首都高に巨大なイカ!? 高架橋の「イカの耳」はどこにつながっている?
首都高の高架橋には「イカの耳」といわれるところがある。果たして、どこにつながっているのだろうか? 調べてみると、過去の高速道路網計画によって生み出されたものであることがわかった。さっそく解説したい。
首都高に存在するイカの正体とは?
首都高速5号池袋線の西神田料金所を過ぎて、飯田橋方面へ向かう途中。トヨタ東京本社を過ぎたあたりで、突如、高架橋の断面が視界に飛び込んでくる。上り下り車線ともに、本線から分岐した車線が突然途切れてしまっているのだ。はじめて首都高速5号池袋線の飯田橋付近を走行した筆者は、思わず二度見してしまった。
新しい道路の工事中かと思って調べてみると、そうではなく、首都高速道路公認?の「イカの耳」といわれるものであることがわかった。
上空から見てみると確かに巨大なイカ
しかし、なんで高速道路でイカなんだ⁉ その理由は上空から見てみると納得できる。
首都高速5号池袋線の飯田橋料金所付近に存在する、この「イカの耳」を上空から見てみる前に、まずイカ(スルメイカ)の構造について説明しておこう。イカは大きく胴体、頭、腕の3つに分けられるが、胴体の先端にある三角形のところを「耳」と呼ぶ。エンペラとも呼ばれ、言わずもがな焼いたり焙ったりすると「うまい」ところだ。その下は胴体と頭でできており、そこから下は10本の足(正確には腕8本と触腕2本)が生えている。
首都高速道路ではこの「イカの耳」について、過去に路線を新設・延伸する構想があり、別の路線と接続するために準備された部分であると説明している。確かに、本線から分岐(イカの耳)して複数の路線に接続するさまは「イカの足」ともいえるだろう。
しかし、高速道路網計画は昭和、平成、令和と時代を経て、予定されていたものの、用地取得、環境面、予算面などから実現に至らず、事実上、事業凍結している状況だ。イカの耳があるからといって、そこに道路網が整備されるとは限らない。
実際、首都高速5号池袋線の飯田橋付近のイカの耳は、首都高速5号池袋線と幻の路線ともいわれる内環状線(中央環状線の外側のルートを計画していた)を分岐・合流させる計画があったが、半世紀以上過ぎても内環状線の計画そのものに進展がみられておらず、飯田橋付近のイカの耳だけが、もはや遺構のように残されている。
道路網計画の進展を見込めない路線にある「イカの耳」は、緑化されているところもあるという。この飯田橋付近のイカの耳も、いずれは緑で覆われるのかもしれない。
ちなみにこの「イカの耳」は、首都高速道路だけでなく全国各地の高速道路にみられる。いずれも、高速道路網計画が確かに立てられていたことの名残といえる。見つけたときには、幻の道路計画のロマンを感じてもらいたい。