危ない交差点ランキング!ワースト5の危険ポイントはどこ?
日本損害保険協会は、毎年、都道府県ごとに人身事故の多い交差点をまとめた「全国交通事故多発交差点マップ」をウェブサイトで公開している。その中から2020年の危ない交差点ワースト5を取り上げ、Googleストリートビューを活用して交差点それぞれの特徴を観察し、事故要因、予防策を考えてみた。
全国交通事故多発交差点マップとは
「全国交通事故多発交差点マップ」は、日本損害保険協会と全国の地方新聞社が協力して毎年発表しているデータ。都道府県ごとに人身事故の多発する交差点をまとめてウェブサイトで掲載している。
警察庁の統計によると交通事故の約45%は、交差点および交差点付近で発生しているという。交差点では、歩行者、自転車、クルマなどが行き交うため、事故が発生しやすいことは想像に難くない。しかし、事故が多発する交差点としない交差点があるということは、そこには何か要因があるはずである。そこで本記事では、Googleストリートビューを活用し、交差点それぞれの特徴を分析し、事故要因、予防策を考えてみたい。
2020年危ない交差点ワースト5
まずは、2020年に人身事故が多発した「事故多発交差点ワースト5」を見てみよう。5か所のうち4か所が大阪府の交差点。残り1か所が福岡県の交差点である。どちらも大都市であることから交通量が多いことも事故発生に関係があるだろう。それぞれの交差点はどのような状況になっているのだろうか。
【危ない交差点ワースト5】
1.大阪府・法円坂交差点
1.福岡県・針摺交差点
3.大阪府・梅新東交差点
4.大阪府・讃良川交差点
4.大阪府・西本町交差点
ワースト1 大阪府・法円坂交差点の危険ポイント
ワースト1の大阪府・法円坂交差点は、東西に市道築港深江線(中央大通り)、南北に市道赤川天王寺線(上町筋)が交差する大きな交差点。同協会によると、ここでは前方の安全不確認や、前車に対する動静不注視による追突事故が発生しているという。
ストリートビューで大阪府・法円坂交差点を見てみよう。中央大通りは最大で片側8車線となる大きな通り。東から西に向かって交差点に進入する場合、左折専用車線、直進車線(平面道路)、直進車線(高架道路)、右折専用車線の4車線となっている。しかし、交差点を越えると途端に、左から4つの車線が側道に向かい、右4つの車線を一般道のオーバーパスと高速道路の入り口が分け合う複雑な構造となる。
ここでは交差点に進入するまで阪神高速入口があることが認識しづらいため、阪神高速に入りたい車やオーバーパスに進みたい車、さらにはどちらも使わず平面道路へ進みたい車など、さまざまな理由で直前に車線変更をするドライバーがいると想像できる。前車の動向に注意を払い、十分に車間距離をとっておかないと追突や接触の危険性があるだろう。ちなみに、ストリートビューの写真でも、車線をまたいで走行するクルマが映っている。
また、上町筋から阪神高速入口方面(北から西)へ右折する場合でも、右折先が3方向(8車線)に分かれていることが認識しづらい。こちらでも同様に急な車線変更が行われそうだ。
ワースト1 福岡県・針摺交差点の危険ポイント
同率でワースト1となった福岡県・針摺交差点は、国道3号と県道福岡日田線、県道福岡筑紫野線が交差する変則五差路交差点である。ここでは、対向車両への安全確認不十分による右折車と直進車の衝突事故が多く発生している。
ストリートビューで福岡県・針摺交差点を見てみよう。東側(福岡日田線)から右折する場合、北側(国道3号)への右折車線が2本、北西側(福岡日田線)への右折車線が1本と計3本の右折車線が設けられている。それぞれ青と緑のペイント舗装によって色分けされている。右折専用車線が計3車線あるため、右折車両が列になっていると、対向直進車が確認しづらいため対向車を十分に確認することが必要だろう。
また、交差点内に高架道路の橋脚があり、交差道路と対向車線に対する見通しが悪いこと。交差点の西側(筑紫野大橋)が高架橋となっていて、交差点に向けて下り坂となっているため、直進車のスピードが出やすいことも事故要因であるといえそうだ。
