BMWの新型電動バイク「CE 02」でツーリング! 街乗り向けなのに無理して郊外を目指した結果、どうなった?
オートバイの世界における電動化は歩みが遅いイメージがある。ただ徐々にではあるが、各メーカーからさまざまなモデルが登場してきている。今回は4月に登場したばかりで、電動バイクの中でも注目度の高いBMWモトラッドのアーバンモビリティ「CE 02」に試乗。このモデルは街乗り向けとされているが、あえて日帰りツーリングに挑戦。果たしてその結果は……?
BMWのアーバンモビリティ「CE 02」とは?
2024年春におこなわれたモーターサイクルショーでBMWモトラッドブースに展示され、「あのバイクなんだ?」と注目されていたのがこの電動バイク「CE 02(シーイー・ゼロツー)」だ。同イベントを終えると、4月26日からすぐに販売をスタートした。
BMWモトラッドが電動モビリティ戦略として開発した電動バイクとしてはCE 01、CE 04に続く3台目のモデルとなり、外観はこれまでのスクータータイプからコンパクトなオートバイタイプへと変わっている。モデル名の「C」とはBMWモトラッドのアーバン・モビリティCシリーズを意味し、「E」はご存じ電動駆動のこと。そして「02」はエンジン排気量換算で200cc相当を表している。日本においては普通自動二輪免許とAT限定普通自動二輪免許で運転をすることができ、軽二輪なので車検はなく、二人乗りや高速道路の走行も可能だ。
またこのモデルは、エクストリームスポーツ「パルクール」のように、建物と建物の間を飛び回りながら移動し、都市部の入り組んだ細い道をクールに素早く移動する様子をイメージして「eパルクーラー」とも呼ばれている。
CE 02は電動スクーターでも電動バイクでもない、新たな都市型電動モビリティとして登場したモデルだ。車体はスチール製のフレームにフロントは倒立フォーク、リアは片持ちスイングアーム&モノショック、そして足元には前後14インチのホイールとワイドめのタイヤで構成されている。さらに充電方法も従来の電気自動車用の充電設備を必要とせず、一般的な家庭用コンセントでの充電が可能なところも大きなポイントとなっている。
レッツ、ショートツーリング!
今回、ショートツーリングの目的地として選んだのは、神奈川県愛甲郡にある「宮ヶ瀬ヴィレッジ」。ここはライダーが多く集まる関東の人気スポットの宮ヶ瀬湖や宮ヶ瀬ダムからほど近い場所にあるカフェを中心とした複合施設である。
都心からの大まかな距離としては下道で60km強、スタート時のCE 02のメーター表示はバッテリー残量91%で走行可能距離73kmだった。そのまま鵜呑みにして目的地を目指すのはやや危険な気もしたが、四の五の言っていても仕方がなく、ひとまず高層ビルがそびえ立つ都心を出発した。
シート高は低めの設定で足つき性はよく、安心感は十分。またシートは前から後ろまでフラットな形状で自分好みのポジションを取りやすくなっている。座り心地はやや固めの印象だ。
走行モードは3種類用意されていて、まずはスタンダードな「フロー」モードを使ってみた。走り出しはスムーズで、電動バイク特有の少し驚くトルクの強さも抑えられ、走行自体もマイルド。程よく回生ブレーキも効き、最も使えるモードとなっている。走りは電動バイクなので、やはりとても静か。エンジンバイクであれば都会の喧騒を排気音が消し去ってくれるが、このバイクだとそれらの音がダイレクトに耳に入ってくる。普段からエンジンバイクに乗っている人には新鮮に感じられるだろう。都心を離れるほど自然を感じられるようになり、心地よくなってくる。
次に、このバイクは軽二輪扱いということで、ようやく都心を抜けた後、高速ライドを味わってみたいと思い、最もパワフルな「フラッシュ」モードで高速道路を走ってみた。
力強い加速は実に気分爽快で、アクセルを戻すと回生力も強い。そのまま気持ちよく走っていたかったが、ふとメーターを見るとバッテリー残量が一気に減っていっていることに気づき、慌てて高速道路を降りて下道に戻ることにした。
下道ではフラットな場所でパワフル&回生なしの「サーフ」モードで魔法の絨毯のような“スーッ”という心地よい走りを味わった。しかしそれもつかの間、その後はメーターとのにらめっこが続き、地球に優しい省エネ走行に徹した。
そしてなんとか無事に宮ヶ瀬ヴィレッジに到着。メーターはバッテリー残量8%で走行可能距離6kmと表示しており、まさにギリギリ。短い距離ではそこまで気にすることのないバッテリー残量も、長距離走行ではバッテリー残量を考えつつ、走り方自体にも気をつけることが必要となり、改めてバッテリーマネジメントの重要性を体感することができた。
その後は宮ヶ瀬ヴィレッジで特別にCE 02を充電させてもらいつつ、ゆっくりと美味しいバーベキューと豊かな自然を堪能し、カフェでコーヒーとアートを満喫。バッテリー残量90%まで充電させていただいて帰路についた。なお最終的に都心に到着したときのバッテリー残量は15%、走行可能距離は11kmと、すべて下道を使ったことと、バッテリーマネジメントに慣れたことで往路よりも少し余裕を持って走ることができた。
ライダーが集う新聖地「宮ケ瀬ヴィレッジ」って知ってる?
