あなたはライドシェア導入に賛成・反対? 4割以上の人がサービス利用で最も重要視している要素とは
一般ドライバーが自家用車を使い、有料で人を運ぶ「ライドシェア」について、10月に岸田総理大臣がサービス解禁に向けて課題に取り組む所信を表明し、関心が高まっている。株式会社イードが運営するカーライゼーションでは、ライドシェアに関するアンケート調査を一般人に対して実施したので、その結果を紹介する。
ライドシェアサービス解禁案の背景とは?
日本語で「相乗り」を意味する「ライドシェア(サービス)」は、一般ドライバーが自家用車を使い、有料で人を運ぶサービスのことを指し、海外では普及している国も多い。日本の法律では自家用車に有償で人を乗せることは「白タク行為」とみなされ、特定の場合を除き禁止されているが、10月23日に岸田総理大臣がライドシェア解禁に向けて課題に取り組む所信を表明し、関心が高まっている。
ライドシェア解禁案の背景には、高齢化とともに訪れている全国規模でのバス・タクシーなどの地域交通の担い手不足や、インバウンド拡大の対策として、一般ドライバーの力を借りて運送サービス業界の負担を分散する目的がある。また、一般ドライバーにとっても、クルマの非稼働時間や空き時間を活用することで、収入源の多様化も期待できるという。しかし、逆にタクシー業界が窮地に追いやられる可能性や、一般人が行うサービスに安心・安全をどこまで担保できるか、といった意見に加え、そもそもライドシェア導入の必要性に疑問を投げかける声もある。
このように、絶妙なバランス調整を問われる「日本版ライドシェア」に対し、皆はどのような考えを持っているのだろうか? 今回は、株式会社イードが運営するカーライゼーションが、男女193人に対して「ライドシェアサービス」に関するアンケート調査結果を発表しているので、ライドシェア導入に対する意見を紹介する。
調査期間:2023年10月17~31日
調査方法:インターネット
調査機関:クラウドワークス
調査対象:男性101人、女性92人の計193人
調査対象の年齢内訳:29歳以下が15%、30~39歳が34.2%、40~49歳が37.3%、50~59歳が11.4%、60歳以上が2.1%で、30~40代が全体の約7割を占めている。
調査対象の住居環境内訳:持ち家(一戸建て)が42.0%、持ち家(集合住宅)が17.1%、賃貸(一戸建て)が3.6%、賃貸(集合住宅)が33.2%、社宅・寮・シェアハウスが4.1%。
ライドシェア賛成派と反対派、それぞれの主張
質問1:ライドシェアの導入に賛成、それとも反対?
まずこの質問に対し、66.3%の人が「賛成」、33.7%の人が「反対」と回答している。
質問2:賛成と反対、それぞれの理由は?
次に、賛成と反対それぞれの理由について質問し、以下のような回答が出ている。
■賛成意見
・利用者の選択肢が増え、市場が競争原理で活性化される……23.3%
・地方でのタクシードライバー不足解消に期待……19.7%
・クルマの購入・維持コスト削減に期待……11.4%
・社会全体のクルマの台数が減少すれば、環境負荷や渋滞緩和に効果がある……5.7%
・複数で移動する楽しさがありそう……3.6%
・安全性が担保される法律ができればよい制度だと思う……2.6%
■反対意見
・ドライバーの運転技術や接客能力が担保されていない……16.6%
・防犯上、他人と同じクルマに乗ることに不安がある……9.3%
・事故発生時のトラブルが心配……4.7%
・既存業界の賃金低下を招くことになる……2.1%
・他人が自分のクルマを使用するのに抵抗がある……1.0%
このような結果となっている。市場全体への影響や、セキュリティ面の懸念、生活コストの削減といった、さまざまな視点での意見が出ている。賛成派はさまざまな課題解消への期待の声が、反対派はセキュリティ面の不安を法の整備でクリアできれば、自身が利用するかはさておき、導入そのものにはそこまで反対していないような印象を受ける。
質問3:ライドシェアを利用する場合、何を重要視する?
ライドシェアを利用する際、どんなことを重要視するか、という質問では、「安全性」が最多の43.5%、次いで「料金」が18.7%、「運転技術」が8.8%、「利用条件でマッチングするか」が7.3%と続いている。プライバシー保護やトラブル時の補償なども安全性に含まれると考えると、やはりライドシェアの普及には安全性をどこまで担保できるかが鍵となりそうだ。
質問4:ライドシェアはどのような目的で使用したい?
最後に、もしライドシェアを利用するなら、どのような目的で使用したいか、という質問をしたところ、「観光・旅行」が最多の20.2%、次いで「料金節約」が14.0%、「他に交通手段がない場合」が11.9%、「日常で公共交通機関の代わりに」が10.4%と続いている。たしかに現地の人が案内してくれるのであれば、観光・旅行目的は思いがけない情報を得ることができて面白いかもしれない。
日本版ライドシェアの導入は、道路交通法第86条(第二種免許)および道路運送法施行規則第51条の15第3号(旅客から収受する対価の基準)に例外規定を設けることが条件。これをクリアすれば、タクシー事業者の運行管理のもと、第一種運転免許保有者が自家用車で有償の旅客運送が可能になるという。私たちの身近な存在になるかもしれないライドシェアサービスは、果たして導入される日は近いのだろうか。
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