ワースト3 大阪府・梅新東交差点の危険ポイント
大阪府・梅新東交差点は、東西に国道1号と南北に国道423号が交差する四差路交差点。歩道橋が架かっているので、歩行者の横断は東西横断歩道のみとなっている。ここでは、前方安全不確認による前方車両への追突事故などが発生しているという。
ストリートビューで梅新東交差点を見てみると、交差点の四隅に歩道橋の階段および橋脚が設置され、特に南東の角は駐輪防止柵もあるため見通しが悪い交差点となっている。対向車や左折先の状況が分かりづらく、前方の車が急停車する危険性があるため、しっかりと車間距離をとり、前車の動静を注視する必要がある。
また、同交差点では左折時の事故も発生している。国道1号東側は、片側5車線のうち2車線が左折専用車線で常時左折可となっている。しかし、歩道橋にスロープが無いので、歩行者は分離されていても、自転車は分離されていない。左後方からに直進してくる自転車を巻き込んでしまう危険性があるので注意が必要だろう。
ワースト4 大阪府・讃良川交差点の危険ポイント
大阪府・讃良川交差点は、国道1号と国道170号の側道が交差する交差点。交差点の上方には、国道170号本線の跨道橋および第二京阪道路が走っている。ここでは前方の安全不確認や、前車に対する動静不注視による追突事故が発生している。
ストリートビューで讃良川交差点を見てみよう。どの方向から交差点に進入しても、国道170号の跨道橋、第二京阪道路の橋脚などにより見通しが悪くなっていることがわかる。また、交差点に進入する道路は、全て3車線となっていて、信号機にそれぞれの車線専用の信号機が設置されていることにも注目したい。
ここでは対向車や交差する車両の動きが見通せないため、信号機の情報を頼りに発進することになる。しかし、その信号機が各車線で別々になっている。そのため信号機をしっかり確認せず、並走する他車線の動きに合わせて、誤って発進してしまうと前車に追突する恐れがある。
また、右折に関しても、対向車や右折先の状況が確認しづらいため、前車に続いて曲がろうとして対向車と接触したり、前車が急停車して追突したりするなどの可能性もありそうだ。
ワースト4 大阪府・西本町交差点の危険ポイント
大阪府・西本町交差点は、東西に中央大通り、南北に市道南北線(四ツ橋筋)が交差する交差点。同協会によると、ここでは前方の安全不確認や、前車に対する動静不注視による追突事故が発生しているという。
ストリートビューで大阪府・西本町交差点を見てみよう。中央大通りは最大で片側8車線となる大きな通り。分離帯によって本線と側道が分離されていて、さらに阪神高速の出入口があるという複雑な構造になっている。
東から西に向かって交差点に進入する場合、阪神高速入口があることが認識しづらいため、阪神高速に入りたい車、中央大通りの本線や側道へ向かいたい車など、さまざまな理由で直前に車線変更をするドライバーがいると想像できる。前車の動向に注意を払い、十分に車間距離をとっておかないと追突や接触の危険性があるだろう。
また、西から東方面では、交差点に向かって阪神高速出口から中央大通りへの合流があることに注目したい。交差点が赤信号の場合、中央大通りを進行してきた車両、高速出口からの合流車両の両方がここに滞留することになる。高速道路出口からの下り坂ではスピードが出やすいため、走行スピードや前車との車間距離によく注意していないと追突の可能性がありそうだ。
交通事故が多発する交差点は、交通量が多く構造が複雑である、車線数が多く交差点の面積が広い、交差点の四隅に高架の橋脚などの障害物があるなど、同ランキングの常連となる理由が存在していた。身近な常連交差点をチェックし、ストリートビューなどを活用して運転前に交差点の構造を確認しておくだけでも運転時に戸惑わなくて済むだろう。特に初めて運転する交差点では、周囲の状況に気を配り、常に危険を想定した運転を心がけたい。