ホワイトアウトでの運転はハザードランプが〇、ハイビームは×
視界が一面真っ白となるホワイトアウトが発生したときに、車の運転はどのような注意をすればよいのだろうか。対処の1つであるヘッドライト、ハザードランプなどの使い方で気を付けるべきポイントを紹介する。
ホワイトアウトに遭遇、運転はどうすればいい?
激しいホワイトアウトでは、視界が数10cmとなる場合もある。そのためドライバーはわずかに見えるライトやテールランプなどを頼りに運転するしかない。それすら認識できない真っ白な視界では前後左右の距離間だけでなく、上下などの平衡感覚にも混乱が生じ、安全な運転はままならなくなる。特に極端に視界が悪化する地吹雪を起因とするホワイトアウトを想定して考えてみよう。
万が一、運転中にホワイトアウトに遭遇した場合は、ハザードランプを点け、時速10km前後の徐行までゆっくりと減速する。しかし急ブレーキで減速するのは禁物だ。自車がスリップするだけでなく、後続車に追突される危険性もある。ハザードランプは、後続車に減速していることをアピールするものなので、減速の前もしくは同時に点けよう。
なおホワイトアウトで、前照灯をハイビームするのは厳禁だ。ホワイトアウトは空中に浮遊する雪に光が散乱・吸収・反射され、人の目に届く光の量が少なくなり、視界が真っ白になる。その状況に強い光のハイビームを照らせば、状況を悪化させる恐れがある。そのためポジションランプやフォグランプを点けよう。フォグランプは、フロントバンパーなどの低い位置に装備されているものが好ましい。ヘッドランプに内蔵されているタイプだと、ハイビームのように乱反射を強くする可能性がある。点けたときに、視界が遮られる可能性も踏まえて慌てずに対処したい。
また瞬間的なホワイトアウトを起こす大型車が巻き上げる雪煙には、ワイパーを作動する、車間を空けるなどで対処しよう。
ホワイトアウトで身動きが取れなくなったら
徐行してもなお運転が困難ならば、路側帯や、コンビニ・ガソリンスタンド・道の駅の駐車場などにハザードランプを点けて停車しよう。そこでホワイトアウトが収まるまでやり過ごす。ただし視界が悪化しているので、路側帯と思った場所にガードレールが埋もれていたり、側溝に脱輪というケースもあり得るので、完全停止するまで気を抜かないことが大切だ。
理想のやり過ごし方としては、車は駐車場に止めて、ドライバーは建物に避難することだ。もし駐車しても避難する建物がなく、吹雪や大雪が続いて車中から身動きが取れず危険を感じた場合は、直ちに道路緊急ダイヤル(#9910)や警察へ救援の連絡をしよう。
特に吹雪の中で停車すると、ものの数分でクルマ全体が雪に覆われる。連絡後は、風下側のドアが開閉できるかを頻繁に確認しながら救援を待つ。
またマフラーの排気口が雪でふさがれたり、ボンネットやフロントウインドウに雪が積もると、排気ガスが車内に流入しやすくなり、一酸化炭素中毒の危険が高まる。JAFユーザーテストでも、ボンネット、マフラーが雪に埋もれた場合は、一酸化炭素中毒の危険性が高まるという結果が出ている。一酸化炭素は無臭で気づきにくい。ドア開閉確認の際には、同時にマフラー排気口も確認し除雪をしよう。
【JAFユーザーテスト】車が雪でうずまった場合、CO中毒に注意!
なお、救援を待機している車中での防寒対策については、「冬の車中泊はどれくらい寒い?防寒対策はどうする【前編】」(https://kurukura.jp/car/20200115-20.html)を参照してほしい。
低温、強風の日は、運転を控える判断も必要
低温や強風などの注意報が出ているならば、運転を控えるという判断も、危険予防になる。積雪の多い地域に住む人たちは雪に慣れているが、そうでない地域の人は「雪に不慣れな」ことを自覚しておこう。
それでも雪道を運転する必要がある場合は、携帯電話の予備バッテリーや雪かき用のスコップ、防寒着、毛布などといった、万が一を想定した準備をして出かけよう。