今回ツーリングの目的地として訪れた「宮ケ瀬ヴィレッジ」は2022年11月に開業し、翌年7月にUNITEDcafe宮ヶ瀬店がオープン。ちなみにUNITEDcafeは1号店は東京の駒沢にあり、ライダーズカフェとしてバイク乗りの間では有名なスポットだ。
ここ宮ケ瀬ヴィレッジは、UNITEDcafeの経営する会社ユナイテッド・アーツの代表がドライブインのような場所を作りたいという想いを実現した場所だ。はじめはキッチンカーの営業からスタートし、その後、カフェや民泊施設として多目的コンテナを追加、そしてBBQ場などを施設内に次々と作り上げて現在に至る。今後もさらにキャンプ場やRVパーク、サウナ等の整備も予定しているそうだ。
ほかにもUNITEDcafe駒沢店と同様に、こちらのカフェにもバイクをメインとしたアート展示がおこなわれ、さまざまなアーティストたちの個展やグループ展等が開催し、それを目当てに訪れる人も多い。さらに最近では、各種ファンミーティングやワークショップ、バイク試乗会、そしてマルシェにフリーマーケットなども開催され、週末はライダーだけでなく、多くの人たちが訪れるスポットにもなっている。
往復130km弱のツーリングに行ってみた感想は?
今回、なんとか往復130km弱のショートツーリングを実現できたものの、やはり現実的にツーリングをおこなう際には準備と周囲の協力が必須となってくることを実感した。
CE 02で走ることに関しては、チャレンジライドやエコライドを楽しめる人はまだしも、燃費を気にすることなく普通に走りたい、また走りに関してストレスを感じたくないという人には、このモデルでのロングライドやツーリングはオススメできない。
某TV番組のように飛び込みで充電を快く受けてくれる場所は少なく、それはディーラーであっても同様。今後、街中に充電スポットが多数設置されることになれば、充電問題も解消されてくるかもしれないが、現状では充電問題がクリアできてはじめてロングライドやツーリングが成立する。もちろんこのモデルは本来、メーカーがうたっているように街中の移動を快適に楽しむための都市型電動バイクだ。自宅で充電をおこない、余裕を持たせた航続距離範囲内での使用に関しては、たしかに走りを自由自在に楽しめ、音も静かで実に快適でストレスフリー。今回はあくまでツーリングにも使えるのか!? という検証的企画であり、この結果をどう捉えるかはこのバイクを手にするオーナーの考え方次第となってくるだろう。
SPECIFICATIONS
ビー・エム・ダブリュー シーイー・ゼロツー|BMW CE 02
サイズ:全長1,970×全高1,140×全幅876mm
シート高:750mm
車両重量:132kg
最高出力:11kW/5,000rpm
最大トルク:55Nm/1,000rpm
定格出力:6kW/5,500rpm
最高速度:95km/h
航続距離:96km(WMTCに準拠)
クイックチャージャーを使用した充電時間:180分(80%充電)、290分(100%充電)
充電技術:単相家庭用コンセント
標準充電時間:230分(80%充電)、330分(100%充電)
カラー:コズミック・ブラック2
価格:125万円〜
INFORMATION
宮ケ瀬ヴィレッジ|MIYAGASE VILLAGE
住所:神奈川県愛川町半原2574
営業時間:平日11:00~22:00/土日祝8:00~22:00
定休日:火曜日
https://miyagase-village.com/