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最終更新日:2021.08.27 公開日:2021.08.27

「モルモット」|第34回アニマル”しっかり”みるみる

世界中から集まったさまざまな動物たちを、間近で見て・感じられる施設がサファリパーク。そんなサファリパークで動物たちの世話をする飼育員さんに、知っておくとちょっぴり動物通になれるポイントを、 "しっかり" ご指導いただきました。富士山の自然豊かな環境にある富士サファリパークの動物ふれあい課飼育担当瀬崎さんに、「モルモット」を解説してもらいました。

文・上條 謙二

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人間と同じく体内でビタミンC合成ができない

モルモットは、体の色や柄、毛並みなどのバラエティに富んだ動物。

 「モルモット」は、ペルーやボリビア、アルゼンチンなどの南アメリカで食肉用に家畜化されていた原種が、ヨーロッパに持ち込まれて品種改良され普及した、げっ歯目テンジクネズミ科の動物です。体長は20~40cm、体重は700~1200gほどで、体の色(灰色、褐色、白色、黒など)や柄(斑点、縞など)は個体によりバラエティに富み、品種によって毛並み(短毛、長毛、巻き毛、ヘアレスなど)もさまざまに変わります。食性は草食で、人間と同様にビタミンCを体の中で作ることができないという特徴があります。温和な気性で飼いやすいことから、ペットや実験動物として世界中で多く飼育されています。

 モルモットの身体的な特徴は、「四肢が短く、ずんぐりとした体形で、頭が大きいこと」(※瀬崎さん以下同)です。しかも見た目には尻尾がありません(体内に尾椎はある)。

 前足の指は4本で、後ろ足の指は3本、足裏には毛が生えておらず、肉球こそありませんが足裏の肉がクッションの役割を果たし、速く走ることができます。指先の爪は鉤爪になっていますが、同じげっ歯目のハムスターのように、前足でものを掴むことはできません。

 歯は、切歯(前歯)が上下で4本、臼歯が16本あり、切歯・臼歯とも生涯伸び続けます。硬いものを嚙んだり、繊維質の豊富な草などを咀嚼することで歯が伸びすぎるのを抑えています。

 またモルモットは自分の縄張りを表すために、尻の左右に一つずつある皮脂腺から匂いのある分泌物を出します。そのため他の個体の尻の匂いを嗅ぐ行動が見られます。

嬉しいと「プイプイ」、怒ると「キーキー」と鳴く

モルモット02

モルモットは、エサを貯めておく習性がないため、ハムスターにあるような「頬袋」はない。

 群れを作って集まる習性のあるモルモットは、鳴き声によって個体同士のコミュニケーションを図ります。「威嚇するときは『キーキー』という鳴き声を出します。また感情によって発する声が変わり、嬉しいときは『プイプイ』と、怒っているときは威嚇するときと同じで『キーキー』と、不快なときは『ピーピー』という声を出す」そうです。

 モルモットの群れにはボスは存在しませんが、順位決めの行動はオスもメスも行います(特にオス間で多い)。上下関係をつけるために上に乗ってマウンティング(優位個体が劣位個体に対してする馬乗り行動)を行います。特にオス同士はケンカを行うことがあり、「激しく噛み合うようなことはありませんが、口でのつつき合いをする」そうです。

 またモルモットには特有の習性が見られます。それは一匹が動き出すとその後ろをついて歩く習性で、何匹も連なって列になって行進しているようになります。モルモットは視力があまりよくないため、前を行くモルモットの匂いを頼りに進もうとするためにこのような行動をとると考えられています。

 一風変わった特徴として、モルモットはオスとメスで形の違う糞をします。オスは緩やかにカーブしたバナナ形なのに対して、メスはまっすぐな俵形です。糞は大腸の最下部となる直腸で形作られており、オスとメスでは直腸の形や動きに違いがあって、それが糞の形の違いになっていると考えられています。

臆病で穏やかな性格で感情表現が豊か

モルモットは、臆病で穏やかな性格の動物。特に物音や人の気配などには敏感。

 そんなモルモットは、どんな性質の動物なのでしょうか?

「臆病で穏やかな性格です。物音や人の気配などには敏感で、慣れていない人間からはすぐに逃げようとするなど、警戒心が強い動物」です。

 またとても感情表現が豊かな動物で、「よく観察すると、驚いた顔、嬉しい顔があることがはっきりと分かります。例えば、モルモットが2匹でじゃれ合っていて、片方が何か気に障って怒ったりすると、もう一方がエッという感じで動作が一時停止して、『何を怒ってるんだろう?』と驚いて戸惑う表情を見せることがある」そうです。

 最後に「モルモットあるある」についても伺いました。

「エサを持っていくと、音や匂いだけで察して、一斉に『プイプイ』と鳴き声をあげて、とても賑やかになること」だそうです。聴覚と嗅覚がとても鋭い動物なんですね。

「モルモットは、原種が他の肉食動物にエサとして捕食される対象だったため、動きはとても素早いです。特に子供は身軽なため、俊敏で逃げることに長けているので、私は子供のモルモットを捕まえるのが苦手です」と飼育担当の瀬崎さん。

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