「ジブリパーク」への道のりをより快適に。愛知県がマルチモーダルサービスを実証実験
愛知県は、同県長久手市に2022年秋開業を目指している「ジブリパーク」の周辺地域で、マルチモーダルサービスの導入実証実験を行うと発表した。実現すれば、名古屋都心部等からのアクセスがより快適になりそうだ。
ジブリパークへの移動をもっと快適に
愛知県は、2022年秋、長久手市の愛・地球博記念公園内に「ジブリパーク」をオープンする構想を進めている。「ジブリパーク」は、ジブリ作品の世界観を5つのエリアで楽しめるテーマパークになる予定だ。
この「ジブリパーク」が建設されるのが、2005年に愛・地球博が開催された「愛・地球博記念公園」。名古屋駅から電車で約40分、東名高速道路・名古屋ICから車で約20分の場所にある。
名古屋近郊のため、行きづらいというほど遠くはないが、都心部のような便利な場所でもない。そこで同県では、この「ジブリパーク」周辺地域を対象に、マルチモーダルサービスの導入実証実験を行う予定で、業務委託事業者の公募を開始している。
マルチモーダルサービスというのは、移動の際に目的地までのルートや移動手段を検索し、支払いや予約などを一括して行えるようにするサービスのこと。このサービスが実現すると、現状の公共交通機関での移動が、より簡単に、快適に行えるようになるといわれている。最近よく聞くようになった、MaaS(マース:Mobility As A Service)も同じ意味と考えていい。
マルチモーダルサービスの導入対象地域は、名古屋東部丘陵地域と呼ばれる、名古屋市名東区、瀬戸市、豊田市、日進市、長久手市。愛・地球博の際に、名古屋方面からのアクセスを改善するために建設されたリニアモーターカー、リニモの沿線が中心だ。この沿線を中心に、以下にあげるようなさまざまな公共交通機関や、自動車、自転車なども連携し、名古屋駅、金山駅、岡崎駅、高蔵寺駅、中部国際空港など、県内の主要な交通拠点からの移動を容易にするという。また、利用者は、観光客はもちろんのこと、地域の住民、通勤・通学者まで幅広く想定している。
【マルチモーダルサービス導入実証実験で連携する各種交通機関】
・県内すべての鉄軌道路線
・乗合バス事業者による県内の自主運行路線(高速バスを除く)
・市町村が乗合バス事業者に運行を委託している以下の路線
・「瀬戸市コミュニティバス」(瀬戸市)
・「とよたおいでんバス」(豊田市)
・「くるりんばす(日進市巡回バス)」(日進市)
・「N-バス」(長久手市)
・タクシー
・自転車(シェアサイクル及びレンタサイクル)
・自動車(自家用車、レンタカー及びカーシェア)
さらに、超小型モビリティなどの新たな移動手段の導入も検討中という。
これらの移動手段を組み合わせて、最も適切な移動手段やルートを教えてくれるのがマルチモーダルサービスというわけだ。また、対象地域における渋滞回避のための情報提供や、商業施設や観光施設などの情報提供、予約・支払い、地域活性化のためのクーポン発券などとの連携も検討されている。
今回の実証実験が成功すれば、愛・地球博記念公園内への移動がより快適になるだけでなく、移動そのものも楽しむことができるようになりそうだ。「ジブリパーク」とともに、その実現を期待したいサービスである。