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クルマ2023.02.03

乗用車向けエアレスタイヤが一般市場投入へ! 日本にも早く来て!

フランスのタイヤメーカー「ミシュラン」は、国際輸送専門の「DHL Express」と提携して、シンガポールで新世代のタイヤを装着したDHL車両の運行を開始。いよいよ一般市場に投入されたこのエアレスタイヤは、どのような活躍が期待できるのか、注目してみよう。

文=原田磨由子
資料=ミシュランタイヤ

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革新的なタイヤが予定より早く実用化!

乗用車やライトバン向けの「ミシュラン アプティス・プロトタイプ」。

 ミシュランは20196月に「乗用車向けエアレスタイヤを2024年に一般市場に投入する」と発表していた。そして今回、DHL Express(以下、DHL)との提携により、シンガポールで予定より1年早く実用化の第一歩を踏み出すことになった。

 空気圧の調整を必要としないエアレスタイヤは、ブリヂストンの「エアフリーコンセプト」や、トーヨータイヤの「ノアイア」など、国内外のタイヤメーカーが開発を進めているが、日本では法の整備が追い付いておらず、公道を走行できるモデルは販売されていないのが現状だ。ちなみに公道走行用でなければ、各社からゴルフカートや農機・重機向けとして既にエアレスタイヤは販売されている。

 つまり、シンガポールでエアレスタイヤを装着して公道を走行することは、大きな一歩を踏み出せたということだ。この車両はラストワンマイルの配送用として使用され、2023年末までに約50台のDHL車両がこのタイヤを装着する予定となっている。この一年でエアレスタイヤの有用性を示すデータを一気に蓄積させるつもりだろう。

アプティス・プロトタイプを装着してシンガポールを運行するDHL車両。写真=ミシュラン

エアレスタイヤが注目される理由

 多くのタイヤメーカーが2000年過ぎからコンセプトとして開発を進めるエアレスタイヤが、なぜここまで注目を集めているのか。ミシュランの「アプティス・プロトタイプ」を例に確認してみよう。

2019年に公開した新世代タイヤの紹介動画。動画=Michelin

 “Unique Puncture-proof Tire System”の頭字語を取った“UPTIS”は、乗用車・ライトバン用のエアレスタイヤだ。樹脂でできたスポークや、トレッド、ホイール部にはハイテク材料が用いられ、構造・素材・製造など、多くの要素が既存の空気入れタイヤと異なっている。タイヤがパンクしない安心感、車両のメンテナンス負荷軽減、車両の稼働率向上、タイヤ製造のための原材料削減が、アプティス・プロトタイプの特徴として挙げられる。

 また、ミシュランが目指す姿として、すべて再利用できる生体材料を使用し、3Dプリントを活用して持続可能なものづくりを実現させることも目標としている。しかし、これは他社が開発を進めるエアレスタイヤの機能や目標においても、概ね同じことが言える。

 その理由として、世界中で毎年約2億本のタイヤがパンクや損傷などで、寿命よりも早い段階で廃棄されているという問題があり、どのタイヤメーカーもその命題に取り組まなければならない背景があるからだ。

ミシュランは経営・開発戦略として2017年にVISIONコンセプトを発表している。そのコンセプトを支える要素として、エアレス、コネクテッド、3Dプリンティング活用、100%の持続可能原料の使用という4つ柱を掲げている。

 そう考えると、チューブレスで中身が詰まったタイプのタイヤ(ここではノーパンクタイヤと呼ぶ)もメンテナンスフリーのタイヤではあるが、重量やコスト、環境負荷の面で時代とマッチしていないのだろう。今でもノーパンクタイヤは様々なシーンで使われてはいるが、100年以上も活躍している空気入りタイヤの革新に至ったとは思えない。

中身がぎっしりと詰まったソリッドタイプのノーパンクタイヤ。(c)moonrise – stock.adobe.com

あらゆるモビリティに革新を!

 エアレスタイヤはメンテナンスフリーで環境負荷も軽減するという利点は理解した。しかし、我々が気になるのは、やはり実用性と一般市場への投入時期だ。実用性については、空気という優秀な緩衝材に勝てるのか、樹脂のスポークの劣化はどうか、ブレーキの利きはどうか、コストはどうなるのか、他にも気になる事がたくさんある。一般市場の投入については、国土交通省が設けたタイヤの技術基準は、空気入りのタイヤであることを前提としているため、エアレスタイヤで日本の公道を走れるようになるには、まだ我慢が必要だ。だからこそ、シンガポールでの運用によるデータ集積には、判断材料として期待が高まるというものだ。

 デザイン・コンセプト共に、次世代を感じさせてくれるエアレスタイヤを早く使用してみたい人は多いハズだ。そのためにも、自転車やその他のモビリティからのアプローチも歓迎し、様々な角度から実証の機会を増やして欲しいと思う。

2022年1月に開催されたイベントでミシュランが発表した、E-カーゴ・トライク用エアレスタイヤ「MICHELIN X TWEEL(エックス トゥイール)」のプロトタイプ(3輪すべて)。

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