも可愛いですよね。
ボディサイドのデカールもこだわりで、オリジナルのデカールを使っているそう。ただ「FOUR WHEEL DRIVE」という文字は純正では筆記体だったものを、タイヤに書かれたゴシック体の文字に寄せて“あえて”ゴシック体にしたそうです。
旧車って基本的にそのまま乗ることは不可能なのでパーツが変わる部分があって、そんな部分を中心とした色んな箇所にその人のこだわりが詰まっているのも面白いところです。たとえ同じ車種でも、その人らしさが滲み出ているんですよね。
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デカールはオリジナルを使いながら「FOUR WHEEL DRIVE」という文字はゴシック体に。
専門店だから、安心して任せられる
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コーヒーを片手にドライブするのも楽しみの1つ。
実は彼は元々、ランクル70に乗っていたのですが、なぜまた60に変更したのか疑問に思って聞いてみると「乗ってみたかったから」と即答。
……単純明快! だけどその気持ちはめちゃめちゃ分かる! これに乗るって決める理由なんて、結局それが一番なんですよね。それでいいんです。
彼がランクル60に乗りたいと思い始めた時に、いつもお世話になっているランクル専門のお店の方が丁度「レストアする予定の車体をオーストラリアから逆輸入する」と話したそうで、それで即決したのだとか。
旧車ってほんと出会いが重要なんですよね。無理に探しても丁度いいのが見つからないことが多い。でもなぜか運命のようにいいタイミングでそういう話が回ってくる……そうしたらもう、買うしか無いんですよね(笑)
ボクのクルマを紹介した時もお伝えしましたが、梅ちゃんとも2人で話していて旧車の購入を考えている人には絶対伝えたいことがあります。
それは“購入するお店はしっかり選びましょう”ということ。特に欲しい車種の専門店がいいですね。特定の車種に関して修理の知識も豊富ですし、パーツも多く抱えている。旧車は個体差が大きく、当たり前ですが製造からかなり年数が経っているので、しっかりと専門的な知識を持った方に修理してもらうことで安心して乗ることができると思います。
ランクル60は釣りの相棒に最適かも?
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ランクル60は上下開閉式のバックドアがあるので、下側のパネルに腰掛けることもできる。
そんなランクル60の乗り手、梅ちゃんは釣りが趣味でよくボクも一緒に出かけます。十数年ぶりにボクの釣りの趣味を再燃させてくれたのは彼なんですよね。
そんな彼の愛車には常にこだわりの釣具がところ狭しと積まれています。ラゲッジスペースにはルアーなどが入ったコンテナをいくつかと、ルーフにはロッドホルダーを設置してこだわりの釣り竿を収納しやすくアレンジ。
写真で見て分かる通り、ランクル60は上下開閉式のバックドアがあるので、下側のパネルに腰掛けて釣りの準備をしたり、コーヒーを飲んだりとベンチのように使うことができるのもいいところです。
釣りってほぼクルマで行くものなんですが、その道のりを愛車で行くっていう、そのドライブの時間も楽しいんですよね。しかもこだわりの旧車であれば尚更です。皆さんも釣り、はじめてみてはいかがでしょうか?
写真を撮ってこの記事を書いていたら、今すぐ釣りに行きたくなってきました(笑)
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ラゲッジスペースの収納力も充分。
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ロッドホルダーも設置済みで、使い勝手も抜群に。
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釣具だってこだわり満点。次はどこに出かけよう。
愛車選びは究極の自己満足
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TOYOTA LAND CRUISER 60|トヨタ ランドクルーザー60
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お気に入りの旧車に乗るって“究極の自己満足”かも。
梅ちゃんと旧車のことで話をしてみてすっごい「そうやんなー!」って盛り上がった部分があります。旧車に乗っていて、もちろん「かっこいいっしょ! 見てくれい!」って思う気持ちも少しあります(笑)でも、それって優先順位的には結構下で、それよりも、お気に入りの車種を所有して、それを運転している“自分に酔いたい”という気持ちが大半を占めているって部分です。
どんなクルマに乗るかっていうのは、結局めちゃめちゃ自己満足的なものです。旧車が好きな人、走りの良いクルマが好きな人、最新のクルマが好きな人、それぞれの尺度があります。でもその尺度こそが自分の生き方や好きなものに繋がっている気がするんです。
自分の感性を信じて、自分を満足させてくれるクルマを選ぶことって……幸せよなって。
これを読んでいる皆さんもきっとそんな自己満足を楽しむ、ある意味、面倒な人たちではないでしょうか。まだ、愛車を手に入れていないとしたら、あなたも究極の自己満足を感じてみませんか?
旧車、いいですよ。
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