また、、、トヨタが一部の車種で電子キーを1個に。これは寂しい。
クルマ業界における半導体不足の影響は、車体価格の高騰化、納車時期の遅延に留まらず、納車時のスマートキー付属個数の減少にまで及んでいる。今回は、トヨタが発表している2月生産分のスマートキー付属の個数変更対象車と、スマートキーの管理について紹介する。
電子キーが1個になる対象車は?
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、国内外の工場の稼働が……、部品供給の不足が……、そのような前置きのネガディブな情報はいつまで続くのだろうか。トヨタでは通常、納車時にはスマートキー(電子キー+メカニカルキー)を2個渡しているが、2022年の10月下旬から一部車種での納車時に、スマートキーを2個ではなく、電子キーを1個減らした状態で渡すことを発表している。理由はやはり、半導体の供給不足によるものである。
トヨタではその後も電子キーを減らす対象車種を発表しているが、2023年1月27日にも情報の更新があったので、確認してみよう。
トヨタブランドからは、2023年2月生産分として、クラウン、プリウス、bZ4X、RAV4(PHEV)、ハリアー、ノア、ヴォクシー、ランドクルーザーの8車種が対象となっている。
次にレクサスブランドでは、LX、RX、NXの3車種が対象となっている。なお、納車時に渡されなかった電子キーについては、トヨタブランドもレクサスブランドも、準備が整い次第、順次渡されるとのことなので、最終的にはスマートキーは2個揃うことになっている。
しかし、メカニカルキーも含めれば最低でも3個の鍵があるとはいえ、何となく心許なく感じるし、電子キーの1個でも減らさないとさらに納車が遅れると思うと、改めて半導体不足の深刻さを思い知らされた気持ちになる。
スマートキーの保管は大丈夫?
さて、あなたの手元に1個、あるいは2個のスマートキーがあるとして、適切に保管できているだろうか? もし玄関にそのまま鍵を置いている人がいるなら、これから紹介するデータを見て、すぐに対策をして欲しい。
これは、埼玉県警察本部が発表した2021年の埼玉県内における、「自動車盗難で狙われやすい車名ランキング」だ。トップ5はトヨタが占めており、ランドクルーザーが111件、レクサスが65件、ハイエースが40件、アルファードが33件、プリウスが28件となっている。8位のクラウンも含めると、先ほど紹介したスマートキー付属数変更対象車の多くが狙われているということになる。
また、自動車盗難の被害場所を確認してみると、駐車場が38.5%、戸建て・集合住宅敷地内が37.9%、会社・事務所が8.7%、その他が14.8%という結果が出ている。さらに、これらの盗難では「施錠された車両」や「エンジンキーが適切に保存されていた車両」であるにも関わらず、盗難被害に遭ったという特徴があり、埼玉県警察本部が警鐘を鳴らしている。
スマートキーを狙う「リレーアタック」
この新型車両を施錠していたのに盗まれたという手口については、車の配線に専用端末を直接接続し、システムに侵入して解錠する「CANインベーダー」という手口や、自動車のスマートキーから常に出ている微弱な電波を、特殊な機器を使って中継して解錠する「リレーアタック」という手口などが挙げられる。
後者のリレーアタックでは、スマートキーの電波は微弱とはいえ、壁をすり抜ける可能性があるため、電波をキャッチするポイントとして特に玄関が狙われやすいそうだ。対策として、外壁から数メートル離れた位置に鍵を保管しておくか、玄関にスマートキーを置くなら電波を遮断するキーケースなどを使用することを推奨する。電波遮断に有効なグッズについては過去で解説しているので、よろしければ参考にして欲しい。
身近なグッズでリレーアタック対策:https://kurukura.jp/car-life/190515-20-2.html
他にもタイヤロックやハンドルロック、警報装置やGPS機能付の位置探査装置を使用することは、同時にCANインベーダーなどの防犯対策にもなるので、人気車種に乗っている人は検討したいところだ。
やはり2個欲しいスマートキー
スマートキーが1個しかない場合、複製を作りたくなるかも知れないが、イモビライザー機能(電子チップでキーのIDと車のIDを照合)を搭載しているスマートキーの場合、10万円前後の費用が発生する可能性もある。ましてや、後からもう1個渡されると分かっていると、なかなか思い切れない人もいるだろう。個人的には3個になると今度は多過ぎるように思える。リレーアタック対策としては1個の方が安全ではあるが、そう割り切れるものでもなさそうだ。