衝突被害軽減ブレーキ&ペダル踏み間違い急発進抑制装置の性能を国が認定。新たなマークも
国土交通省は、2021年4月、普及が進む衝突被害軽減ブレーキと、ペダル踏み間違い急発進抑制装置について、一定の性能を有していることを認定する制度の結果を発表した。では、認定されるために必要な「一定の性能」とは何か? 認定ロゴマークとともに解説する。
高齢者の事故防止対策の一環として始まった制度
今回発表された認定結果は、「先進安全技術が一定の性能を有していることを認定する制度」に基づいて行われたもの。この制度は、先進安全技術を広く普及促進させることを目的に、高齢運転者による交通事故防止対策の一環として、2018年3月から始まった制度で、自動車メーカーが申請した乗用車の該当機能の性能を国土交通省が審査し、公表することになっている。
当初、対象の技術は対車両衝突被害軽減ブレーキのみだったが、2020年3月の制度拡充で対歩行者衝突被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い急発進抑制装置が加わった。2020年度は、対歩行者衝突被害軽減ブレーキで255車種、ペダル踏み間違い急発進抑制装置で256車種の性能認定が行われた。
国が認定する「一定の性能」とは?
この制度で求められる「一定の性能」とは、最低限満たすべき基準ともいえるもので、国連で決められた国際基準なども参考に定められている。
対歩行者衝突被害軽減ブレーキにおいては、【時速20kmで走行している時に、時速5kmで歩行する横断者が前方を横切っても衝突しないこと。またブレーキ作動前までに警報が鳴ること】となっている。
ペダル踏み間違い急発進抑制装置については、【車が停止した状態でアクセルをフルストロークまで踏み込み、1m先にある前車や壁などに衝突しない、または速度変化率0.3以上に加速を抑制すること。さらに作動時に警報が鳴ること】となっている。
<対歩行者・衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い急発進抑制装置に求められる性能>
AEBS2、PMPDとは???
国交省は今回の審査結果発表にあわせて、対歩行者衝突被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い急発進抑制装置の認定ロゴマークを発表した。このロゴマークは、審査で性能を認定された車両に貼るステッカーやウェブサイト、カタログなどへの記載などをすることが可能で、装備された車の普及促進を目的としている。
ロゴマークにある英語の意味は、歩行者衝突被害軽減ブレーキの「AEBS2」がAdvanced Emergency Braking System、ペダル踏み間違い急発進抑制装置の「PMPD」がPedal Misapplication Prevention Deviceの略である。なお対歩行者衝突被害軽減ブレーキのロゴマークの後に「2」とあるのは、2018年4月からの対車両・衝突被害軽減ブレーキのロゴマーク「AEBS」があるため。
その対車両衝突被害軽減ブレーキの性能については、「国が認定した67車種を発表。スタートしたばかりの衝突被害軽減ブレーキ認定制度とは。」記事で解説しているので参照してほしい。
「国が認定した67車種を発表。スタートしたばかりの衝突被害軽減ブレーキ認定制度とは。」
https://kurukura.jp/safety/190424-21.html
なお「先進安全技術が一定の性能を有していることを認定する制度」に認定された車種は、国土交通省の下記のウェブサイトに掲載されているので、新車購入の際には参考にするといいだろう。
国土交通省:先進安全技術の性能評価認定結果
https://www.mlit.go.jp/jidosha/Ninteiseido/index.html
また、この認定制度とは別に、国土交通省と自動車事故対策機構では、自動車の安全性能を統合的に評価する「JNCAP 自動車アセスメント」を実施している。こちらは、より厳しい条件で、衝突被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い時加速抑制装置(なぜか呼称が異なるが、原則、ペダル踏み間違い急発進抑制装置と同じもの)をテストしているので、新車購入の際には、こちらも参考にしてほしい。
自動車事故対策機構:自動車アセスメントのご案内