【座談会】若者だってクルマ好き! 僕たちのリアル・カーライフ:かわいい篇──YOUNG CAR NUTS <Vol.02>
クルマ好きな若者なんてもういない? 免許がなくても問題ない? その答えが知りたくて、愛車と暮らす20代の男女3人に集まっていただき座談会を開催。自分たちのリアルなカーライフについて語ってもらった。第2回は「かわいいクルマ」について(全4回)。
かわいいクルマは正義
──テーマは「若者のクルマ遊び」です。みなさん、どんな感じで日常、クルマと遊んでますか?
アキラ 僕は映像でクルマを中心にしていて、西坂さんは雑誌の編集でクルマを扱っている。大学生でクルマ好きって、まわりにいます?
坂本 いないですね。特に女の子はいなくて、男の子で、86とか好きなひとはわりといるんですよ。高校のときの友だちで。『頭文字D』の86じゃなくて。
アキラ ミニ・コンバーチブルの色は?
坂本 青とか赤はやっぱり高いんですよ。それで、茶色っぽいのにしました。
アキラ オープンとクローズ、どっちにして走ることが多いですか?
坂本 普通に閉めて走ることが多いです。初めはオープンに憧れて、でも実際にやってみると暑いし、風で髪の毛がくずれるし。なので、たまに。
アキラ オープンカーは憧れますね。
西坂 僕はロードスターを持っている時に結局開けなかった。ハードトップついているのを買っちゃって。オープン、いいっすよね。
アキラ じゃあ大学のなかでクルマ好きは?
坂本 ぜんぜんいないですね。ホントに。
西坂 クルマに興味ないけど、みんなでドライブに行きたいというときにクルマを出したりするんですか?
坂本 そうですね。だいたい私が出して、みんなから「開けて」といわれて、私の友だちはみんなミニに乗りたいってなって。
アキラ ミニはやっぱりクルマ知らないひとでも、かわいいっていうリアクションはあります?
坂本 そうですね。みんな知らないけど、絶対かわいい! ってなります。
西坂 ジュリアもそうですね。これ、アルファ・ロメオ・ジュリアでしょ、っていうひとはいないけど、かわいいということからコミュニケーションが始まったりする。子どもから人気ですよ。子どもってすごくピュアなところで反応する。
アキラ いや、(NSXとセルシオは)おじさんにしか声かけられないっす。懐かしいなぁ。きれいだね、って。かわいい、とかないです。
家族の影響
──旅行に出かけたりしましたか?
坂本 いや、別に。遠出は普通に日光ぐらいです。3時間半ぐらいですね。いまんとこ、調子が悪くなったこともないですけど、オイルの減りが早くて。ぜんぜん詳しくないから原因はわからない。走行距離は9万kmちょいです。
西坂 2代目のミニは次第にオイル消費量が増える、と他のオーナーさん方からも聞いたことがあります。そういうもんなんですかね。
坂本 頻繁にオイルのチェックはしないと。
アキラ 自分で入れているんですか?
坂本 いや、お願いしてるんですけど。でも、見るぐらいなら母ができるんで、減っているから入れに行こうって、入れに行く感じです。
──お母さんはおいくつですか?
坂本 いま58歳で、クルマが好きで、社会人の時にマツダRX-7に乗っていたんですよ。
──ヤンキーだった?
坂本 よくいわれてます。でも、全然そんなことはないです。それで、本当は手放したくなかったようですが、ハズレ車だったみたいで。(2代目FC型RX-7の写真を見せられて)これです。本当はその後、買いたかったみたいですけど、私が生まれてからはアルファードとかファミリー車にした。いまもスポーツカーに乗りたいといってます。兄弟は姉が一人いるんですが、お姉ちゃんはルパンが好きでフィアット500が好きみたい。持ってはいないんですけど、たまに走っているじゃないですか。それを見て、あ、ってなりますね。
アキラ 家族でクルマ好き?
坂本 そう。だから小さい頃から『頭文字D』を見せられて。私が3歳の時に両親は離婚しているので、父はいないんですが、でも、私の記憶ではクルマがすごく好きだった。たぶん、親ふたりの血を受け継いでいる気がします。
アキラ お父さん、お母さん、僕の両親は両方ともまったくクルマに興味ないです。母の弟、おじさんが好きで、初めて乗ったスポーツカーがおじさんのホンダの黒のプレリュード(4代目)で。おばあちゃんとおじさんが一緒に住んでいたから、おばあちゃんちに行くときはそれで送り迎えしてもらっていて、それでホンダ、いいな、みたいな気持ちが芽生えたのかもしれない。そのおじさんのグランツーリスモをやらせてもらって好きになって、親は興味なかったんですけど、5歳の時にツインリンクもてぎに連れて行ってもらって、ホンダミュージアムで初めてNSXを見ました。おじさん、いまはフィットRSに乗っている。僕のNSXはいまはこんな感じです(とほかのひとにスマホの写真を見せる)。ホイール替えて、カーベイ(KW)の車高調を入れて。
西坂 いいですねー。
──カーベイってなに?
