クルマのガラスに貼るフィルムが透明な「服」になった!? どんな機能がある?【ジャパンモビリティショー2023】
住友金属鉱山はジャパンモビリティショー2023で、自社で開発した近赤外線吸収素材を用いて、太陽光で暖まる透明なダウンジャケットを展示した。この素材は、身近なところではクルマのガラスに貼るフィルムにも使用されるという。
近赤外線を吸収するダウンジャケット?
資源開発、製錬、材料の3つの事業と連携し、未来の素材を提供する企業「住友金属鉱山」が、ジャパンモビリティショー2023にて、羽毛を使用しなくても暖まる透明なダウンジャケット「SOLAMENT DOWN-LESS DOWN JACKET」を展示した。
このダウンジャケットに使用されている素材は「SOLAMENT(ソラメント)」と言う。ソラメントは太陽光などに含まれる近赤外線を吸収する特性があり、クルマのガラスに貼ることで、強い陽射しでも車内温度の上昇を抑える効果を持っている。
このことから、その特性を活かして、クルマのガラスフィルムとして車内温度の上昇を抑えたり、スポーツスタジアムの天井やビニールハウスに使用して屋内を涼しくしたり、建材や農業以外にも、赤外線を利用したスイムウェアの盗撮防止用途としても活用されている。
SOLAMENTの用途はいろいろある?
■羽毛のダウンと発熱比較
このダウンジャケットがどれほど暖かいのかというと、羽毛が入った普通のダウンジャケットと、ソラメントを用いたダウンジャケットを同じ室温で10分間、疑似太陽光を当て続けたところ、前者が23.7→29.8℃(+6.1℃)に対し、後者が23.7→30.0℃(+6.3℃)と、ソラメントを使ったダウンジャケットの方が、羽毛ダウンジャケットと同等以上の温度変化が見られたそうだ。
■発熱と遮熱
ソラメントは、太陽光などの近赤外線が当たらないと発熱しないデメリットもあるが、発熱と遮熱の使い分けによる「温度調整」がこの技術の面白いところだ。
例えば肌に触れる面にソラメントが塗布されていると、太陽光で肌が暖かくなり、逆に外側にソラメントが塗布されていると、外側が発熱するため、内側は遮熱され、クルマやビニールハウスのように、内側が涼しくなる。
光を熱に変える特性を持つソラメントは今後、素材の可能性を訴求しつつ、さらに多くの使い道を模索していくという。
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