トヨタGR、マツダ、ロータス、MIDの展示車がスゴイ! 東京オートサロンで注目を集めたクルマたち<後編>【東京オートサロン2025】
東京オートサロン2025(1月10日~12日)で注目を集めた、メーカー謹製のカスタム車10台をモータージャーナリストの原アキラが甘口・辛口チェック! 後編ではトヨタGR、マツダ、ロータス、MID、ヤマハブースで注目を集めていたクルマを紹介する。
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目次
【トヨタGR】傷だらけの80スープラ
トヨタTGRブースは「ニュルブルクリンクでのクルマづくり」をテーマに、さまざまな開発車両やレースモデルが展示されていた。その中で気になったのはちょっと古いノーマル「80スープラ」だ。
聞けばこのスープラ、モリゾウことトヨタの豊田章雄会長が社長時代に自分のドライビングテクニックを磨くため、ニュルブルクリンクを走行する訓練用として供された車両そのものなのだという。
80スープラはニュルでの性能テストを繰り返して開発されただけあって、超高速域で圧倒的な性能を発揮するモデルであったのはご存知の通りだが、惜しくも2002年には生産を終了。その後のトヨタには後継モデルがなく、2007年ごろに豊田氏がトレーニングに使うクルマとして適したものはというと、中古の80スープラしかなかったのだ。
当時のマスタードライバーである故・成瀬弘氏に弟子入りしてレッスンは繰り返されたのだが、他社が最新モデルを使用して開発テストを行うその場所で、トヨタのトップが中古のスープラを使用して走らざるをえなかったのは本当に悔しい思いだった、というのは有名な話。
展示された80スープラのフロント部分には、時速200kmを超える超高速走行中に当たる虫や小石、タイヤカスによる傷や塗装剥がれが無数に付いていて、それはまさに豊田氏の悔しさの象徴であるように見えたのだ。それがバネになって「もっといいクルマづくり」につながったというのだから、この80スープラが昨今の素晴らしい結果を生む原動力になったのだ。
【マツダ】200台限定の特別なロードスター12R
マツダブースの注目モデルは、今秋の市販化が決定した2.0Lエンジンを搭載したオープン幌タイプのロードスターだ。サブブランドのマツダスピリットレーシングが手がけた「マツダ スピリットレーシング・ロードスター12R(イチニーアール)」は、シートがレカロのフルバケット、足回りはビルシュタインのCリング式車高調、ホイールはRAYSの鍛造アルミ(切削加工仕様)、ブレーキはフロントにブレンボ製対向4ピストンレッドキャリパーを採用。
搭載する排気量2.0リッターの直4SKYACTIVE-Gエンジンは、スーパー耐久シリーズで獲得した技術を活かした専用のカムやシャフト、ピストン、シリンダーヘッド、冷却性能を向上したラジエータを装着することで最高出力を200PS(147kW)までアップ。黒の結晶塗装ヘッドカバーのトップには200台限定の証となるシリアルナンバーが刻まれる。
ボディカラーは12R専用のエアログレーで、専用デカールや新開発のエアロパーツを装着。インテリアは、ステアリングやシフトノブ、サイドブレーキ、センターコンソールをアルカンターラの防眩仕様としたことで運転に集中できる仕上げとしている。製作はほぼ手作業で行うといい、価格は700万円オーバーになる。
もう1台の量販モデル「マツダ スピリットレーシング・ロードスター」は、ノーマルRFモデルと同じ出力184PS(135kW)の2.0リッターエンジンを搭載しており、価格は500万円台になるという。
【ロータス】ピンク色のド派手なエメヤが登場!
ロータスといえば、エラン、セブン、ヨーロッパ、エリーゼなど数多くのライトウェイトスポーツカーがお馴染みで、ファンも数多くいたのだが、中国・吉利(ジーリー)傘下になって以来180度方向転換。現在はEV主体のメーカーへと変貌を遂げている。
そんなロータスの最新EVモデルが「エメヤ」だ。ボディは、全長5,139mm、全幅2,005mm、全高1,459mmとどデカい。2モーターの4WDシステムはノーマルモデルで450kW(612PS)/710Nm、Rモデルは675kW(918PS)/985Nmを発生し、0-100kmh加速2.85秒、最高速度265km/hを公称しているスーパーEVだ。
そしてブースに展示されていたのはボディ前方がピンク、後方がオレンジのグラディエーションカラーに塗られたRモデルが「エメヤ ブロッサム」だ。聞けばこのカラー、英国内の「イースト・カールトン・マナー」にある庭園で花が咲き誇る夏のイメージを表したものだという。
インテリアカラーもパープルがメインで、そのルックスは衝撃という以外ナニモノでもない。ただでさえロータスのこれまでのイメージとは異なる巨大なEV車両で、しかもこの色使い! 果たして日本のユーザーを惹きつけることができるのだろうか。中国では売れそうだけど……。
【MID】Gクラス&1本100万円超えのスペシャルホイール
自動車用アフターホイールメーカーのMID(マルカサービス)のブースには、同社の最新ホイール「エレメントシックス」を装着したメルセデスGクラスが展示されていた。名前はリム部に使用したカーボン(炭素)が6つ目の元素であることからついた。
ディスク部に削り出しの鍛造アルミを使用した2ピースホイールで、リムのカラーとディスク部のデザインは好みに応じて自由自在に変更できるという。
サイズは20〜23インチで、1本のお値段は100万円 からというこのホイール。Gクラスにはそれを証明するように左右で異なるデザインのホイールを装着していた。受注生産のため納期や生産数は未定というが、カスタマイズ好きのオーナーにバッチリ訴求できる仕上がり具合だった。
【ヤマハ】フォーミュラEへの挑戦開始
ヤマハ発動機のブースには、今シーズンから「FIAフォーミュラE世界選手権」に参戦するローラ・ヤマハ・ABTチームの「ローラ T001」デモカーが展示されていた。ニューフェイスとなるヤマハは、チームにモーターとインバータ、ギアボックスのパッケージを提供する電動パワートレインのマニファクチャラーという役割だ。
なぜこのタイミングで参戦を決めたのかについて担当者に聞くと、「フォーミュラEのバッテリー容量はレースに使用するエネルギーの半分までしか認められておらず、相手より速く完走するためにはエネルギーマネジメントの技術が最も重要なファクト。レース参戦でその技術を磨き込むことで、2050年のカーボンニュートラル実現に必ず結びつくはず」というチャレンジだという。
2025年シーズンはすでに2戦が終了していて、「トップチームに比べて何ができていて、何が足りないのか」が明確にわかってきたという。日産に続く2つ目の日の丸チームとなるヤマハのレース結果に、今後も注目したい。
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