アキラ ドイツのサスペンション・メーカーです。これが二十歳の時に買ったNSX。色々いじってあったんですけど、頑張って純正に戻した。ホイールも。
──よく純正ホイールがあったね。
アキラ ホイールは、買った時についていたホイールが欲しいから交換してください、という方が現れて交換したんです。で、いま、またホイールを換えて、マフラーをストレートにして。
西坂 そうするといい音がするんですか?
アキラ めっちゃめちゃうるさいんですよ。
西坂 それはやばいね。
アキラ オートマなんで、なんか触媒ストレートのアルファードみたいな音がするんですよ。V6なんで。
西坂 僕のはリアだけストレートで、いい音だけれど結構けたたましい(笑)。
アキラ それは古いクルマだから、いいじゃないですか。
クルマの歴史とデザイン
──なんで古いクルマが好きなんですか?
アキラ デザインがタイムレスっていうのがあるのかもしれないですけど、僕はNSXもセルシオも生き方みたいなのが好きで。生まれ方と、クルマ自体がどのように生きていったか、に影響されたくて乗ってるみたいな感じです。NSXはスポーツカーという世界で、当時鉄とかでつくっていたフェラーリに対して、日本の1回も(スーパーカーを)出していないメーカーがフルアルミで出して、それ以降のスーパーカーが全部アルミになったり、NSXは乗り心地を追求していて、その前、フェラーリとかランボルギーニってめちゃめちゃ乗り心地が悪かったんですが、NSX以降はけっこういいんですよ。マクラーレンのF1とかもNSXに影響されて出てきたし、という意味で、僕自身がそういう生き方をしたくて、乗っているとインスパイアされる。セルシオもラグジュアリーの世界では同じなんですよ。すごい影響を世のなかに与えたクルマなんで、なんかいいなぁ、って。自分も世のなかに影響を与えたいんで。
西坂 僕はNSXもセルシオも生まれた当時のことはぜんぜん知らないですが、あの当時、日本の自動車業界が最も盛り上がっていた時期じゃないですか。マツダ・ミアータが出てセルシオが出た89年とか、あの頃ホンダF1も強かったし、そういう時代感を若い子たちはネオクラシックって国産、外車を問わず好きですけど、たぶん自分が知らない時代だったりカルチャーだったり、空気をはらんでいるものに接することで、自分たちが生まれた時代以前の未知な感じ、ただの懐古趣味じゃなくて、カセットでもレコードでもそうだと思うんですが、すごく新しいものだと受け止めている。
ジュリアはその点で行くと50〜60年前のクルマってデザインが黄金期だった、と僕は思っていて、僕がいまでもジュリアに乗り続けられているのは、あれがひとつのお手本的なデザイン、ジウジアーロのなかでもバランスのよいデザインで、とにかく飽きがこない。という点と、僕はイタリアのクルマの感じが好きなんですよね。走ることに一所懸命で、カロッツェリアがたくさんあって、ウェーバーもイエーガーも町工場みたいなものだったと思うんですけど、そういう小さなメーカーが力を合わせてつくって、社長がみんなレースをやっていて、そういう時代のクルマが好きなんです。ジャガーEタイプとかほしいクルマはありますが、リアルに考えるとジュリアはいい選択肢だと思っています。あと映画も好きなんで、あの当時の映画に、チンク(フィアット500)もそうだけど、脇役的な感じも、すごくかわいらしいんですよね。ファッションも仕事柄好きなんで、あのクルマがすごく自分に合っている。と思って続いているんですけどね。
アキラ その時代に行けないけど、乗ることで、その仲間、そこに入れる、みたいな感覚があるんです。
西坂 懐かしいね、昔、これに乗っていたよ、とか、俺、欲しかったんだよ、って声をかけられるのは嬉しいんだけど、僕らの感覚としてはちょっと違うんだね。たぶん。それで買っているわけじゃないから。僕はクルマって、先輩みたいに感じるんです。自分が知らなかった景色とか時代を生きているんで、そういう意味ではリスペクトを感じる。クルマに乗っていて。
アキラ すごくわかります。
西坂 もちろん、すごいクルマは色々ある。ミニだって、イシゴニスのオリジナルのミニがあるから、いまがある。
アキラ 復活したというか、BMWが入ってきてできたクルマ。歴史的にも初代よりBMWミニはいいなぁと思いますね。時代背景とか。
西坂 坂本さんは無意識かもしれないけど、真ん中にメーターがあるとかユニオンジャックがあからさまについているのとかもミニの歴史があるからだから。カルチャーとしてミニはすごい。それはいまのミニにもずっと続いていると思う。
坂本 ちょっとなんのことか……、深すぎて横にいるのが申し訳ないくらいです。
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