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最終更新日:2022.05.15 公開日:2022.05.15

デザインが似ている「歩行者横断禁止」と「歩行者通行止め」の違いは?さらに「歩行者進入禁止」も解説。似ている標識シリーズ

いつも見慣れた標識も、実は時代とともに変化しているし、新たな標識も追加されている。今回は、交通量が多い道路でよく見かける「歩行者横断禁止」と、見かけることが少ない「歩行者通行止め」を紹介。デザインはハットを被る歩行者がメインとなっているが違いは、2本の青い斜線の有無と注意書き。今回は「歩行者通行止め」が設置されている道路の紹介と、見かけることが少ない理由、そして高速道路で見かけるようになった「歩行者進入禁止」について調べてみた。

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2本の斜線が「ある」「ない」で意味が違う

白地に赤い枠と斜線、そしてハットを被る歩行者の「歩行者横断禁止」 ©Hanasaki – stock.adobe.com

 道路標識、区画線および道路標示に関する命令(総理府令・建設省令第3号、以下、通称の「標識令」とする)で定められた規制標識である「歩行者横断禁止」は、歩行者の道路横断を禁止する道路の歩道や中央分離帯などに設置されている。対象とされている道路は「道路の両側に歩道のある道路で、歩行者の横断需要が多く、かつ、自動車の交通量が多い道路」「規制区間の前後等に立体横断施設、信号機のある横断歩道等安全な横断施設があり、かつ、乱横断による歩行者事故が発生するおそれのある道路」となっている。具体的な設置場所としては、道幅が広く交通量も多い道路で、かつ横断歩道もしくは横断歩道橋同士の間になっている部分だろう。

 この標識はドライバーだけでなく歩行者にも認識してもらうため、道路を背にした状態で表示されていることもある。また、設置する区間についても警察庁交通局長の通達が出ており、「防護柵(ガードレールなど)の無い歩道には約100mおき」に設置することとされている。中央分離帯に設置する場合には、約50m置きに設置することになっているので、規制区間の始点と終点のみに設置される標識よりも目にする機会が多い。そのようなことから見覚えのある標識という印象がある。

「歩行者横断禁止」と「歩行者通行止め」のデザイン上の違いは、斜線がないのと注意書き © 和久 澤田 – stock.adobe.com

 対して「歩行者通行止め」は、歩行者の通行を禁止する道路に設置される規制標識だ。対象道路とされているのは「オーバーパス、アンダーパス、トンネル等で自動車の通行が多く、歩行者と車両の混在通行により、交通事故が発生するおそれのある道路(歩道の整備された道路を除く)」「道路工事又は作業のため、歩行者の通行を禁止する必要がある道路」、「高速自動車国道等と接続しているため、歩行者の通行を禁止する必要がある道路」(同通達より)だ。なお留意事項として「主として道路構造の観点から、交通事故を防止するためやむ得ない区間に限ること」「本規制を実施する場合は、必ず、直近にう回路を確保すること」となっている(同)。こちらも「歩行者横断禁止」と同じく、ドライバーだけでなく歩行者にも見やすい位置や角度で設置されている。

 具体的な場所としては、歩道のない立体交差、自動車専用のバイパス道の入り口、車道のみの橋やトンネルなどになる。しかし、そのような「歩行者横断禁止」が設置される道路の数は少ないので、ドライバーが目にする機会が少ない。また歩行者の立場でも、先が通行止めになっている道へと進む必要性は低いので、「歩行者横断禁止」と比べると珍しい「レア標識」と認識されるのだろうのだろう。

東京湾臨海道路(東京ゲートブリッジ)

 そんな「歩行者通行止め」が設置されている場所を、ストリートビューで紹介しよう。まずは東京都江東区の東京湾臨海道路で、東京ゲートブリッジへと上がるため上り坂となっている部分が「歩行者通行止め」となっている。ここは歩行者だけでなく軽車両(自転車、リヤカー、人力車など)と原付も通行止めである。ちなみに上り坂の先にある東京ゲートブリッジの橋部分は、車道とは別にエレベーターなどで昇る歩道がう回路として設けられている。

