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最終更新日:2024.09.18 公開日:2024.09.18

200万円以下で買える!? ホンダの軽商用BEV「N-VAN e:」は個人でも購入可能な遊べるクルマだった。【試乗レビュー】

いよいよ10月10日に発売を控えたホンダの軽商用BEV「N-VAN e:(エヌバン イー)」に、モータージャーナリストの原アキラが試乗した。商用だけなんてもったいない! マイカーとしても楽しめる期待の新型電気自動車、その実力や如何に!?

文と写真=原アキラ

なぜホンダは軽商用BEVを販売するのか

パッと見分けるにはヘッドライトに注目。角目が「L4」で、丸眼が「FUN」だ

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ホンダが2030年からはハイブリッドも含めた電動車のみを販売すると宣言しているのは皆さんご存知の通り。2020年にはその第1弾として、都市型コミューターの小型BEV「ホンダe」をデビューさせた。

ホンダeは初代シビックを彷彿させるようなキュートでシンプルなルックス、パーソナル感に溢れたおしゃれなインテリア、RR(リアモーター・リアドライブ)と最小回転半径4.3mによる楽しい走りなど、クルマとしての出来はとってもよかったのだけれども、BEVとしての航続距離の短さ(WLTCモードで259km)と、何よりも本体価格の高さ(495万円)がたたって販売は不振。2024年1月には残念ながらディスコンになってしまった(いまだにあのデザインが大好きだったという方は多いはず)。趣味的要素の多いBEVは、まだちょっと早すぎた、ということなのかもしれない。

そんな“反省”もあってか、今回登場したN-VAN e:は、軽商用BEVというカテゴリーだ。身近な軽商用バンから日本のEV展開を本格スタートしたいとするホンダ。10月10日の発売を前に行われたホンダのテストコース内での先行試乗会に参加し、その出来栄えを確かめた。

個人で楽しめるのは「L4」と「FUN」の2タイプ

ホンダ エヌバン イー|Honda N-VAN e:

N-VAN e:のモデルラインナップは4タイプある。まずは運転席だけある1座の「G」(急速充電は別売、本体価格は243万9800円)と、運転席とその後ろにシートを配したタンデム2座の「L2」(同254万9800円)で、この2モデルはリース契約のみの法人用ベースモデルだ。

今回試乗したのは、4人乗りで角目のベーシックな「L4」(同269万9400円)と、丸眼のヘッドライトや急速充電を標準装備した上級版の「FUN」(291万9400円)の2台で、こちらは通常の販売店で購入することができる。黒ナンバー(4ナンバーの軽貨物車)用のLEVO補助金(約100万円)や、CEV補助金(軽で約55万円)を利用すれば200万円以下で手に入りそうなので、かなり魅力的な価格設定と言える。

ホンダの軽商用BEVは何がスゴイ?

N-VAN e:はN-VANをベースにしただけあって、エクステリアはほとんど変わっておらず、BEVであることを主張する部分はそれほどない。運転席以外をダイブダウンすることで現れる、床から天井まで1370mm、フラットフロアの最大スペース長2645mm、左側のピラーレス開口部1580mmという巨大な空間も同様で、普通サイズの段ボール箱(380×310×280mm)をおよそ70個も詰める積載能力は相変わらずスゴイ。

面白いのは、普通と急速の2つの充電口(給電も可)を備えたフロントグリルで、こちらはリサイクルバンパーを粉砕化して整形。端にはリサイクルマークが記されている。よく見ると黒一色ではなく青や赤、白など細かな斑点を見ることができ、それはNSXやタイプRなどの塗装膜を残しているからなのだとか。同じものは一つとしてないので、ユーザーはそれが何の色か、探してみるのも楽しそうだ。

ホンダ エヌバン イー|Honda N-VAN e:

ホンダ エヌバン イー|Honda N-VAN e:

ホンダ エヌバン イー|Honda N-VAN e:

一方のインテリアはホンダらしい工夫が詰まっている。ドアや荷室のサイドパネルを、コンテナの外観から発想したという縦シマの凹凸(プレス加工)を採用することで、まさに四角いコンテナの内部のような空間が広がっている。とりあえず大きな箱を用意して、あとは自由に使ってね、というスタンスだ。

そこに、バイワイヤのボタン式シフトとしたことでダッシュボードセンターの下端に運転席から歩道側に簡単に移動できる足ぬき空間を作ったり、センタークラスターを運転席に近づけて操作がしやすくなっている。他にもパワーウインドウボタンをドアからセンターコンソールに移すことで、ドアポケットに入れるA4の書類を出し入れしやすくしたりと、ガソリンモデルからの変更点は結構ある。収納部分をもっと増やしたいユーザー向けには、ホンダアクセスから数多くのオプションパーツが用意されているので、それを見つけていくのも楽しい。

荷崩れしない優しいチューニング

ホンダ エヌバン イー|Honda N-VAN e:

最高出力47kW(64PS)、最大トルク162Nmを発生するモーターは、EV化で重くなったボディをどう走らせるのか。比較のために乗った自然吸気のガソリンモデルに比べると、もう圧倒的に速いことがすぐにわかる。とはいえ、BEVにありがちなワープ感ではなく、一定の加速感で車速を伸ばしていくという感じ。

ブレーキングも、電動サーボとしたことで停止直前まで一定感覚で減速できる。これは、たくさん載せている荷物がGの変化で崩れないための優しいチューニングであり、さらに長い時間乗っていたり、乗ったり降りたりが多い商用ドライバーが、結果的に疲れないという相乗効果があるに違いないと思った。また、疲れないという面では、タイヤサイズを12インチから13インチに大きくしたことで、そのエアボリュームによって乗り心地がアップしている点も効果大だ。

充電は、普通充電が3.2kWで約8.5時間、6.0kWで約4.5時間、急速充電は50kW対応で、30分で80%まで回復する。給電用のパワーサプライコネクターを使用すれば、野外アクティビティやアウトドアなどで活躍できる。ホンダコネクトを使用したリモート充給電サポートなら、スマホで充電状況やそのコントロールが可能になる。

商用だけでなく、ちょっとおしゃれなそのスタイルから個人ユースにもぴたりとハマりそうなN-VAN e:。売れている「N」シリーズにまた新たな魅力が備わった。

普通サイズの段ボール箱を約70個も詰める積載能力を駆使すれば、ケータリングカーのように使うこともできそうだ

SPECIFICATIONS
ホンダ エヌバン イー L4 / FUN|Honda N-VAN e: L4 / FUN
ボディサイズ:全長3395×全幅1475×全高1960mm
車両重量:
1130kg(L4)
1140kg(FUN)
駆動方式:FF
定格出力:39kW
モーター最高出力:47kW(64PS)
モーター最大トルク:162Nm(16.5kgf・m)
一充電走行距離:245km(WLTCモード)
電力消費率:127Wh/km
価格(税込):
269万9400円(L4)
291万9400円(FUN)

ホンダ エヌバン イー G / L2|Honda N-VAN e: G / L2
ボディサイズ:
全長3395×全幅1475×全高1950mm(G)
全長3395×全幅1475×全高1960mm(L2)
車両重量:
1060kg(G)
1080kg(L2)
駆動方式:FF
定格出力:39kW
モーター最高出力:39kW(53PS)
モーター最大トルク:162Nm(16.5kgf・m)
一充電走行距離:245km(WLTCモード)
電力消費率:127Wh/km
価格(税込):
243万9800円(G)
254万9800円(L2)

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