首都高の上限料金が値上げ。普通車で最大1950円に。それはなぜ?
首都高速道路の上限料金が2022年4月から引き上げられる見込みだ。普通車で1320円だった上限料金は、1950円へと大幅に引き上げられる。値上げの理由は何なのか? 改定後の料金体系はどうなるのだろうか?
首都高の上限料金が最大1950円に
首都高速道路株式会社は、国土交通省が発表した「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)」に基づき、高速道路料金の具体案を発表した。今後、国交省などの関係機関から承認が得られれば、2022年4月から新しい料金体系へと改定される見込みだ。
新しい料金体系では、これまでと同様に走行距離に応じて料金が加算される「対距離料金制(※)」を採用するが、その「上限料金」が引き上げられる。現在の上限料金は、1320円(普通車で35.7km以上走行した場合)。改定後の上限料金は、1950円(普通車で55km以上走行した場合に)となり、一気に630円もの引き上げになるという。
※走行距離100mごとに10円単位で加算される料金制度
例えば、首都高4号新宿線・新宿出入口から首都高に入り、首都高神奈川1号横羽線・横浜公園出入口で下りた場合、走行距離は43.8km。現在は上限料金が適用されるため1320円だが、新料金では現行上限を上回る1590円となる。
新宿出入口~横浜公園出入口(43.8km)
現行料金:1320円 新料金:1590円
また、横浜横須賀道路・並木ICから首都高に入り、首都高さいたま新都心線・さいたま見沼出入口で下りた場合、走行距離は86.6km。新料金でも上限料金が適用され、現在は1320円だが、新しい料金では1950円となる。
並木IC~さいたま見沼出入口(86.6km)
現行料金:1320円 新料金:1950円
首都高の新しい割引制度
一方、新料金体系では、これまでなかった「深夜割引」の導入や、「大口・多頻度割引」の割引率拡充も実施される。
深夜割引は、都心の渋滞解消のため、交通量が少ない時間帯の利用を促進するもの。午前0時から午前4時までの間に首都高速に流入した場合の料金が20%割引となる。
大口・多頻度割引は、物流業者などのETCコーポレートカードを対象とするもの。一定の利用条件(※)を満たす場合において、最大割引幅がこれまでより10ポイント拡大し、最大45%割引となる。
※契約者単位で月間利用額が100万円を超え、車両1台あたりの1カ月利用料金が3万円を超え、首都高中央環状線の内側を利用しない場合。
より公平な料金体系を実現するため
首都高によると、この料金改定は、首都圏の高速道路において、対距離制を基本としたより公平な料金体系を実現するためだという。
2016年にスタートした現在の料金体系は、首都圏の高速道路の同一起終点であれば、どのルートを使用しても同一料金となるように設定されている。しかし首都高は元々、他の高速道路(大都市近郊区間)に比べて料金水準が低かったため、他の高速道路に合わせると大幅な値上がりになってしまう。その値上がりを段階的にするため「激変緩和措置」として上限料金1320円が設定された経緯がある。
それにより上限料金が適用される35.7kmを超える長距離を走行した場合、首都高と他の高速道路を比較すると、首都高の距離単価が低くなっている。その差を現在よりも少なくするため、上限料金が引き上げられるのだ。
なお、新しい上限料金の1950円もまた、激変緩和措置による暫定的なもの。上限料金が撤廃される日もいずれ訪れるだろう。国交省は将来的に、同一起終点において混雑しているルートの料金を高く、混雑していないルートの料金を低くすることで、交通集中を解消する新たな料金の導入を目指す。