東京都葛飾区・高砂諏訪橋

 ほかにも橋で「歩行者通行止め」が設置されているのは、東京都葛飾区の新中川に架けられている高砂諏訪橋。対面通行で欄干ギリギリまで車道という道幅なので「歩行者通行止め」となっている。さらに自転車も通行止めで、重量制限もあるため、歩行者や自転車のう回路として専用橋がすぐ隣に架けられている。近隣にある細田橋も同じような道幅なので、同様の規制やう回路が設けられている。新中川に架けられている橋のいくつかには近年、修繕工事の計画がある。高砂諏訪橋も工事が予定されているので、数年後には今と違った面影になるかもしれない。

静岡県・静清バイパス入り口

 自動車専用道路では、静岡県静岡市の静清(せいしん)バイパスの複数の入り口で設置されている。静清バイパスは一般道路から立体交差を上がって合流する自動車専用道路で、歩行者が間違って進入しないように設置されている。

 自動車専用道路といえば最初に思い浮かぶのは、高速道路だ。しかし高速道路の出入り口で「歩行者通行止め」を目にする機会は少ない。もし高速道路の出入り口に設置されていれば目にする機会が増えるだろうが、なぜ設置されないだろうか?

標識の設置は「最小」の条件

高速自動車国道、自動車専用道路であることを知らせる規制標識「自動車専用」 © U-image – stock.adobe.com

 歩行者が通行できない自動車専用道路の代表格である高速道路の出入り口で目にすることが多い規制標識は「歩行者通行止め」ではなく、丸く青地に白い乗用車という「自動車専用」だろう。では、なぜ「歩行者通行止め」が設置されないのだろうか?

 そもそも標識令で定められた規制標識と指示標識については、各都道府県の警察(公安委員会)が設置を行っている。これら標識が設置される際は、安全へ配慮しながら、設置は最小の数という条件がある。この条件を元に種類や数が決定されているのだ。

 そのため高速道路の出入り口では「自動車専用」を設置することで、歩行者や原付自転車、軽自動車(自転車)等の通行止めも規制していることをドライバーや歩行者に知らせている。また「自動車専用」の対象となる道路は「高速自動車国道又は自動車専用道路の入り口その他必要な場所における路端」となっている。

高速道路で見かける「歩行者進入禁止」は標識?

高速道路で見かける「歩行者進入禁止」 © U-image – stock.adobe.com

 近年、高速道路の入り口や料金所等で見かけることが多くなった、四角で黄色い地に赤い斜線や×が入り、中央に黒で描かれた歩行者のある標識をご存じだろうか? 自転車や原付自転車が描かれているものも併設されており、「進入禁止」や「はいっちゃだめ」「DO NOT ENTER」などの注意書きが添えられている。

 これらについて、高速道路を管理するNEXCOや首都高速道路株式会社に取材したところ、近年は歩行者や自転車などが高速道路に誤進入することが増加したため、標識令で定められた規制標識とは別に「看板」として設置したそうだ。これらは入り口や料金所だけでなく、高速バスの停留所やスマートICの入り口、パーキングエリアからスマートIC出入口を接続する道にも設置されている。

 高速道路の管理をする各社がこれらを設置した経緯は、歩行者や自転車の誤進入が増加したため、標識令で定めた規制標識等の設置を警察と検討した。しかし規制標識等の設置は最小という条件があるため「歩行者通行止め」等を追加することが難しかった。そこで管理会社は、独自の「看板」として「歩行者進入禁止」「自転車進入禁止」「原付自転車進入禁止」等を設置したそうだ。このような経緯から「歩行者進入禁止」は規制標識ではなく、管理会社の看板もしくは標示板の扱いになる。看板・標示板なのでデザインが全国共通の規制標識と異なり、管理会社や設置場所によって異なっている。


各社のさまざまな「歩行者進入禁止」や
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