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最終更新日:2021.11.30 公開日:2021.11.30

「イヌ」|第40回アニマル”しっかり”みるみる

世界中から集まったさまざまな動物たちを、間近で見て・感じられる施設がサファリパーク。そんなサファリパークで動物たちの世話をする飼育員さんに、知っておくとちょっぴり動物通になれるポイントを、 "しっかり" ご指導いただきました。富士山の自然豊かな環境にある富士サファリパークの動物ふれあい課飼育担当瀬崎さんに、「イヌ」を解説してもらいました。

文・上條 謙二

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高い声を出す人が好き!?

プードルはサイズによって4種類に分かれる。その中でもサイズの小さい「トイプードル」は、体高が28㎝以下、体重は3㎏ほど。

原産国はメキシコの「チワワ」。世界で最も小さいと言われる純血種。

 一般的に「イヌ」と呼ばれる「イエイヌ」は、食肉目イヌ科に属する動物です。同じイヌ科の中には、イヌの他に、オオカミ、ディンゴ、ジャッカル、タヌキ、キツネ、リカオンなどがいます。イヌは、45~35万年ほど前にオオカミ(ハイイロオオカミ)から分かれたと考えられています(諸説あり)。イヌはネコと同様に人類にとって昔からなじみ深い動物で、世界中で多くの品種が飼育されています。

 「現在、園内(イヌの館)ではペットとして人気の高いトイプードルやチワワなどの小型犬が21種類ほど飼育されています。珍しいところでは『ブリュッセル・グリフォン』『キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル』などが見られます。日によって見られる犬種は変わる」(※瀬崎さん下同)そうです。

 イヌとはどんな特徴を持つ動物なのでしょうか?

 まず身体的な特徴としては、その優れた聴覚と嗅覚が挙げられます。

 イヌは人の1000倍近くの音域を聞き分けることができます。特に高い音を聞く能力が高く、これは野生下でのエサであるネズミなどの小動物の鳴き声を聞き取るために発達しました。イヌは高い声を発する人間の方に、好感を持ちやすいと言われています。だから「声が男性に比べ高い傾向にある、女性に好感を持つ個体が多いです。子供も声は高いのですが、触り方が強かったり、乱暴だったりするので、苦手にすることが多い」そうです。

 嗅覚は人の100倍ほど優れており(1000~1億倍優れるなど、諸説あり)、20km先の匂いも嗅ぎ分けることができるとも言われています。ただどんな匂いも同じ程度に感じ取れるわけではなく、植物の匂いよりも動物の発する匂い(汗や息など)を感じることが得意です。

 視覚は、聴覚や嗅覚に比べるとその能力はやや劣ると言われています。人間の視力にすると0.2~0.3程度。2~3m以内のものしかはっきりと見えず、遠くにあるものはぼやけて見えていると言われています。その一方、暗いところでものを見る能力や動体視力に関しては優れており、暗いところで物を見る能力は人間の5倍ほど優れていると言われています。

あくびは緊張の仕草

「ブリュッセル・グリフォン」は、顔全体を覆うもじゃもじゃの毛が印象的な犬種。

「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」は、絹のような光沢を持つ被毛と垂れ耳が特徴の犬種。

 イヌの祖先は元々群れを作り、集団で狩りをする動物でした。それゆえ群れの中で自分はどの地位にいるのか、群れの中のリーダーは誰なのかを強く意識する動物です。

 「園内で複数のイヌを一緒に飼育していると、イヌの持つ社会性がはっきりと現れてきます。例えば上位のイヌは、劣位のイヌがおもちゃで遊んでいると横取りして、独り占めにすることがあります。この行動は集団の中での地位を確認する意味があります。一般的に元気で活発な年上の個体が上位の位置につくことが多いのですが、若い個体でも元気で活発で気が強い性格の個体だと上位になることがある」そうです。

 また頻繁にマーキングがされていると集団の中で上下関係ができている証拠です。「オスの場合は片足を高く上げて尿をチョロチョロとかけてマーキングすることが多く、メスは片足を上げずにすることが多い」そうです。マーキングはなわばりを主張するために行われる行動で、そこから読み取れる情報は、年齢、性別、体の大きさの他に、メスの場合は自分の発情の状態までが含まれます。

 社会性のある動物であるイヌと人間とが仲良くするためには、ちょっとしたコツが必要です。「まず怖がらせないことが大切です。イヌの正面には立たず、イヌに対して斜めに座ること。イヌに触る前に手の甲を近づけて臭いを嗅がせてあげるとイヌも安心します。また大きな声を出したり、走って追いかけたりすることはNG」だそうです。

 怖がらず、リラックスしているかどうかはイヌの仕草や表情、行動から読み取ることができます。「尻尾を下げて足の間に挟むのは、警戒しているときの仕草。尻尾を振るのは喜んでいるとき。ワンワンと吠えるのは、警戒の場合もですが嬉しいときにも。あくびは緊張の仕草で、自分を落ち着かせようとして行うと考えられています(眠い場合にも行う)。舐めてくるのは、かまってほしいときに見せる、遊んでアピールの一つ。片方の前足を上げるのは、緊張しているときにとるポーズ」だそうです。

スタッフの動きでエサの時間が分かる

「シーズー」の原産国はチベット。大きな瞳と体を覆う豊かな被毛が特徴的な犬種。

日本犬の代表的犬種の「柴」。元々は山地で鳥や小動物の猟犬として飼育されていた。

 最後に「イヌあるある」についても伺ってみました。

 「『飼育された時間が長くなると、時間の進み具合がなんとなく分かってくるようで、エサの時間が近づいてくるとソワソワしだして、スタッフの動きにとても敏感になること』です。学習して、スタッフのちょっとした動きからエサの時間が分かるようになる」そうです。さすが人間のペットとして長い歴史のある動物ですね。

「イヌに言うことを聞いてほしいときには、声のメリハリでこちらの要求するものを伝えます。低い声は、よくない行いを注意するとき。ほめるときは、名前を呼びます。反応が鈍いときは、声をはり気味にして、高い声で呼びかけることを心掛けます」と飼育担当の瀬崎さん。

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