トラブルを事前に教えてくれる車の警告灯。新種も含めてその意味を解説
ドライブシーズン到来で、今年は多くの人が出かけそうだが、その分車両トラブルが起こることも増えそうだ。トラブルの事前防止には、運転席のメーターパネルに点灯される警告灯や表示灯の意味を知っていることも大切だ。そこで、緊急性が高い警告灯をはじめ、最近加わった「カメマーク」を紹介する。
メーターパネルの警告灯の意味、わかりますか?
クルマの状態を教えてくれるメーターパネルの警告灯や表示灯。そのデザインは、かつてはどのクルマでも国際規格の規定でデザインや意味はほぼ共通のものだった。しかし近年では、法規以外の新しいマークもいくつか誕生している。
そこで、緊急性が高い警告灯の意味を再確認し、加えてここ数年で新しく登場した警告灯も紹介したい。
最も危険度が高い警告灯
まずは、最も危険度が高い警告灯の種類を確認。警告灯は信号機のように、青(緑)・黄・赤に別れており、緑は正常に作動中、黄は注意、赤は走行不能に陥る以上が発生している可能性を表す。以下の(1)~(6)のマークが点灯している場合は、通常運転に支障が出るような異常が起きているサインなので、ただちに停車する必要がある。
(1)ブレーキ警告灯
サイドブレーキを解除しても点灯している場合はブレーキ油圧、ブレーキブースター、ABSに異常がある可能性が高い。すぐにディーラーや整備工場に連絡しよう。ブレーキ警告灯が黄色表示の場合は、電子制御ブレーキシステムに異常が発生しているサイン。
(2)充電警告灯(バッテリーランプ、バッテリー警告灯)
バッテリーや充電系統(オルタネーター、ベルトなど)に異常があると点灯する。バッテリーが無くなるとエンジンを始動できなくなるため、非常に重要だ。
(3)ハイブリッドシステム警告灯
ハイブリッド車やEVのシステム自体の異常を検知すると点灯。無視して走行を続けると、突然運転操作ができなくなる可能性もある。すぐに停車して救援を要請しよう。
(4)水温警告灯
赤の水温警告灯が点灯した場合はサーモスタットの故障、クーラント不足、ラジエーターやラジエーターファンの故障などによるオーバーヒートの危険性がある。エンジン冷却水の温度が上がり過ぎた場合に赤く点灯する。また、車種によっては青く点灯する低水温警告灯も搭載されている。青の場合はエンジンが温まっていない状態なので、優しい走行を続ければ次第に温度が上がり、警告灯も消灯するだろう。
(5)油圧警告灯(エンジンオイルランプ)
エンジンオイルの油量不足や油圧低下で点灯・点滅する。エンジンが焼きつく可能性があるため、すぐに点検を依頼しよう。
(6)マスターウォーニング
クルマに緊急性の高い異常が発生していることを知らせる警告灯で、各システムで異常が発生すると点灯・点滅。同時にブザーが鳴る車種もある。走行中に点灯した場合は、速やかにクルマを停車して救援を要請しよう。
先進的なシステムに関する警告灯
先進運転支援システムに関する警告灯は、メーカーによって警告灯のデザインが異なる場合もある。
(7)EPS(電動パワーステアリング)システム警告灯
電動パワーステアリングに異常がある場合に点灯する。運転操作への影響としてハンドルが重くなったり、思うように運転できなくなる場合があるので、放置するのは危険。点灯時は速やかに点検・修理を受けよう。
(8)EPS(電動パワーステアリング)警告灯
電動パワーステアリングに異常があると点灯する。ハンドルに長時間、力をかけた状態が続いたり、停車中にハンドル操作を繰り返すと、電動パワーステアリングシステムが過熱を防ぐためにハンドルが重くなる。システムの温度が下がれば消灯する。それでも点灯している場合は点検・修理を推奨。
(9)AT警告灯
オートマチックトランスミッション(AT)にトラブルや故障が発生すると点灯する。赤色と黄色があり、赤色の場合は速やかにクルマを停め、停車後にパーキングブレーキをかけて点検・修理を依頼しよう。黄色の場合はATフルードの高温もしくは減少や、シフトポジションがすぐに切り替わらない、オートP機能が作動しないなどの症状が発生している。
(10)ブレーキオーバーライドシステム警告灯、ドライブスタートコントロール警告灯
アクセルペダルの誤操作を知らせてくれる警告灯。アクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏むとブレーキオーバーライドシステムが検知し点灯する。アクセルペダルを踏んだ状態でシフト操作を行うとドライブスタートコントロールが検知し、警告ブザーとともに点灯する。
ブレーキオーバーライドシステムの対処は、アクセルペダルを離し、ブレーキペダルを踏むと消灯する。ドライブスタートコントロールの対処は、アクセルペダルを離すと消灯する。
(11)電動パーキングブレーキ警告灯
電気モーターでパーキングブレーキをかけるシステムが故障していると点灯。パーキングブレーキがかからない、弱いなどの症状が出る。駐車して車から離れるときは、輪留めなどの処置が必要。パーキングブレーキを解除しても点灯しているなら点検・修理を受けよう。
(12)電子制御ブレーキ警告灯
(1)のブレーキ警告灯とは色が異なり、トヨタや日産車などで見られる警告灯。停車時に赤色で点灯している場合は、パーキングブレーキをかけていることを意味するが、パーキングブレーキを解除してもオレンジ色に点灯する場合は、電子制御ブレーキシステムに異常がある。
パーキングブレーキを解除しても赤で点灯する場合は、ブレーキフルード不足やブレーキ系統の異常などといった危険な故障が発生しているので、速やかに停車しよう。停車の際にはブレーキの利きが弱くなっていることもあるので要注意。
(13)出力制限表示灯
このマークは、EVなど電動系のクルマで見られる「出力制限表示灯」、「パワーダウン警告灯」。通称「カメマーク」とも呼ばれるものだ。
動力用バッテリーの残量が減っていたり、システムの温度が低すぎる、高すぎるなどの際に点灯する。この警告灯が点灯中は、アクセルペダルを踏んでも速度を上げることができなくなる。充電するなどして、メインバッテリーの状態が正常に戻れば消灯し、車速も上げられるようになる。消灯しない場合は故障のおそれがあるので、整備工場などで点検・修理を受けよう。